190909mon つけるタイプの魔法だお
まつ毛が減ってきた。
でもつけまつげは下手なので眼鏡で誤魔化す日々。ギャル尊敬。
私だって、つけるタイプの魔法がほしい。
月曜に集まったのはいつもの中華料理屋、いつもの席。バンドメンバーでお疲れ会と称した餃子を囲む会。
私は人知れず、ひとり緊張していた。
今日病気を打ち明けると決めていた。
しばらくお店に来ないうちにメニューが変わっている。お店に入ってすぐ店長さんに「最近来ないから心配しましたよ」と言われた。
リップサービスであろうと、自分の居場所の存在を感じられることは純粋に嬉しい。もはや自分を知ってくれている人が存在すること自体が嬉しい。
前回の野外ライブが楽しすぎて余韻が抜けないという話で盛り上がる。美味しい料理は知らず知らず緊張をとかす。
デザート前に最後の一品料理を頼む頃
私はようやく、メンバーに病気のことを話せた。
実は5月に癌を宣告されていて、今絶賛抗がん剤治療中です。でもタイミングあわせればライブもできるし、こんな風にお酒も飲めます。ただ、メインで歌うこのバンドのライブや練習はタイミングによっては厳しいこともあるかもしれない、そのくせ他のバンドの活動が活発になるかもしれない。そこは悪く思わないでほしい。公表するつもりはあるけど、バンドイメージとかもあるし、とりあえず徐々に話していくつもり。と。
不安にさせないように、というより、こんな話をするには沈黙が怖くて、私はどうしても口数が増えてしまう。もっとシンプルにさらっとカッコつけて伝えたいのだけど。
「悪く思うことはありえないし、元々うちらそんなライブ頻繁にする訳じゃないから今まで通りマイペースにやろう」
メンバーはそう言ってくれた。
私はメンバーに話すことを非常に大きく身構えていて、ひどく緊張していた。だけど皆の反応を見て安心した。
まつげは減っても、居場所は減らない。