小説 おかず甲子園 2年目9月
二刀流トライアングルは幻に
9月第1土曜日 世界の風来坊錦店にて
「杉下さん、やっと後任監督見つかりました!」
「どんな人かな?」
せんべい
甲子園出場は5回「野菜のように人間を育てる」がモットーの人格者。保護者からの信頼も熱い。
「前任者とは対照的な人です」
「うちには向いていそうですね。ありがとうございます」
「さて、初のメンバーチェンジですね。杉下さん、どうされたか教えてください」
「3年で満期引退は、ハンバーグとアボカドです。彼らは正一塁手、正二塁手でした」
「そうですね」
「プロパー2年生からは、揚げ出し豆腐と中華あんかけに辞めてもらいました。これからは勉強でいい大学目指すと言っていました」
「勉強のできる高校のプロパーはあっさりしていて好きです」
「そして、今いる2軍からは誰を昇格させるのですか?」
うに 1年生 投手
野手能力C 現状は使い物にならない
投手能力S 多彩な変化球を操れてコントロールも抜群
うどん 2年生 投手
野手能力D 現状は使い物にならない
投手能力A 球速、コントロール、スタミナなどすべて合格点
ビフテキ 1年生 一塁手 外野手
野手能力C 長打力は非凡なものがある
投手能力G 永久に使い物にならない
お好み焼き 1年生 外野手
野手能力C 特に欠点もないので育成のしがいがある
投手能力G 永久に使い物にならない
「うにとビフテキは即戦力、うどんとお好み焼きはポテンシャル採用です」
「うどんくんが1年生だったらと言うのが惜しまれます」
「二刀流コンバートの件はどうしますか?」
「ふぐさしの強肩を活かしたレフトコンバートはしました。と言うか、ふぐさしは野手で育てます」
「それでは、こちらは幻だったということですね」
「そうです、1年生のうにの出来が良すぎて、考えが変わりました」
「しかし、打撃がプアなうにくんは、リリーフ専門で?」
「そういうことです」
「正捕手兼4番手投手はキャビアにして、1番手投手は担々麺です」
「2番手投手は、戦況に応じて、まーくんとうにくんを使い分けると」
「そういうことです」
「Sランク投手が4人もいるチームでないとできない世界ですね」
「贅沢な悩みだと思いました」
2年目9月のオーダー
1 キス天 三
2 アジ一夜干し 右
3 辛子明太子 中
4 てっちり 一
5 担々麺 投
6 キャビア 捕
7 ふぐさし 左
8 味噌 二
9 イカ天 遊
- うに リリーフ投手
- 麻婆豆腐(キャプテン) リリーフ投手
「秋の県大会はこのオーダーで行きますが、4番以降は流動的になると思います。控えも力を付けています」
秋の県大会1回戦 座古川高校戦
9月第2水曜日 NETSUDEN時計120スタジアム
試合結果ですが、担々麺完封で41-0で倒壊が勝ちました。
秋の県大会2回戦 辛味商業高校戦
9月第2土曜日 NETSUDEN時計120スタジアム
試合結果ですが、担々麺完投で17-1で倒壊が勝ちました。
秋の県大会準々決勝 粘里沢学院高校戦
9月第3水曜日 NETSUDEN時計120スタジアム
試合結果ですが、担々麺が7回2失点、うにが2回無失点で、13-2で倒壊が勝ちました。うにの登板は調整登板です。
秋の県大会準決勝 邪道工業高校戦
9月第3土曜日 NETSUDEN時計120スタジアム
「監督、勝てましたね」
「ちょっと冷や冷やでしたが、勝ちは勝ち」
「...じゃないです!監督!」
「あーあ、高浪さん!」
「僕の仕事を増やさないでください。県大会で倒壊の取材なんかしたくありませんw」
「と言うことで、あえておめでとう!は言いませんが、取材始めますw」
「1回表ワンナウト二塁の場面で、辛子明太子くんが鮮やかなタイムリーツーベースヒット。お見事でした」
「ありがとうございます。内角球のスライダーを思いっきり引っ張りました」
「しかしその裏、担々麺くんが1点取られて振り出しに。そこからは両軍ともゼロの行進。均衡が破れたのは、8回裏ツーアウトで邪道たこやきくんのタイムリーツーベース。監督、あのときの心境は?」
「いやー、9回じゃなくて良かったのが半分。8回でも残り1回かと思うと、頭が痛くなりました」
「万事休すと、私高浪も思った9回表に奇跡が起きます。ワンナウトから8番の味噌くんがフォアボールで塁に出ます」
「いやー、フォアボールでもというか、打球に当たってデッドボールでもっ出塁したいと思っていました。うちの上位打線は凄いですから」
「続く9番イカ天くんがヒットで繋げて、ワンナウト一三塁。とりあえずは同点のチャンス」
「延長戦に持ち込みたいなと、とにかくヒットで繋ぎました」
「そして、味噌くんのいう凄い上位打線に回り、本当によく打っている1番キス天くんが渋いタイムリーヒットを」
「本当にレフト前にポトリと落ちました」
「尚もワンナウト一二塁。逆転のランナーが二塁にいる場面で、打席は2番アジ一夜干しくん」
「僕は引っ張ってみたら、セカンドの頭を超えました」
「逆転に成功して、尚もワンナウト一二塁。ここで1回にもタイムリーを打った3番辛子明太子くんが」
「僕はファーストフライで終わりました。ごめんなさい」
「最後のバッターになるのか、頼れる4番てっちりくんが打席に」
「走者一掃のセンター前ヒット!」
「二塁狙ったら、アウトになりましたが。4番の仕事ができてよかったです」
「最後9回裏は、うにくんが気迫のピッチングで〆ました」
「ありがとうございます!」
「本当にいい試合でした。でも、監督駄目ですよ!県大会でいい試合しているようじゃw」
「そうですねw 反省します」
秋の県大会決勝 肉やさい高校戦
9月第4月曜日 NETSUDEN時計120スタジアム
試合結果ですが、担々麺完投で17-1で倒壊が勝ちました。
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