ジャッキーチェンとアグネス・チョウ(周庭・周挺) / 香港人の誕生、亡命
周庭氏はなぜ亡命しないのだろう。
アクセス数が伸びる8月の逮捕記事を見ながら、詳しく調べていなかった個人について疑問が湧いた。
前回は、香港でやっている民主化運動への日本のメディアや日本人の反応に対して記事を書いたが、「今回はジャッキーチェンと民主化運動をしている若者」「周庭氏・黄之鋒氏・羅冠聡氏」について調べてみた。(略式名称あり)
・中国と香港の流れまとめ
・香港人だけど中国人ジャッキーチェン
民主化運動をしている若者は、周庭氏のように返還当時産まれたばかり、又は産まれていない世代だ。
香港返還時、大人だった有名人といえば映画スターのジャッキーチェンである。
イギリス領香港島で産まれ、返還時にはハリウッド進出に苦戦していた。
一国二制度の元、独自に経済成長し香港人という意識が生まれたのもこの頃だと言われている。
六四天安門事件のあと逃げなかった香港人は、上り調子な経済のおかげで楽観的になっていたか捨てられない資本の源泉があったのだろう。
また1960年代からの高度経済成長、中国とwinwinの関係を経験している世代は親中派が多い。中国内陸部との取引で今も稼いでいる香港人もいる。
周庭氏は以前インタビューでジャッキーチェンは香港人というより中国人だと答えていた。
ジャッキーチェンは特に親中派の人間で、過去には台湾人の顔を歪ませる発言をしている。
両親は親中派、子供は民主派という家庭も多いように世代間の差がかなりあるようだ。
民主が失われつつある中で学校教育を受け、新疆ウイグル自治区の問題など考える機会を与えられた若者。
香港はアジア圏で圧倒的な経済都市であったが、ここ数年はアジア諸外国の成長が著しく相対的に貧しくなっており、見えない将来への不安から行動する者もいる。
外から見る限り、周庭氏とジャッキーチェンは全く違った香港を生きていると言えよう。
香港返還時の大人の尻拭いをしている現在の若者たち。
それを支援する後悔している大人たち。
自分が出来なかったことを子ども世代に託すのは、どの国でも同じようだ。
2047年には完全に中国になることは決まっているが、以降も香港に残るのだろうか。
・周庭氏・黄之鋒氏が亡命しない理由
結論から言うとしたくてもできないらしい。
両者とも名前が知れ渡るようになってから出国が出来なくなっている。
最近では監視の目があるため大使館にも駆け込めないとインタビューで答えているのを見つけた。
パスポートも没収されたと報道されている。
普通に出かけるふりをして大使館に車ごと突っ込んでしまえば亡命できる気もするが、家族を連れて行けないなど事情もあるだろう。
雨傘運動を主導し、イギリスに亡命した羅冠聡(ネイサン・ロー)氏の脱出方法は明らかにされていないが、CIA関係者と噂される人と会ったりしていたことから中国と対立する国や諜報機関を上手く利用したのだろうと推測できる。
他の若者たちも次の法整備前に脱出できればしておいた方が良いのではないだろうか。
わたしたちが知らないだけで、活動家は諸外国の金銭的物資的支援を受けられているのだろうか。
英ジョンソン首相やカナダ政府の対応に拍手を送りながら、台湾で同じような事があった時日本はどうするのだろうと考える。
政治的亡命の前例を作れるだろうか。
日本人として見守ると共に、中国共産党に支配されたくない人には親族ごと早めの脱出を勧める。
「民主の女神。日本のメディアへの違和感」はこちらから。