タイトルは1番大事だよねって話。
「葬送のフリーレン」という作品がある。
少年サンデーで連載しており、2021年のマンガ大賞では1位に輝いた作品だ。2023年10月よりアニメも始まったので知っている人も多いだろう。
あらすじは、と言うと。
いや、なげぇ。
と読み飛ばした人のために簡単に説明すると、
なんかめっちゃ長生きのフリーレンが、仲間が寿命で死んで、なんか思うところがあって、なんやかんやで旅に出るって話。わかりやすいね。
実際の中身も、もちろん面白い。
見開きで必殺技ドーン!とか、
「お前、あいつの息子なのか…どおりで強いわけだ…」的な強キャラ特有のチート血統とか、
まさにこれぞ王道の少年マンガ!と思わせる描写が、一切無い。
一切無いのだ、そんな描写・素振りは。
しかしなぜか、
「淡泊~!」
「淡々と進む~!」
「でも噛めば噛むほど味がする~!」
と感じる、ある意味新しいスタイルの斬新な少年マンガなのだ。
しかし、それだけに惜しい。
とてつもなく惜しい。と言うのも、
「葬送のフリーレン」というタイトルをもっとこう、ひねることはできなかったのか?
と老婆心ながら思ってしまうのだ。
そんな感じが正直な第一印象だった。
マンガのタイトルはとても重要である。
タイトルで魅力を感じてもらえなければ、ほぼほぼスルーされ読んでもらえない。
【人は、読まない・信じない・行動しない】という言葉を広告に携わる者なら聞いたことがあるだろう。読者の心理的障壁というやつだ。
これは書物全般も例外ではない。
まずは読者の「読まない」の壁を突破しなければならない。つまり世にあるあらゆる読み物は「タイトルが9割」と言っても過言ではないのだ。
ちなみに中には「絵が好みなら問答無用で読むからタイトルは全然気にしない派」もいるだろう。わかる、僕もバリバリのそっち派。
宗派の違いはあれど、とりあえず「僕が作者だったらこんなタイトルにしたかな~」というのを勝手に考えようと思う。暇人ですね。
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新タイトルを考えるにあたり、まずは少年サンデーの読者層を調べてみた。
ふむふむ。
1番多いのが13~15歳の29%で、その前後の世代も合わせると10~18歳で全体の64%を占める。
つまり、子どもたちに刺さるタイトルが望ましいわけだ。
さらに「少年」サンデーというだけあって読者はほぼ男の子である確率が高いと推測。名推理だ。俺でなきゃ見逃しちゃうね。
子どもにウケる
男の子にウケる
これら2つのことから導き出される「葬送のフリーレン」に代わる真のタイトル、それは
「伝説のフリーレン」
死ぬほどだせえ。
くっそダサすぎる。
これほど10週打ち切り待った無しにふさわしいタイトルはなかなか無いのではないか。
いや、確かにフリーレンはかつて魔王を倒したパーティーメンバーの1人だし「伝説」と呼ぶに相応しい魔法使いなんだけども。
下手したら「はだしのゲン」とタメを張るレベルのダサさまである。
※全国のはだしのゲンファンの皆様ごめんなさい
いくら世の少年たちが【三度の飯より伝説が好き】という永久不滅の特性を持っているにしても「今の時代これはない」と判断せざるを得ない。
さすがに狙い過ぎた感が否めないので、もう少し時代にマッチしたタイトルがいいのだろう。
例えば「ふりれんっ!」とか。
これはこれで既視感がすごい。
唐突に女子高生の部活アニメっぽくなってしまった。
生死をかけて魔族と戦ったりする作品なのに響きがポップすぎて違和感がえぐい。
そんなタイトルもとい雰囲気詐欺な作品があってたまるk…うっ!頭が…
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はいはい。もういいですもういいです。
葬送のフリーレンは「葬送」だからいいんですよ。わかりましたわかりました。
僕の中では葬送と言ったら砂瀑葬送一択ですけどわかりましたよ。
確かにね、かつての仲間が死んでその仲間を想って旅に出るストーリーにぴったりの二字熟語だしね葬送。
さらに魔族絶対殺すウーマンのフリーレンが作中で呼ばれてるガチの「異名」でもあるしね。
…ん?つまり、仲間と魔族を「葬送」するという別々の、2つの意味が込められているってこと…?
えっ、ウソ…
めっちゃええタイトルやんけ…!
面白いからみんなも読め。フリーレンを。