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190518sat 泣くな、美人

高校からの友人(美人)とランチに行く約束をしていた。教えてもらったのは、ガラス張りの店内に外の光が充分に入る、雰囲気の良いお店。庭にはとても大きな木があり、木陰を作っている。

それを話すために会ったわけじゃないけれど隠すことでもないから、席に通されるまでの待ち時間に「実は癌の可能性が高いんだよね」と話した。私たちは共通の友人を癌で亡くしている。
心配そうな顔をする彼女を見て申し訳ないなと感じた。彼女は彼女で闘うものがあり、私は私で闘うものがある。

 

 

席に通され、オーダーした料理が来るのを待つ間、私か、はたまた彼女か、どんな言葉を発した瞬間かは忘れたけど
 

 
彼女が泣き出した。

  

泣くな、泣くな。

せっかくの美人が台無しだ。

それにまだ確定じゃないから。

泣くのは早いから。
 

 
そう言いながら、つられて私も泣いた。

 

 

美しい店内で偶然とは言え、揃って黒い服を来たふたりの女が泣き出した。きっと料理は美味しかった。

 

 

お店の横のコテージではアート作品の展示をしていた。足を運んだら、知り合いの作家さんだった。ずっと年上だけど、超パワフルで自由で人生を謳歌している女性。負けてらんないっすね。

 

 

その日、友人からLINEが届いた。

「寂しくなくても、いつでも呼んでね」

私は「いつでも美人を呼び出せる権利」を手に入れた。

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