見出し画像

わたしのおばあちゃん

私の家は両親が共働きで、よく小さい頃から実家から歩いて10分のところにある母方の祖父母の家に預けられた。

幼稚園の頃は母に代わっておじいちゃんやおばあちゃんが幼稚園のバスの迎えに来てくれた。

小学生の頃は平日は鍵っ子で学校が休みだった土曜は同じく両親が共働きのいとこと私の弟と一緒に祖父母の家に預けられた。一つ上のいとこと遊ぶのはとても楽しくて毎週土曜日が楽しみだった。

平日もときたま我が家を自分の家同然に使い、テレビを大音量にし床でゴロゴロしながらおかえりとむかえてくれる日もあった。怖がりのわたしはいつも家に帰ってカギを開けるとき、泥棒がいたらどうしようと思いながら帰っていたのでおばあちゃんの自転車がある時はホッとした。

こんなに子どもの面倒を頼んでいるのに母はおばあちゃんのことを嫌い、仲が悪い。

その理由は色々あるのだけど一つはおばあちゃんの家が相当なゴミ屋敷だからだ。

わたしは今、介護の仕事をしていていわゆるゴミ屋敷と言われる家に行くこともあるけれど、自分のおばあちゃんの家以上に汚い家をみたことがない。笑

足の踏み場もなければ座る場所もままならない。雑貨と食品もごちゃ混ぜでいろんなところに置いてある。中には放置され続け、腐った食材も。だからおばあちゃんの家はどくどくの匂いがする。笑

ねずみやゴキブリに出会う事も珍しくない。

いつもゆっくりゆっくり歩いてるおばあちゃんだけど、ゴキブリを捕まえるおばあちゃんの動きは俊敏だ。

私のおばあちゃんは外に出るのが大好きな人だ。心臓が悪く何度か倒れて救急車で運ばれるのも大抵どこか出先からだ。孫としては家で倒れたら誰にも発見してもらえないから外で倒れた方がいいなと思っている。笑

だから土曜日におばあちゃんの家にいとこと行くと大抵、お昼は外食だった。家が汚すぎてそんなに長居できないからでもあるけど。笑

ラーメンが好きなおばあちゃんは、ラーメンのことを「そば」と呼び「おそば食べに行こう」と孫3人をよく近所の中華屋さんに連れ出した。

そしてその後はお決まりにおばあちゃんは「ハイヤー」と呼ぶ、タクシーでショッピングモールに向かい、孫3人にそれぞれ1000円渡しゲーセンで遊ばせる。

今思うとなんて贅沢な土曜日だ。

たまに、おばあちゃんの家でご飯を作るときもあるけど思えばおばあちゃんの手料理って食べたことないなとこれを書いて思う。

母曰く、おばあちゃんが母に作った弁当はほんとにおかずもなしの日の丸弁当だったそうだ。それが嫌だった母は中学の頃から自分で弁当を作っていたそうだ。

おばあちゃんは孫3人に包丁を持たせ野菜や肉を切らせホットプレートで焼いてお家で焼肉とかそんなことを良くしていた。

家では母は仕事が終わって料理をしていたのでスピード命でなかなか一緒に料理ということができなかったので私はこうやっていとこたちと料理をするのが楽しかった。半ば実験のように誰が1番ジャガイモを薄く切れるかとか好きな形に野菜を切ったり楽しかった。

おばあちゃんは心の声がだだ漏れの人で思ったことを全て口に出す。あの人、太っちょねとかあの人、綺麗ねとか、あの人の服装面白いわねとかなんでも。だから小さい頃は一緒に歩いていて恥ずかしい時もあったけど誰にでも話しかけられるおばあちゃんが人見知りの私には羨ましくも思った。

あまりに親しくは話すので知り合い?と聞くと知らないわよと平然と言う祖母に何度驚いたか。

心の声だだ漏れだし、ゴミ屋敷だし風邪で幼稚園休んでる孫をデパートまで連れ出したりハチャメチャなおばあちゃんだけど、私はなんでもポジティブにそして面白くしてしまうこのおばあちゃんが大好きだ。

散々、テニス部に入ると言って入学した中学で気が変わって吹奏楽部に入った時、両親は理由も聞かずブーブーに文句を言ったけどおばあちゃんはラッパ吹けるなんてかっこいいじゃないと言ってくれた。

お花が好きなおばあちゃんは部屋は汚くてもお花は綺麗に育て、なぜかトイレだけはキレイだ。おばあちゃんを見ているとよくトイレの神様の曲を思い出す。

わたしが摂食障害で入院中は電車で一時間くらいかかる病院まで毎日お見舞いに来てくれた。何をするでもなく散々自分のことを話して帰っていく。でもそれがすごく私には楽だった。

おばあちゃんと話していると話もめちゃめちゃだけど聴いてて元気をもらえる。

今日、仕事が休みでおばあちゃんの家に顔を出してふと思う。

わたしの祖父母はこのおばあちゃん以外みんな亡くなっちゃったんだな。と。

そしてこのおばあちゃんもいつか死んじゃうんだよなと少し寂しくなったりする。

でもおばあちゃんが生きてる間、おばあちゃんとの時間も大事にしたいな。

ちなみにこの投稿のトップの写真は、先日おばあちゃんがどこからかもらってきたきれいなターコイズブルーの椅子に花が置いてあるものだ。どこからもらってきたのかも謎で母はまたゴミが増えたと呆れていたけど、この真っ赤なお花とブルーの色の組み合わせとはなかなかかっこいいセンスを持ってるおばあちゃんだなと孫は思った。

こんな事を思うからあんたとおばあちゃんは似てると母に言われてしまう笑

読んでいただいて、ありがとうございます。 自分のために書いた文章が 誰かの心にも何か残ったら嬉しいです。