小説 おかず甲子園 2年目10月
てっちりが控えに!
10月第1月曜日 世界の風来坊錦店にて
2年目10月のオーダー
1 キス天 三
2 アジ一夜干し 右
3 辛子明太子 中
4 ビーフカレー 一
5 担々麺 投
6 キャビア 捕
7 ふぐさし 左
8 味噌 二
9 イカ天 遊
- うに リリーフ投手
- 麻婆豆腐(キャプテン) リリーフ投手
「高浪さん、ビーフカレーの肘の肉離れも大分癒してきたみたいなので、秋の東海大会で使ってみようと思います」
「杉下さん、そうですね、バッティングはあのハンバーグくんに近いものがあったので、私的にも楽しみです」
「あ、思い出した!ビーフカレーくんを紹介してくれたのって、1年近く前でした」
「ですね、高校野球は仕込みに1年、賞味期限は1年という過酷な世界です」
秋の東海大会準々決勝 調味義塾高校戦
10月第2土曜日 NETSUDEN時計120スタジアム
試合結果ですが、担々麺の完投で、12-1で倒壊の勝利でした。
秋の東海大会準決勝 大陸中央高校戦
10月第3土曜日 NETSUDEN時計120スタジアム
試合結果ですが、担々麺の完封で、10-0で倒壊の勝利でした。
秋の東海大会決勝 銀河連合高等部戦
10月第4土曜日 NETSUDEN時計120スタジアム
「GM、勝ちましたね」
「監督、かなりしんどい試合だったけど」
「監督、GM、生徒諸君、おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
「それでは、高浪の恒例の取材を始めます」
「1回表、いきなり打者一巡で4点も取られました。そのときの担々麺くんの心境はいかがだったでしょうか?」
「もう困ったなあと。とにかくこれ以上は失点できないし、完投も危ういので、少しでもみんなに迷惑かけずにがんばろうと思いました」
「その裏、キス天くんの先頭打者ホームラン、あれは良かったです」
「ありがとうございます。外角スプリットを思い切って引っ張りました」
「しかし、ここからゼロの行進。それでも、勝負の神様は見捨てていません。ノーアウト満塁の絶好のチャンスに、先頭打者ホームランのキス天くん」
「セカンドの頭上を超えるヒットが打ててうれしかったです」
「しかし、二塁ランナーがホームで憤死。更に2番アジ一夜干しくんが5-4-3のダブルプレー。監督どうでしたか?」
「いやー、勝つのって難しいなぁと邪道戦以来に思いました」
「そして6回裏、ワンナウト一二塁で、キャッチャーに本格転向した6番キャビアくん。外角高めの球を力強く引っ張ってのタイムリーツーベースヒット」
「いやー、同点に追いつけてうれしかったです」
「更にレフトに本格転向した7番ふぐさしくんも、続けとばかりに逆転打を!」
「無我夢中で打ちました!セカンドを欲張って憤死してしまい、ツーアウトランナーなしになってしまったのは、あかんと思いましたが」
「いやいや、これくらい勢いがあったほうがいいんです」
「ありがとうございます」
「しかし、続く7回表に担々麺くんが更に打たれます。2番サバ竜田揚げくんにソロホームランを。これで同点5対5に戻りました」
「100球超えてくると、ちょっと球威が落ちますね。もっとがんばります」
「しかし、これでも崩れることなく、7回表を抑えました。さすがです」
「ありがとうございます」
「そして肘の爆発から、ようやく復帰できたビーフカレーくんがやりました!ノーアウト一三塁の絶好のチャンスで1点タイムリーツーベースを」
「予定よりデビューが3ヶ月遅れたのですが、こうやって打てて大変うれしいです!」
「なお、ノーアウト二三塁で、銀河連合のピッチャーは2番手の銀むつ煮付けに交代。5番担々麺くんがライト前へのタイムリーヒットで続きます」
「更にキャビアくん倒れた後、ワンナウト一三塁で、7番ふぐさしくん」
「ファーストがホームへ悪送球してくれて、超ラッキーでした」
「7回裏の攻撃はここで終わるんですが、代わるピッチャーはうにくんではなく、久しぶりの僕らのまーくん。監督どういった理由でまーくんだったんですか?」
「2イニングで同点、あるいは逆転されたときに、まーくんなら担々麺くんに劣らないバッティングができるからです」
「なるほど、だからダブルストッパーを敷いているんですね」
「そういうことです」
「で、監督!今日のヒーローは?」
「みんななんですが、強いて言えば、怪我から復帰のビーフカレー、職場転向に嫌な顔をしなかったキャビア、ふぐさし、まーくんだと思います」
「ありがとうございます。次は甲子園球場で会いましょう!」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?