商店街おひとり散歩 - おひとり時間の過ごし方
私の住まいは東京の下町。性格がズボラなのか歳をとったせいなのか、アラフォー、アラフィフになってから、遠くへ出かけるのが億劫になり地域密着型になってきた。現在50代前半独身の私の最近のマイブームは、私の住んでいる地域にある商店街巡りである。暇があると散歩がてらあちこちに散在する商店街を見て回る。目的地に向かう途中、なるべく通ったことのない道を歩いてみる「ああ、この道はここにつながっていたんだ。」と発見することもある。運動にもなるし、今まで知らなかった激安店や珍しいお店が見つかって結構楽しい。
このあいだは、ある商店街のはずれにあるお店の店頭にじゃがいもが一袋58円で売られており、「これはお得!」と思い、じゃがいも袋を手に取り店内に入ってみた。入り口にはお弁当や台湾の月餅が並べられており、店内の冷凍庫の中を覗いてみると中国語がいっぱい。どうやら中華系の食材を扱う食料品店のようだ。「おお、良いじゃないの。」そのお店で初めて見る籐椒油というまだ熟していない青山椒で作られた調味油を購入してみた。自炊生活が長くなると作るものがマンネリ化し飽きてくるので、珍しい食材や調味料に出会うと刺激を受ける。
最近は商店街にある業務スーパーに夢中である。量の割に安いし、輸入物も色々あって普通のスーパーでは見かけないような珍しいものもあるし、疲れていて料理が面倒な時に簡単に食べられる食品を常備しておくと便利だ。ネットやYoutubeなどで最新の商品やおすすめ商品をチェックしている。店内で隠れた優れものを探すのもワクワクする。30個入り218円の餃子も美味しいし、レトルト、チルド、冷凍食品、お菓子やスナック、缶詰等値段の割になかなか美味しいものが揃っている。
味噌の専門店でお試しサイズのお味噌を数種類購入して、いつもの味から離れて新しい味を発見してみたり、パン屋をはしごしてオリジナリティのあるユニークなパンを探したり、駄菓子屋を覗いて懐かしんだりする。
私はお酒が好きなのだが、近所に「角打ち」という酒屋さんの店内に立ち飲みができるスペースを設けているお店が何軒かある。私もひとりで何度か行ったことがある。おつまみは、店内に売られている缶詰や乾き物やお店の人が作った簡単なお惣菜など。そこに集まる初めて顔をあわせたお客さん達とも気軽に飲みながら会話ができるのでなかなか刺激があって新鮮だ。
角打ちというとおじさんのイメージが昔はあったらしいが、最近は若い人達にも人気があるよううだ。まぁ、私はオヤジ化した独身女なのだが。近所に角打ちコーナーを設けている酒屋さんがあれば、安く気軽に楽しめる飲み方だが、酔っ払って醜態を晒すと近所の笑い者になってしまうので、要注意だ。
私は一度、日本酒の飲み過ぎで家にまではなんとか辿り着いたものの、帰ってきたら急に気が緩んだのか転倒してしまい、顎を切り7針縫う程の怪我をした。別の酒屋では、飲み過ぎでふらふしているので店長に「もう、そろそろやめておきましょう。」とたしなめられたこともある。角打ちは楽しいけど、また羽目を外しそうなのでちょうどコロナの影響もあり、しばらく自粛している。飲み過ぎ注意である。
ある日は、商店街の外れにある銭湯へ足を運んだ。自宅のマンションにある狭いバスタブよりも開放感のある銭湯の大きな湯船に浸かると疲れを癒やすことができるし、気分転換にもなる。銭湯の湯船に浸かると脳からリラックス効果のあるα波が出るらしい。私の住む地域にある銭湯巡りも楽しそうなので、色々な銭湯に行ってみようと思っている。
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第2回「わたしのノンマリライフ」エッセイ募集コンテストにご応募いただいた方々の中から、森本唯さんのエッセイをご紹介しました。