寝台新幹線を考えてみる(早速脱線しますw)
前回、寝台新幹線は東京から鹿児島中央までしか考えられないと書きましたが(下記参照)...
東京から北海道までは、寝台車ならぬ(一般)座席車を使った夜行新幹線も面白いと書きました(上記参照)
ここからは、東北・北海道新幹線を用いた夜行新幹線を考えるとどうなるかを考えてみます。
航空便の盲点を突く
前回の小論文にもありましたが「通常の新幹線や航空便の最終便後に出発し、始発便前に到着」ができれば、150人程度(ちなみにANAのA321は194人乗り)の需要は考えられます。
そこで一般的な航空会社が、路線を設定するときの考え方を説明します。
ご存知と思いますが、航空機って物凄く高価なものです。
ちなみにA321一機が140億円くらいです。消費税を14億円払うって(実際には仕入だから還付されますが)どんな買い物やねん!w
そんな高価な買い物だから、効率よく働かせます。
ちなみに新幹線はそこまで高くないのですが、耐用年数が航空機より短いこともあって、同じように効率よく働かせます。
本題に戻ります。
毎日、朝早くから、夜遅くまでフライト漬けにするのが、(会社から見た)理想的な働かせ方です。
具体的には、双方の空港の運用可能時間が7時から23時、1日の輸送需要が片道600人、飛行時間が1時間20分だとすると...
A空港(7:00)→(8:20)B空港
A空港(10:20)←(9:00)B空港
A空港(11:00)→(12:20)B空港
A空港(14:20)←(13:00)B空港
A空港(15:00)→(16:20)B空港
A空港(18:20)←(17:00)B空港
A空港(19:00)→(20:20)B空港
A空港(22:20)←(21:00)B空港
という運用を考えます。
そして、輸送需要が300人くらいしかないと考えると、もう一つ輸送需要が300人くらいの都市を見つけて、以下のような運用を行います。
A空港(7:00)→(8:20)C空港
A空港(10:20)←(9:00)C空港
A空港(11:00)→(12:20)D空港
A空港(14:20)←(13:00)D空港
A空港(15:00)→(16:20)C空港
A空港(18:20)←(17:00)C空港
A空港(19:00)→(20:20)D空港
A空港(22:20)←(21:00)D空港
C市やD市に心当たりありませんか?
朝の新幹線と在来線特急乗り継ぎで行ったほうが先着するような町です。
そして、逆に輸送需要が1000人を超えだすと、機材を2機に増やして、1機を地方都市(E空港)側に夜間停泊させる運用を考えだします。
A空港(7:00)→(8:20)E空港
A空港(8:20)←(7:00)E空港#
A空港(9:00)→(10:20)E空港
A空港(10:20)←(9:00)E空港
A空港(11:00)→(12:20)E空港
A空港(12:20)←(11:00)E空港
A空港(13:00)→(14:20)E空港
A空港(14:20)←(13:00)E空港
A空港(15:00)→(16:20)E空港
A空港(16:20)←(15:00)E空港
A空港(17:00)→(18:20)E空港
A空港(18:20)←(17:00)E空港
A空港(19:00)→(20:20)E空港
A空港(20:20)←(19:00)E空港
A空港(21:00)→(22:20)E空港#
A空港(22:20)←(21:00)E空港
更にこのパターンの変化球で、E空港の運用時間が21時までに制限されている場合(具体的に言うと伊丹空港など)は、E空港からの始発便(#便)、A空港からの最終便(#便)が運行されません(夜間停泊もなくなります)。
ちょっと長くなりましたが、夜行列車が航空便という最大の外的要因に勝てるのは、以下のようなパターンです。
ちなみに前回は(主に)ビジネス客という最大の内的要因について書きました。
条件として、各市の中央駅は都心にあるとします。中央駅から空港まで30分で結ぶバスが存在します。搭乗手続き等で30分、手荷物受け取り等で10分費やすことにします。
A市からB市へは、A中央駅を18時01分以降の出発で、B中央駅に8時59分以前の到着なら勝ち目が出ます。
B市からA市へは、B中央駅を20時01分以降の出発で、A中央駅に10時59分以前の到着なら勝ち目が出ます。
すなわち、外的要因に勝つだけなら、それほどシビアな勝負でもないです。
北海道でB市に当たる都市は、函館、旭川、オホーツク(女満別)、帯広、釧路とありますが、函館と旭川以外は夜行新幹線以前に、北海道新幹線最終便接続の夜行列車を設定すれば、クリアできる条件です。
旭川は夜行新幹線接続の方が時間帯がよく、函館なら今すぐ始められます。
A市からC市へは、A中央駅を14時01分以降の出発で、C中央駅に8時59分以前の到着なら勝ち目が出ます。
A市からD市へは、A中央駅を18時01分以降の出発で、D中央駅に12時59分以前の到着なら勝ち目が出ます。
C市からA市へは、C中央駅を16時01分以降の出発で、A中央駅に10時59分以前の到着なら勝ち目が出ます。
D市からA市へは、D中央駅を20時01分以降の出発で、A中央駅に14時59分以前の到着なら勝ち目が出ます。
北海道でC市に当たる都市はゼロで、D市に当たる都市は稚内なんですが、これを見る限り、余裕なんじゃないでしょうか。
それよりも、この表を見て言えることは、古(昭和40年代)の国鉄は楽勝だったんだろうなと。
航空運賃が恐ろしく高いので、航空需要が一日片道400人以上ある航路なんてほとんど存在せず、例えば鹿児島や宮崎でもC市やD市の扱いで。
これなら、東京からの「寝台特急はやぶさ」で出水へ出張とか、「寝台特急富士」で延岡へ出張とか、会社側も費用対効果で「寝台特急=レジャー」という見方はしないだろうからなぁ。
そういうことで、参考までに書きましたが、C市やD市は忘れてくださいw
最後にE市ですが、北海道でE市に当たる空港(都市)は新千歳(札幌・苫小牧)だけで、もちろん羽田(東京)ともども運用時間の縛りはありませんから、かなりの強敵になります。
しかし、東京駅、札幌駅双方を20時01分以降の出発で、8時59分以前の到着なら勝ち負けに持ち込めます。
そして、そもそもの流動需要がB市などとは、一桁違うしw
夜行新幹線こそ、JR北海道の救世主になると思います(続く)