その目に映る世界は希望かそれとも絶望か/ゴッホの「星月夜」
こんばんは。ノンマリ編集部です。心のキーアイテムを探すアートの旅。今夜のセレクトはこちらの作品です。
星月夜(ほしづきよ)
フィンセント・ファン・ゴッホ
オランダの画家・フィンセント・ファン・ゴッホの代表作のひとつ。今から約131年前、1889年に、フランスのサン=ポール・ド・モゾル修道院の病院で療養中のゴッホが、部屋の窓から見える夜明け前の村の風景にインスピレーションを受けて描いたもの。高くそびえ立つ糸杉と夜空を明るく照らす星々が印象的な作品です。
「情熱的な画家」「狂気の天才」と呼ばれ、世界でもっとも有名な画家のひとりであるゴッホですが、意外にも彼の画家としての活動期間は、絵の道を志してから37歳で亡くなるまでのたったの10年間という短いものでした。ゴッホはその短い期間で膨大な数の作品を残しましたが、生前に売れた絵はたったの一枚きり(諸説あり)。
売れるための絵を描くべきか、それともいつか認められる時がくるまで、自分が描きたいものを描くべきか。苦しみと葛藤の日々は、ゴッホの心を徐々に蝕んてゆきます。しかし失意の底にいながらも、ゴッホは絵を描き続けました。イーゼルに向かって絵を描いている間だけは生きていることを感じられる、そんな想いだったのかもしれません。
療養中の病院の窓から見上げた糸杉と夜空。ゴッホの心に浮かんだのは希望だったのか、それとも絶望だったのか。作品を通して作者の心情に想像をめぐらせることで、あなた自身でも気づいていない「本当の心の声」に耳をすませてみませんか。
星月夜(ほしづきよ)
フィンセント・ファン・ゴッホ
製作年:1889年作
種類:油彩
所蔵:ニューヨーク近代美術館
参考文献:リーズベット ヘインク(2014)『フィンセント・ファン・ゴッホ: 葛藤の軌跡(シリーズ:ゴッホの秘密)』(宮崎 直子 訳) Amsterdam Publishers
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