音声教材を使ったら教科書とお友達になりますよと言った娘の話
娘が通う明蓬館高等学校の先生が、私に「音声教材」ご存知ですか?と提案してくれたのが高校1年の終わり。
通信制高校である学び場では個々にパソコンと教科書を使って学習をすすめていますが、娘は読めない漢字を先生に聞く事が多かったのかもしれません。
もちろん、パソコンや携帯で読めない漢字を入力すれば調べることは出来ますが、そもそも読めない漢字を入力できなきゃ調べる事も出来ずにいたのかな?そりゃ先生も大変だったろうな。
そこで、もう教科書が音声教材としてパソコン内にあれば読めない漢字は読み上げてくれるし!調べることも簡単だ。と先生は判断してくれたのでしょう。つまりそれが「合理的配慮」なんですね。
音声教材ってどこにあるのか?それを作る取り組みをしているのが東京大学先端科学技術研究センターというところにあるんだよとSNECの先生は教えてくれました。すごいでしょ?
全国の小中学校、高校で利用している教科書をデジタル化して読み書きに困難さを感じている人に提供してくれるシステムを用意してくれています。
もう少し詳しく説明すると、「紙の教科書を各出版社がデジタル化したものが「デジタル教科書・教材」で、紙の教科書を文科省が委託して特別支援教育向けの教材にしたものが「音声教材」となっています。」だそうです。
今のところは誰でも利用ってわけにはいかず、読みの困難さの状況説明を出来る人の申請と親の同意のもと利用できるシステムです。私的には義務教育で全員これ使えばいいのにと本気で思った便利アイテム。
高校2年生になってから、申請をして利用許可も得られて使ってきた娘にAccessReading事務局(東京大学先端科学技術研究センター)から利用してみて感じた事をインタビューさせてほしいと声をかけて頂きました。
そ、そんな、うちの娘はぶっちゃけ『教科書がMacbookに入っていると荷物減るし学校休んでもぜーんぶPCがあればできるから!』っていう安易な意見ぐらいしか私は聴いていないぞ。大丈夫か?と思ったけれど。いやそれが本音でそれが全てだろ!って夫は言うので。そうよね、ホントのこと伝えよう!と是非にとインタビューに挑みます。
というわけで先日ZoomにてAccessReading事務局の方とお話をしました。
事前のヒアリングシートに書かれたことから更に実際どのように使ってきたのかな?という質問がきます。
娘は最初うまく言葉で表現できず、相手も物足りなそう?そこで実際見てもえば?と私が言うと、サクサクと画面共有をして学校でのGoogleクラスルームの各教科の進捗、レポート、その際デジタル教科書で読めない文字はMacbookの調べる機能を利用していることを伝えると。すごい!デジタルツールをサクサクつかいこないしていることが凄いです。と褒められます。
コロナで習い事のラボパーティにもZoom利用を仲間に提案し、使い方のサポート分からない人にはとことんしてあげただけあります。Zoomは手慣れたもの!その姿に私も圧巻。
Macbookは高校の合格祝いに買ってあげたんですよ。と話すと、ここまで使いこなしているなら娘さんにとって価値あるものとなっているし素晴らしいプレゼントですね!と言われて「そうでしょ?」と私もご機嫌に決まっています。
しかし、その姿から小中学校ではどうされてたんですか?というシビアな質問に。誰も学びづらさに気づかなかったのですか?と思われたんでしょうね。音声教材も知らないし必死で親子で頑張ってきましたというと「それは大変でしたね」とじっくりとこれまでの体験を聞いてくれました。
学びづらさを真に理解しサポートしようと思ってくれている人のまなざしの優しさを私と娘は感じて心が緩んだといいますかホッとしたように笑顔になります。
そんなこんなで画面共有していると、娘のPCのトップ画面にある「スライム研究」という文字にAccessReading事務局のスタッフさんが釘着け。そこから進路の話もして私と娘の夢の話を聞いてもらう事になりました。
ミニミニ図書館、カフェ、スライム、というワードから私たちはまだまだ準備中で構想を話しただけなのに、東京大学先端科学技術研究センターにいる方は流石ですよね。暑さにも強いスライムにするには?色は何でつけてるの?スライムカフェなんて全国探しても無いはず!
スライムカフェ?と私たちも考えつかないアイデアにまで話は進んでしまうんだからもう私も娘も笑うしか無いし、嬉しくてたまらなかった。
こうして娘が音声教材と出会って様々な人と出会うことが出来るなんて予想もしていなかったこと。
だけど、困っていることに気づいてくれて、こうしたら出来るんじゃない?(つまり合理的配慮)を提供してくれる大人に出会ったことで人生を楽しくできる感覚。これ、私たちだけでなくもっと多くの人に届けたいよね!
中学校では成績5段階評価で「1」かよくても「2」しかもらえなくてもね子どもって学びたい気持ちあるんだよ。
手先が不器用でもね家庭科で洋裁したいし、美術で彫刻したいし、音楽でリコーダー吹きたいんだよ。プールだって暑い日に入りたいさ。
勇気を出して「わかりません」と質問しても、口で説明するだけ、これ見ればわかるでしょ?で先生が勤まっているのでしょうか?
出来ない子たちは、むしろ先生たちをそっと許しています。先生には私が困っている事わかるわけないもんね、と思って娘は黙って教室で座って時を過ごすことで精一杯だったように思います。そのたんび「よくやったね!出来ない事はバァバにお願いしよう!」(お母さんじゃなくて?笑)
いつも家族や理解ある人が気づけば応援してくれていたことがどれだけの力になったのかは今になり深く感じられて、同時に深く感謝しています。
それと今「どうしたらわかるかな?」から始まる学びで主体的に学ぶ姿を見て、どんな子にも可能性は秘めていると私は確信していますよ!
うちの子は何も得意な事がないから?どうせ無理。そう思ってしまう気持ちも必ず「あれ?うちの子にも人生楽しめる道あるじゃん!」そう思える居場所を私と娘は作りたいと考えています。
その最初の活動としてミニミニ図書館がこの秋にスタートする予定。
なんでミニミニ図書館?については、また!