ハワイでイルカと泳いだ話

20年前に息子を産んだ。両家族にとって初孫だったので義家族のフィーバーぶりはとても強烈なものだった。出産1ヵ月前に9月11日のワールドトレードセンター崩壊を経験した。川向こうに住んでいた我が家には化学物質が燃える匂いが窓を閉めていても入ってくるほどだった。

その間に息子はお腹の中でどんどん大きくなり、出生時には5キロを超えていた。未熟児ではなく、過熟児。私は助産婦&自然分娩を望んでいたのだが長時間粘っても出て来れず、私は段々グロッキーになって行った。最終的には病院で帝王切開。生まれてきたbabyはとても可愛くて、黒い髪が生えていた。初めて見た顔は私の母に似ていてとてもびっくりした(笑)。これからこの赤ちゃんと私の旦那と3人の生活が始まるんだなーと希望と喜びに溢れていた私の病室に義家族がお見舞いに来た。義母は特に大喜びで、赤ちゃんを抱き上げそのまま6時間ほど抱っこし続けていた。私は静かに休息したかったが嬉しいニュースに陶酔した見舞客は帰ってくれず。みんなの意識は赤ちゃんに集中し、手術後の私は部屋の片隅でベッドに寝ている状態だった。(今だったらさらっと自分には休息が必要だから帰ってほしいと言えると思う。私も若かったのう〜。)

その後自宅に戻り、慣れないお世話を楽しくしながら日々を過ごしていた。義母の訪問は続いた。赤ん坊の夕方泣きの様に私は夕方になると出産初日並びに出産後に放っておいて貰えなかったストレスに振り回された。

そんなこんなで私たちはハワイにバケーションに行くことにした。大好きなハワイ島のコナ。私の母も日本から合流し息子を見てもらい、旦那と海三昧だった。

ある日、きれいな海でスノーケルをつけて泳いでいた時に海底にイルカの群れがいるのを発見した。スリープモードと言われる状態で、3匹ずつで三角形を作り静かに眠っていた。30匹はいたと思う。海には他に何組かの観光客がいたが彼らはイルカ達に近づこうとすごい勢いで潜っていった。私は成人してからやっと泳げる様になったレベルなので海面に浮かんでいた。

すると突然、イルカの群れが海面に浮上してきた。そして私の両サイドには手に触れそうな距離にイルカがいた!右側にいたイルカが可愛い目で、小首をかしげて私の顔を覗き込んだ。私は水中でWOW!と叫んだ。体中の空気が泡になって出た様な不思議な感覚がした。全てのネガティブな感情が解放され、その後私は楽しく生活ができるようになった。イルカ達よ。あの時は本当にどうもありがとう。大好きです。







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