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中古車輸出ビジネスの「闇」

ナミビアを走る車の多くは日本車だ。
体感でいうとおよそ7割くらいだろうか。
そしてそのほとんどが中古車である。

中古車。
全て輸入品。
つい先日、私は日本国内の中古車輸出業界のとんでもない闇を覗いてしまった。

1.日本車めっちゃええわぁ

手前味噌ながら申し上げるとやはり日本車の性能はズバ抜けて良い。ストレスがない。信じられないかもしれないが他国の中古車はスキマ風が吹き込んできたり、そもそもドアが開かないものも良くある。日本車はナミビア人からの評価も格別に高い。

まぁボロボロになってから差が付くのであって、新車のうちは分からない程度の差なのかもしれない。そういう意味では日本に住んでいても、その性能の良さは実感できないだろう。なにせ日本人は、まだまだ綺麗で乗れる車を売りに出してしまうからだ。

車検とはよく考えられた仕組みで、あれがあると「車検にお金払うくらいなら新車を買おうかなぁ。」と思ってしまう。まだ乗れる車を売って新しい車を買うなんてアフリカでは考えられない。

こちとらぶっ壊れるまで乗るのだ。
長持ちする物を作っておきながらさっさと乗り換える日本人の飽き性っぷりはもしかしたら世界の中でもトップクラスなのかもしれない。

ともあれ、そうやって日本の車経済は回っている。
(知らんけど。)

2.初乗り100円タクシー

ナミビアはタクシー社会だ。街を歩けばタクシーの登録番号を書いた車が走り回る。小学1年生も学校に行くのにタクシーを利用している。なにせタクシー料金は片道13ナミビアドル(約100円)と、日本では考えられないくらい安いのだ。

タクシーで通学する小学校低学年の生徒

だが当然、問題は多い。
中古車で成り立つナミビアのタクシー事情の中ではボロボロになっても走り続けるタクシーも少なくない。日本だったら完全アウトな車輌もたくさんある。交差点のど真ん中でエンストして当たり前のように渋滞を作ってたおっちゃんは今頃何をしてるだろうか。

あと、いちおう電車もある。

都市間移動に使うことができるのだがほとんど使う人はいない。たぶん自転車の方が速いくらいのスピードだからだ。一度踏切りで電車が通り過ぎるのを待ったが、一生この踏み切り渡れないんじゃないかと思うほど時間が掛かった。

この国の交通インフラは、外国からの中古輸入車が支えている。

3.中古車輸出ビジネスの「闇」

ある日のことだ。
私はタクシーの運転手と何気ない会話を楽しんでいた。

ドライバーによって気質は異なり、終始無言の方やめちゃくちゃ喋る方、爆音でEDMを掛けてる方などさまざま。
飽きが来なくて実にありがたい。

この日の私は会話の流れで、なぜか普段は絶対に聞かない事を聞いた。

「ダッシュボード開けて良い?」

なぜこの日だけ、こんな事を聞いたのかは分からない。でもなぜかこの日だけはダッシュボードの中が気になったのだ。

「いいよ!」

ドライバーが快諾してくれた。
私は本当に何気なくダッシュボード、いや、中古車輸出ビジネス界の闇の扉を開いた。

見覚えがある言語だなぁ。

そこにはとある国の「自動車保険の契約書」が入っていた。正直、一瞬笑った。

「いやいや!コレ入ったまんまって!どんな手抜きやねーん!笑」

みたいな事をドライバーに話して笑い合った気がする。だが良く良く考えたら怖くなってきた。、、、まともな企業がダッシュボードの中身も確認せずに輸出なんてするか?

私は恐る恐る中を開いた。すると、、、

あーコレは、、、アウトですねぇ。

アウトや。
リクエスト制度でビデオ判定しても100回中100回アウトなレベルでアウトである。

コレを書いているのも怖くなってきた。なのでここからは全て私個人のただの妄想でしかない、と申し添えておく。

契約日が2020年とはつい最近の出来事じゃないか。日本でこの車をかっさらい、まともな企業を通さずにここへ運んで来たヤツがいる。本当ならこの車を日本で大切に乗りたかった方がいらっしゃるのに、今は何故かアフリカの大地で客を乗せている。

このドライバーは「この車、つい先週手に入れたばかりなんだ!」と嬉しそう。この車がどういう経緯を辿ってこの国にやって来たのか彼は知らないだろう。(私も知らない。ただの妄想である。)

ダッシュボードを開けたのは初めてなので他のタクシーのことは知らない。ただ少なくとも他にも同じように流れ込んで来た車はあるだろう。いくら闇業者だって1台だけ輸出するなんて効率の悪い商売はしないはずだ。(悪いのは効率じゃなくて倫理観のほうってか?)

盗難車の話を聞くたびに、車なんて盗んだってすぐバレるのにアホやなぁ、と思っていたこれまでの私がアホだった。日本人がほとんどいない国でも日本車の需要はあるのだから、そういう所で走る分にはバレやしないわけだ。

しかしまぁ、こんな目立つ色の車輌を良く盗ろうと思ったなぁ。関西の中心地で2020年以降に車の盗難にあった方はもしかしたら該当するかもしれません。

なんの確証もないただの妄想話ですが。

とにもかくにも驚いた。日本からこの車輌を運んだヤツはいまも日本にいるんだろうか。この車の本当の持ち主の方は今どうしているんだろうか。

私はいま、遠くアフリカから日本の輸出ビジネスや治安を憂いている。

てかビビっている。

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