PUBG WEEKLY SERIES: EAST ASIA Phase2 に出場する台湾・香港チームの紹介
皆さま初めまして。ノンナと申します。
私は昨年の3月からPUBGの競技シーンの観戦を始め、
今では日本国内の大会にのみならず、
海外の国内大会を探しては観戦するほどハマっています。
さて、来る7月21日からPUBG WEEKLY SERIES: EAST ASIA Phase2(通称PWS)が開幕します。
日本国内でもPUBG JAPAN CHALLENGE 2021 Phase 2(通称PJC)が約2か月にわたり開催され、2チームが初の国際大会の切符を掴むなど、大いに盛り上がりました。
その裏で、6月8日~11日の4日間、PWSチャイニーズタイペイ代表をかけたPUBG WEEKLY SERIES: EAST ASIA Phase2 TWHKMO Qualifierが開催されました。
グループ予選参加チームは61チーム。
そして、グループ予選を勝ち抜いた上位16チームが上記の4日間、計20試合を戦いました。
なぜPUBGド素人で、ただの観戦勢である私がこのような記事を書いているのかというと、この大会に関する詳細データがggscoreなどのサイトに掲載されていなかったからです。
そこからこの大会の全選手のキル数や平均順位など、素人の私でもまとめられるような部分をまとめ、あまりチャイニーズタイペイのPUBGチームに詳しくないという方にも、PWSを楽しめるように紹介したいと思いました。
詳細なデータというのは1つもありませんが、私なりにチャイニーズタイペイ代表各チームを紹介していきたいと思います。
(※出場選手の情報はスクリムなどを加味した、あくまでも個人の予想によるものです。大会に参加する選手とは異なる可能性がございます。また、各チームの紹介は素人目である私個人の考えです。これらの点をあらかじめご了承ください。)
↑こちらが予選大会の結果を簡易的にまとめたファイルになります。
それでは、まずはシードチームから紹介します。
Global Esports Xsset (GEX)
今や日本国内のファンにもお馴染みの、台湾最強チーム。
日本・チャイニーズタイペイのチームで優勝の筆頭候補は恐らくこのチームになるだろう。
前回大会では、1週で3度のドン勝を取るなど、計8回のドン勝を取り、滑り込みでGFへの切符を掴んだ。
3月まで開催されたPUBG Global Invitational.S 2021 (PGI.S)に出場していたK7 Esports のロースターを吸収する形で4月にチームを再編。
(K7 Esportsも昨年10月まではGlobal Esports Xsset Aceという配下チームであったため、出戻りと言った方が正しいか。)
世界大会を経験した2チームの合併は、当然の如く戦力の大幅な強化へと繋がった。
注目は、ここ最近のスクリムに多く参加しているSRが加入するのかどうか。
PUBG Nations Cup 2019でチャイニーズタイペイ代表を7位へと導いたメンバーで、最近は中国のチームで活動していた彼が加入するとなると、GEXにとってはこれ以上にない大きな補強となる。
韓国勢の優勝争いに待ったをかけられるか。
Aura Esports (AE)
PWS Phase1で鮮烈な印象を残したチームの1つ。
Gen.Gとの初動ファイトで衝撃を受けた視聴者も多かったのでは?
そんなAEであったが、前回大会でチームをここまで導いたと言っても過言ではないShenがTyloo(中国)へ移籍。
(先日のICCではなぜかいた気がするが…。)
今大会ではNimo、TobiweiのPUBG Master League(PML)出場経験のある2人を加え、持ち前のインファイトの強さを生かし、前回大会より好成績を残せるか。
Curson Clan (CRS)
帰ってきたCurson。
昨年3月の PUBG Continental Series: Charity Showdown Asia で突如現れ、名だたる強豪を抑え3位を獲得した香港最強のアマチュアチームTeam Cursonの流れを汲んだ、White Card Gang Gang (WCG)が、再び名前を変え参戦。
先日行われたICCでは、4月に出場したPredator League 2020/21: Asiaと同じメンバーで挑み、1度のドン勝を獲得。
韓国、中国のチーム以外だと2番目の成績だった。
まずは、PWSでまだ1度も達成していないWeekly Finalでのドン勝を目指して、Weekly Survivalを抜けたいところ。
ここからは予選を勝ち抜いた4チームの紹介です。
Shoot Your Face (SYF)
グループ予選では15試合で驚異の152キル、予選本戦でも20試合で5回のドン勝を取るなど、圧倒的な成績で予選を1位で通過。
先日のICCで初めての国際大会も経験した。
特筆すべきは、生存能力の高さ。
WWCDルールでありながら中心意識があまり高くなく、安全地帯の際での戦いを繰り返しながら少しずつ安全地帯の領域を増やす戦い方が多く見られた。
また、Top8に入った11試合のうち、実に10試合で3名以上生存しており、5度のドン勝のうち、3回が全員生存でのドン勝だった。
注目はSYF_Jervis。
前述のShenと同じマレーシア出身選手で(Liquipedia調べ)、予選本戦ではキル2位(45キル)、ダメージ1位(8149.58)の活躍。
中でも特に印象的だったのがMatch16。
早い段階で残り1人となったものの、そこから1人で8キルを稼ぎトップ3に。
最終局面でも4名生存だったELECTRIC PONY Over Star(EPOS)に対し、いとも簡単に2ノックを取り、1v4クラッチがあるかとも思わせるフィジカルの高さに驚かされた。
↑ Match16の最終局面。苦しい場面でも積極的に攻撃を仕掛け続けた。
他にも、チームメイトのSYF_IAMPETE(彼もまたマレーシア出身)がキル4位(33キル)、ダメージ6位(5555.29)、SYF_KiTがキル5位(31キル)、SYF_Maderpigは1v2クラッチドン勝を見せるなど、各選手が個人で目立つ場面も多い。
PWSではダークホースとして期待したい。
The Super Tank (TST)
予選チームNo1の戦闘民族チーム。
WWCDルールが関係ないかのごとく、周辺のチームに積極的に戦いを挑み、次々に勝利を収めていく。
その反動か、Top8率は高い(60%)ものの、ドン勝は3回にとどまった。
しかしながら、そのファイト力は多くの場面で印象に残り、キル数はSYFを上回る136キル、旧ルール(SUPERルール)ならばSYFを上回る(204ポイント)など、1位のSYFに見劣りしない活躍を見せた。
↑ Match7、Match10ではマッチダメージが2000ダメージを大きく超えた。
注目は予選本戦でモストキル(54キル)を獲得したTST_dashushu。
驚くべきことに、彼もまたマレーシア出身(Liquipedia調べ)。
チーム全体のキルの40%を占め、Match7では個人13キルという異次元の活躍を見せている。
↑ Match7の結果。チームの22キルのうちTST_dashushuが13キルを荒稼ぎ。
dashushu以外にも、元Team SADESのTST_McCrit、前回のPWSにNoSayで出場していたTST_Bohanなど、実力派揃い。
第2のAEとなれるか。
XXX (XXX)
これまで複数の国際大会に出場した経験をもつ、ある程度歴史の長いチーム。
前回のPWS Phase1 TWHKMO予選では9位に沈んだものの、某チームのペナルティによって途中参加となり、ドン勝も獲得した。
国内大会では優勝こそないものの、安定して上位に入る。
予選でも安定した戦いぶりで、2000ダメージを超えた試合が2試合あるなど、安全地帯を引いた試合を確実に取り、3位で予選を通過した。
↑ キルこそ多くないものの、しっかりとダメージを出し続けていた。
チームの中心は長くこのチームで戦うXXX_Keresと元GEXなどのXXX_Life。
とはいえ、チームとしてはキルを満遍なく獲得しており、バランスの良いチームと言えるだろう。
これまでの国際大会では振るわないことが多かっただけに、今大会で爪痕を残して欲しい。
Always Outside the Circle (AOC)
台湾ならでは(?)の興味深い名前を持つチーム。
しかし名前とは裏腹に、安定して安全地帯内を広く取ろうとする、最近のメタではよく見るムーブを取る。
予選本戦ではチーム合計キル数は7位(66キル)と伸びなかったものの、上位チームにドン勝が固まったこともあり、唯一の2ドン勝を守り抜き、4位でPWS出場を決めた。
ロースターには経験豊富なメンバーが名を連ねる。
AOC_Yuri、AOC_ANiNiは元Team SADES。両者ともに過去のチームでPMLのフェーズ優勝経験を持ち、Team SADESとして出場したSeoul Cup OGN Supermatch 2020ではチームの8位入賞に貢献。特にYuriは予選本戦で、キルこそ26キルながら、6041.62ダメージを稼ぎダメージランキング4位に入るなど、チームを引っ張った。
AOC_psychobabyはGEXの一員としてPGI.Sを戦ったメンバー(当時のIGNはGEX_Cc)。Weekly Survivalでドン勝を獲得するなど、世界のレベルで戦った経験を持つ。
予選ではギリギリだったものの、その実力は本物。
大会本番での爆発に期待。
以上、PWS Phase2に出場するチャイニーズタイペイ7チームの紹介でした。
↑ 大会を通してのキル・ダメージランキング
最後に
私は、PWSのチャイニーズタイペイ予選は前回大会も観戦しており、今回が2度目でした。
個人的な印象としては、まだまだ粗削りで、力で押し切るチームが多く、フィジカルの差がそのまま結果に表れるようなシーンが多かったと思います。
ですが選手たちの熱量は非常に高く、61チームという参加チーム数がそれを物語っていると思いました。
神視点放送では、チームボイスを頻繁に用いていて、チームの雰囲気や緊迫感、臨場感が視聴者側にもよく伝わってきました。過去のPJSではチームボイスを採用していたものの、PJCではリアルタイムでのチームボイスは採用されていないため次回開催時に採用していただければ嬉しいな、と思います。
しかしながら視聴者として不便だなと思うところもありました。
マップ配信は初日しか行われていません。これは想像ですが、視聴者数が少なかったことが2日目以降のマップ配信中止につながったのかもしれません。
また、チームの情報が極端に少なかったです。
PJCでは出場する全チームの情報が提供されたり、予選全試合のリーダーボードがTwitterで公開されるなど、細部まで大会側とファンをつなぐためのポイントに良いところがいくつもあったと思います。
一方でTWHKMO Qualifierではグループ予選の結果は事後のトータルのみ、各チームの選手情報などは一切なく、初見の選手やチームが多いこともあり、情報の収集には手間取りました。(というかほとんどLiquipedia頼りでした。)
特筆すべき点としては、個人で目立った選手にマレーシア出身選手が多かったことが挙げられます。
日本ではV3F_Americano(現在FA)選手を皮切りに、韓国人選手のPJC参加が増えており、先のPJC Phase2では23人(出場選手全体の7%)まで増えています。
また、大きな話題を呼んだENTER FORCE.36のStarload選手やindigo選手のように世界でも有名な選手の日本チーム移籍や、LVUPを戦った韓国チームが次回のPJCを見据えて日本人メンバーの募集をかけているツイートもあるなど、新たな形での二国籍チーム化を行うチームもいます。
それと同様のことがチャイニーズタイペイのリージョンでも起きているのかもしれません。PUBGというゲームはその特性上、"言語"という問題がどうしても発生してしまいますが、マレーシアは国民の約25%が中華系らしく、中国語話者も少なくないそうです。
マレーシアの実力ある選手がチャイニーズタイペイのチームに加入することで、よりレベルの高いアジア大会が見られるかもしれません。
最後にはなりますが、私はPUBGというゲームが大好きです。
キャラクター選択などがないため余計なアビリティなどがなく、8km×8kmという広大なマップを約30分という長い時間をかけて戦略・分析を駆使し、己の能力のみで勝負をするという、素晴らしい魅力に溢れたゲームです。
最近では大会を重ねるごとに視聴者の減少が問題視され、「オワコン」などと言われる機会も多くなってきたと思います。
しかし、PUBGはまだまだ世界で遊ばれているゲームであることには変わりないですし、競技シーンとしても何かきっかけがあれば、まだまだ盛り上がれると思っています。
私も"何かのきっかけ"を作れればと思い、この記事を書きあげました。
日本・チャイニーズタイペイのチームはこれまで何度も韓国チームに苦汁を飲まされ続けてきました。また、今大会にはアジア大会としては初のモンゴルのチームが参戦します。
今大会こそ、FPS後進国が一泡吹かせるその瞬間を目に焼き付けたいと思います。
長々と失礼致しました。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
またどこかでお会いしましょう。
2021.07.19
ノンナ