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小説 おかず甲子園 1年目8月

高浪SAからLINEが

8月第1月曜日 世界の風来坊錦店にて

「うれしいお知らせがあるので、夕方6時に世界の風来坊錦店に来てください」
と高浪さんからLINEがあったので、行ってみます。

「やっと指導力がある監督が見つかりました。かしわもちさんは素人レベルのG評価でしたが、今度のくさもちさんはF評価です」

くさもち
自他共に認める酒豪で浴びるように酒を飲んでいる。マイクロバスを所有しており遠征の際には自分が運転する。

「このプロフィール見る限りでは、かなり微妙ですが。手羽先要員で雇いますか?」
「思った以上に選手のレベルが高いので、くさもちさんでも甲子園初戦くらいは突破できるでしょう」
「わかりました。雇います。と言うことは、高浪さんの熱血指導はこれでおしまいか」
「そうですね、もちろん有望な選手や監督が見つかれば、こうやってLINEで手羽先のお誘いはしますから、安心してください」

夏の甲子園大会2回戦 大地育成高校戦

8月第1土曜日 阪神甲子園球場

「監督、早速の甲子園勝利おめでとうございます!」
「GM、よっしゃよっしゃ!今夜は灘の酒を浴びるように飲もうw」
「いいですよ。二人で一升瓶を2本空けましょう」
「(カサゴ曰く)高浪記者がインタビューに来ました」

「今日は接戦をものにして、GM、監督、選手諸君おめでとう!」
「ありがとうございます」
「まずは3回に口火を切る2点タイムリーを打ったアジ一夜干しくん、おめでとう」
「ありがとうございます。外に逃げるスライダーを流し打ちしたら、レフト線に落ちてくれて超ラッキーでした」
「この後、ツーアウト満塁の場面で、てっちりくんはどんな心境?」
「これは大チャンスだからと、内角低めからシュートしたちょっと難しい球をライト前に持っていきました」
「4回のカサゴくんのホームランもうれしかったでしょ?」
「僕は負けると即引退の身ですから、甲子園で打ててめっちゃうれしいです!」
「そして5回に4失点のまーくん、ちょっと聞きづらいけど。どんな心境でした」
「あー、やっちまった。って感じでした。GMから120球を目途に投げてもらうから、打たれたことは忘れろと励まされました」

「7回には再びの勝ち越しになるホームランが。だし巻き玉子くん、うれしかったでしょ?」
「80点主義の男でもやれることを見せつけられてうれしいです。ちなみに外角高めからシュート回転した打ち頃の球を打ちました」
「8回はスリーベースヒットを打ったてっちりくんと、それを返したまーくん、お見事過ぎました」
「ライトポールぎりぎりのフェンスにボールが当たった瞬間、これは三塁まで行けるかもと思いました」
「僕も127球投げて、てっちりを返したら、こりゃ男になれる!という一心で、くらいついたらセンター返しでした」
「そして9回は肉じゃがくんの好リリーフで」
「僕もフォークだけは、後輩のまーくんに負けませんから、先輩の意地を見せました」

「ありがとうございます。最後に監督にインタビューです。今日のヒーローは誰ですか?」
「全員ですけど、あえて選べば、てっちりくんとまーくんと肉じゃがくんでしょうね」
「ありがとうございます」

夏の甲子園大会3回戦 海産大学付属高校戦

8月第2水曜日 阪神甲子園球場

「GM、またまた勝っちゃいました!」
「監督、またまた灘の酒が飲めますね!」
「(カサゴ曰く)高浪記者がインタビューに来ました」

「今日も素晴らしい勝ち方で、GM、監督、選手諸君おめでとう!」
「ありがとうございます」
「初回の表に1点取られたものの、すぐ裏に1点を返したアジ一夜干しくん、お見事でした」
「ありがとうございます。内角から甘く入ってきたカーブを逆らわないバッティングをしたら、ボールはレフト線を転がり、ツーベースヒットになりました」
「この後、あまり上手じゃない攻めもあって、ツーアウト一三塁の場面で打席はまーくん。走者一掃のツーベースもお見事でした」
「ありがとうございます。アジ一夜干しくんが、初回の失点を打ち消してくれたんで、自分の打席では何とかしないとと願った結果です」

「そして、3回表に2点献上したすぐ裏にホームランを打つハンバーグくんも凄いです」
「高めストレートを叩いたら、飛距離が凄く出てレフトスタンドに飛び込んじゃいました。いいホームランでしたから、うれしいです」
「さらに次を打つてっちりくんにもホームランが」
「これは正直狙いました。ハンバーグ先輩には負けたくないですw」

「そして試合はまーくんの好投もあって、動かなかったんですが。7回にキス天が大会屈指の名リリーフ投手、笹かまぼこからホームラン」
「あれはバックスクリーンに飛び込んで自分でもびっくりでした。打ったのは外角低めのスプリットです」
「更に8回にはハンバーグくんの2本目のホームランが、あれも流し打ちですよね?」
「そうです」
「そしてまーくんは完投」
「ありがとうございます」

「最後に監督の一言を」
「今日もみんながんばったけど、今日はまーくん!」

夏の甲子園大会準々決勝 野宮実業高校戦

8月第2土曜日 阪神甲子園球場

「GM、申し訳ない!さすがに勝てませんでした」
「監督、でも「世界の玉」の母校、野宮実業ですから」
「いやいや、負けは負けです」
「でもさ、4対5の超惜敗ですから。今日は自棄酒だ!w」
「負けたら負けたらで、飲みますよw」

「中共スポーツの荒木です。取材に来ました」
「あれ?今日は高浪さんじゃないの?」
「高浪部長は負け試合には来ないんですw」
「あー」

「監督、試合を振り返ると、先取点は倒壊でしたね。4回表にまーくんの打ったキャッチャーゴロがスクイズみたいになって」
「そうですね」
「でも、その裏には逆転。更に次の5回裏に3点追加で5対1」
「そうです。もう追いつくのは難しいかな?と」
「そして6回に辛子明太子くんのホームランが」
「あれは、秋の大会に対して意義があると思います」
「そして7回にだし巻き玉子がタイムリー」
「彼は本当がんばっています」
「さらにアジ一夜干しがタイムリー」
「正直、逆転あるかも!と希望はありました」
「でも、反撃もここまで。残念でした」
「そうです。残念です。でも、負けたのはすべて監督の責任。そして、まーくんが5失点ながら、完投できたのが。今後の収穫です」
「私もそう思います。取材に応じてくれてありがとうございます」

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