『ハコヅメ』:源について
最近、SNSなどの感想での源の評判が、結構悪い。
私はハコヅメの登場人物の中で源と聖子ちゃんが1番好きなので、ちょっと悲しい。
そんなわけで(どんなわけで?)、改めて源について考察してみようと思う。
源誠二
町山署捜査一課の巡査部長。
たぶん26歳(カナが25歳との情報から)。
天パがトレードマークの「取り調べの天才」。
そしてバカ。
身長は明らかにされてないけど、通常点検の際に教導(その時1番背の高い人がなる)になっていて、かつ192㎝の宇土くんより低いとのことなので、190㎝弱くらいだろうか。
警察独自の身体能力テストではAAA級を獲るなど、運動能力も高い。
また、髪を短く切ると川合がドキドキするレベルのイケメンになる(本人は自覚なし)。
そんなわけで、総合的にみてかなり恵まれた容姿や才能があるのだけれど、さっきも言ったようにベースがバカなので、失敗もよくする。
特に書類仕事が苦手。
源と家族
源は実の父親が警察官だったが、源が生まれる前に殉職してしまった。
父親の名前は「誠」で、源の名前(誠二)は父親から取られている。
実の母親は健在らしいけど、源のことは兄夫婦に預けて他県に嫁いだようで、今のところ回想以外では出てきていない。
なぜシングルマザーや子連れ再婚ではなく、兄夫婦に預けることになったのか、その辺の詳細についても明かされていない。
源を引き取った兄、つまり源の伯父も警察官で、昔は刑事だったのだが、奥岡島事件を機に駐在所勤めになって今に至る。
また育ての母は専業主婦で、昔病気で子宮を全摘している。
源の聴取能力と,目標とする警察官像
源が「取り調べの天才」であることは、たびたび示されている。
難しい取り調べは大体源が担当しているし、性犯罪の被害聴取も卓越しているとのこと(59話)。
他の課の課長や係長も、「源がいれば大丈夫」という反応をすることが多い(110話や128話)。
源の取り調べ術は天性のものと評価されることも多いが、テクニックを駆使している描写もある。
共通の目的や敵を置いたり、相手を褒めたり…こういうテクニックは育ての父親を見て習得したようだ。
そしてその根底には、「育ての父親に息子だと認めてほしい」という思いがある(129話)。
なので,源にとっての「目標とする警察像」は育ての父親なのだろう。
あと,小さい頃よく家に集まっていた父親の同僚の警察官たちと。
そう考えると,源が「同期や仲間の絆」を大切にしていることも頷ける。
(聖子ちゃんに惹かれている理由も、同期を大切にしているというのが大きいみたいだし)
源の聴取能力などから生まれるカリスマ性は,信望者も生むし,敵も作る。
上杉や敷根など,男性の部下たちはかなり慕ってるが(上杉は心配になるレベル),本部の捜査一課の人からは敵視されている。
カナとの対照性と共通点
ここで急にカナの話を出すのだが,カナはかなり源とは対照的なキャラだ。
そもそも生い立ちから因縁があって,殉職した警察官の息子と,殉職の原因になった老人のひ孫娘。
思いっきり逆の立場である。
また体格も正反対で,長身で運動神経のいい源と,県警最小で運動が全くダメなカナ。性別も違う。
またカナは,源の「なんでも見通してきそうな目」に若干の恐怖心を抱いているし,それを後輩にまで使うことに反感を抱いている。
そして,源のような「能力」を自分は持っていないことに言及する場面もある。
そんな感じで真逆な2人なので,今連載中の『アンボックス』では対立する立場に立つのかもしれない。
とくに,『アンボックス』の重要なテーマぽい「警察の正義」にカナは懐疑的だが,源はむしろその中心にいる。
ただ,対照的に見せかけて,根底は似ているとも思う。
それは「他人と深く関わらないところ」。
両者とも生い立ちが複雑で,しかも性格がシニカルで感情の起伏もあまり激しくないので,他人に対して想いをストレートに出したり本音を晒したりすることがあまりないように思う。
他者をよく観察しているところ、基本的にあまり人を信用していないところも似ている。
だから,ただ対立するだけでなく,実は山田や聖子ちゃんに比べてお互い分かり合える部分もあるんじゃないかと思ったり。
源の聖子ちゃんへの気持ちに気づいてそうなのも,カナだけだし(宮原もか?)。
源の女性観と、聖子ちゃんとの関係
さっきも書いたように、源は生みの母親が他県に嫁ぎ、やや体の弱い母親に育てられている。
この「生みの母は自分を置いて去った」「育ての母は病弱」という生い立ちが、源の女性観に影響を与えているようで、「女の人はどうせいなくなると思ってしまい、信用できない」と発言している(139話)。
この発言がどれくらい本音かはわからないけれど、確かに源の聖子ちゃんに対する態度はかなり臆病だ。
聖子ちゃんに男の影が見えたらすぐ潰しにかかる割に、本人には踏み込んでいかない。
飲みつぶれた聖子ちゃんの背中をさすって介抱はしても、部屋に長居はしない(94話)。
うっかり踏み込んで(117話)避けられてる気配を感じたら、「冗談だった」と言って同期としての繋がりを保とうとする(特別編)。
この「同期としての繋がり」、源はかなり大切にしている。源は聖子ちゃんに頼られたら大体断らない。
町山署に異動し、取り調べ術を披露し、お願いがかかったゲームでは負けてやる。
「これまでだって これからだって おまえには絶対俺がついてる」とまで、のたまう(96話)。
この辺の、踏み込まないのにつきまとうストーカーっぽさが、最近SNSでは不評だ。
まぁ確かに真正面からぶつかればいいのだけど、同期という関係が壊れて、母親のように離れていかれるのが怖いのかもしれない。
ただ、『アンボックス』の別章②で、大山から聖子ちゃんを遠ざけたのは嫉妬や怒りから…という推測は違うんじゃないかなと思う。
聖子ちゃんに過保護な源だが、事案中に聖子ちゃんをかばったりしたことは今までないはず。
33話で聖子ちゃんがトオルさんからバットで小突かれた時も、イラついていたのは源ではなく山田だった。
むしろ警察官としての聖子ちゃんのことをすごく信頼していて、仕事の上では庇護の対象としては見ていないように思う。
負けず嫌いの聖子ちゃんがそういう対応を望んでいないことも、源ならすごいわかってそうだし。
みんなの前では対立しているのに、腹の中ではお互いを認め信頼しあっている。
聖子ちゃんの、強いが故の脆さをやんわりサポートしつつ、たまにちょっとの強引さで迫る。
そういう2人の関係性が好きです(急な告白)。
別章②の説諭
あと数時間で、別章③が更新される。
別章②で源が行った説諭に違法性があるのでは…という推測は結構見たし、私もちょっと思った。
でも大山の部屋から帰る際のやりとりでは、至極当然のことしか確認していない。
もしあれで大山が絶望感を感じて犯行に及んだとかの展開でも、説諭が悪かったとは言えないのではないだろうか(世論は批判するかもしれないが)。
警察が出来ることをできる範囲内で行い、その結果犯行につながってしまうとしたら、それは34話のカナと須藤の展開とまったく一緒だ。
34話の時はパトロールを強化してギリギリ止めることができたが、いつもそうできるとは限らないだろう。
結局なにが言いたいかというと、やっぱりカナと源は対照的なようで似ているなぁということです。
別章③はどんな展開になるかなぁ。
全然予想してない方向に転がってくかな。