父が嫌い
文字通り、わたしは父が嫌いだ。
声も姿も紡ぐ言葉も嫌いだ。
父を父と呼ぶ事にも嫌悪感がある。
わたしには父がいるけど、いないのだ。
理由は沢山悲しい思いをさせられたから。
良い思い出よりも嫌な思い出の方が圧倒的に多い。
気分のムラがあり、機嫌次第で暴言や暴力が出る。
相手が女性や子供であっても関係ない。
むしろ、自分より弱い相手じゃないとイキれないのだ。
口を開けば悪口、愚痴ばかり。
人の容姿をけなしたり、馬鹿にしたり。
誰よりも自分が子供なのだ。
弱い人間なのだ。
子供の頃は力がある者が強いと思っていた。
強い発言力、強い力がある者に従わないといけないと思っていた。
ぶたれても、酷いことを言われても悪いのは自分だと責めた。
それが私にとっての普通だった。
でも、その違和感は成長するにつれて強くなる。
おかしいよ。そんなのおかしいって。
力で人をコントロールすることなんて出来ないのだ。
本当に強い人は無闇に自分の力を人にぶつけたりしない。
暴力や暴言なんて、もってのほかだ。
弱い犬ほどよく吠える。その通りだ。
わたしは父が嫌いだ。
それがダメなこと、悪いこと、恥ずかしいことだって思っていた時期もある。
でも、最近は嫌いなままでも良いんじゃないかと思う。
父を嫌いなわたしもわたしなのだ。
ありのままの自分を受け止める。
そんな状態じゃ良くないっていう人もいるだろう。
でも、あの辛さを経験した人にしか分からない心境なのだ。
わたしは認める。
父が嫌い。
そして、そんな自分でもいいと受け止める。
いいんだよ、嫌いな人がいたって。
それも含めて自分なんだから。