相手の人生と家族を背負うこと【読書記録】
表紙を見た第一印象は「結婚の話かー。やめるときとすこなかなとき、どっちの話かな」「でも窪美澄さんだから、やめるときかな」「海と空のバックに可憐な女性…さては泣かす気だな」
窪美澄さんの『ふがいない僕は空を見た』は、かなり衝撃的だったのを覚えている。誰にも教えてないのに、忘れたふりをしている自分の恥ずかしい部分を握られて「ぐぬぬ」とうめいてしまう感じ。今回もだいぶうめきながら泣いた。
桜子の「恥ずかしいところから見せていこう」とする姿勢がすごく好きだ。私は、好意を寄せる人に猫を被ってしまう習性がある。だから、いいなぁと思った。感情が顔に出るところや、素直すぎて空回りするところは自分と似ているなぁと思いつつ、今年は私も恥ずかしいところをどんどん見せていこうと決めた。
いろんな家庭事情に踏み込んでいくところも面白い。結婚するともれなく家族もついてくるもんね。真織も桜子も家のために働いて、しっかりしていて、めちゃくちゃ偉い。私なんて一人で生きるのに必死なのにな。私の母は朝から晩まで働いている。でもそんな生活、もう長くできないんだから、あんたもしっかりせぇ、と言われている気持ちになった。親大事にしよう。
桜子のお父さんが「俺があの時どんな気持ちだったか分かるかよおおお」と絶叫するシーン。お母さんがバチコーン!とビンタ決めるシーン。もう嗚咽に近い号泣をしてしまった。壱晴に「本当にお恥ずかしいところを見せてしまいました」と謝るんだけど、桜子も父も母も揃って「恥ずかしいところを見せる」プロだなと思った。
誰にだって忘れられない人や出来事がある。忘れられないなら、忘れなくていいよなと思う。
結婚は相手の人生と家族を背負うこと。背負いたいと思える人に巡り会えるのって、奇跡だし素晴らしいことだ。結婚願望が少し上がった。