ノンマリ連載エッセイ「小さなドラマの小さな駒たち」 #12 髪の毛神の気
”おひとり時間をご機嫌に過ごすコツ”を綴った全12話の短編エッセイ集 / 作:田崎ゆきこさん
第12話
『髪の毛神の気』
私の髪はほっといたら巻貝のようにうねる。根性曲がりの私にふさわしい髪質だ。だから、毎晩、髪のご機嫌をとらなきゃならない。
シャンプー後、タオルドライ、そしてあんず油を掌に二滴垂らす。それを掌中で温め,髪にもみこむ。その生乾きの髪を、ドライヤーで乾かす。髪は重力に従って,素直に降りてくる。
髪は神に通じるんだって。そういえば、願掛けに髪をのばすという行為もあるね。ツヤツヤのキレイな髪を持つ人間は、神様の目に留まりやすいんだそう。
それを聞いてから、よりいっそう丁寧に、髪の手入れをするようになった。(あんず油を髪にもみこむときは、唐揚げに下味をつける要領で。)
明日もいいことありますように。ひそかなおまじないだ。
文:田崎ゆきこ
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