190610mon 姉貴、実はあたし音楽やってんだ
治療方針が決まる日。家族の同伴が必要な日。父親は人生からコースアウトしたため、姉に来てもらう。(無職になりたての姪も同伴)
待っている間、廊下に置いてある医療用ウィッグのカタログを眺める。20〜30万とか普通にするし、何より、ダサい。めちゃくちゃダサい。マダム向けだから好みが合わないのだと思う。これをつけただけで20歳くらい老けそう。でも、姉が言ってくれた。
「ウィッグ費用、20万までなら出してやるよ」
姉…!!!!
兄といい、姉といい、結構年が離れるとは言え、こんなに優しかったっけというフォローをしてくれる。正直、友人がいくら親身になってくれても、経済的な面ばっかりは家族以外に頼れない。
診察室に呼ばれ、姉と二人で入る。
MRIの画像を見ながら先生の説明が始まる。左胸の下半分はほぼ腫瘍だった。乳房のシルエットを父親と見るとしたら気まずすぎる。姉ですらなんか気まずい。
結局のところ、まだ検査の結果が揃わずサブタイプが確定できないので使う抗がん剤が今日は決められないとのこと。
脇のリンパ以外に転移はなし。治療のスケジュールとしては半年間の化学療法(抗がん剤)、その半年後に手術。薬が効けば腫瘍は小さくなるけれど、腫瘍の位置的に部分摘出すると乳房のバランスが崩れやすいため、全摘出の方が良さそうとのこと。再建手術できるので、と。その説明の最中も、私より姉の方がいろいろ口を挟む。一通り説明が終わり、ようやく私は先生に質問した。
私「抗がん剤治療の開始は、ちょっと遅めにすることはできますか?」
Dr「何か大事な用事がありますか?」
私「はい」
Dr「結婚式とか?」
私「…いえ………あの……趣味で音楽をやっていまして……そのライブが9月あたりまで結構入っていまして、副作用の体力的な面が心配なので、それ以降がいいなと」
Dr「(苦笑)それならすぐ手術しなければいけません」
「何呑気なこと言ってんの?9月以降からとか論外ワラ」みたいなことをやんわりと言われました。音楽の下りで私が急にゴニョゴニョし始めたのは、家族に音楽やってるのを伝えていないからです。この歳になっても家族に内緒で音楽活動。それが予想外のタイミングで、こんな形で。まぁ別に驚かれはしなかったけど。何かで知ってたのかもしれません。
ともかく、手術を先にすると入院が必要になるし、やっぱ抗がん剤が先だ。予定を見ながら良いタイミングで治療を始めることに。
先生に「エコーで右にも小さい影が見つかりました」と言われた。両側全摘はかなりつらいぞ。
「多分こっちは良性だと思うけど、念の為針生検で見ておきましょう。なんとも無ければ安心ですし」と。なので急遽ガッチャンガッチャンやりました(3回目)。
書き忘れたけど、前回追加の針生検したときだけ担当医がいつもと違い、局所麻酔打った直後に針生検始めて「え、もう麻酔きいてんの?」って思ったら案の定3発目で「いでででで…!!」と声が漏れた。でも今回はナイス麻酔でした。(麻酔は痛いけど)
針生検した箇所は完全防水処理をしてもらわないと、シャワーするときに死ぬほど仰け反って腰をやりそうになるので注意が必要。
というわけで、診察室を出て姉と「意外と急を要するようだったね」と妙に呑気な会話をした。姉と姪は、病院ひろ〜い!と言いながら、病院内のパン屋や売店などを見学し、ついでにいろいろ買ってくれた。