![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58043607/rectangle_large_type_2_687337372e3da9b9701c62a21ac5695f.jpg?width=1200)
7月の石川旅行(1日目): デパ地下、贅沢貧乏のマリア、天井の木目
四連休が始まる。石川で2泊3日。朝9時ごろ起床して、荷造り。昨日の時点で仕事で打ち返せるボールは全て打ち返した状態にできていたので本当に気分よく目覚めたし、荷造りもサクサクと進む。
服は、芦屋ロサブランのストローハット(素材が遮光100%且つ、つばがばかでかいので日焼けしにくい)、ユニクロのAラインコットンワンピース(色が大好き。ダークグリーン)、allbirdsのパンプス(黒)。胸元がさみしく、長めのネックレスを出かける直前に追加で着ける。
石川への交通手段はもともと、新幹線のグランクラスを予約していた。乗り物大好きな私はずいぶん楽しみにしていたのだけれど、緊急事態どうのこうのでグランクラスの予約がなくなり、結局グリーン席で向かうことに。トヨタ紡織の気合いの入ったシートを体感したかったが、仕方ない……。
発車予定時刻の1時間弱前に東京駅に着いていて、あれやこれや駅弁だのなんだの見て回り、結局大丸東京の地下でなだ万のお惣菜セット、タキモトのトロいぶりがっこ巻、とうもろこしのひげ茶を。
夫はなだ万のお弁当、韓国料理のお店でナムルの盛り合わせとハイボールを購入。この時点でやり切った感が強い。完璧。最高。時間に余裕を持って行動する大切さを夫といるといつも感じるのに、どうして1人だとギリギリでいつも生きる感じになってしまうのだろう。
新幹線発進後、すぐに食べ始めようとする私の隣で夫がじっとしていたので、早くひと口食べさせてくれという下心のもと「食べないの?」と尋ねたところ「大宮を出たら、大宮を出たら……」とぶつぶつ言っていて可愛らしかった。待ってから食べた方が美味しくなるよ、的なやつだ。よくこれを見ながら我慢ができるね。
こういう道中はひたすら車中から外の様子を眺めるのが好きだ。街の雰囲気がだんだん移り変わる様子も楽しいし、線路脇の家々の生活の匂いを感じるのも愛おしい気持ちになってたまらない。私の実家の周りのような、田んぼが続く中に自転車が1台すーーーーーーと走る情景も懐かしい気持ちになるからいい。今はそんな暑いことできない。想像しただけで肌が赤くなりそうだ。
いかにも夏らしい雲が広がっているのがまぶしく、夏ってすごく大森靖子さんの歌が似合うな、と改めてじっくりと聴いたりもした。「VOID」とか。初めてこの曲を聴いたとき、それはYouTubeで、だったのだけどコメント欄が「僕の・私のどうしようもなく好きだったクソ野郎の悔しいけど忘れられんエピソード」たくさんで、あれもまたなんだか一つ一つが胸掻きむしる良さがあって、ウワアアアアってなったなあ。
金沢に到着しホームに出た瞬間に、むわっと全身が湿気に覆われた。当たり前だけどあっついな!!と夫と顔を見合わせた。
迎えに来てくれていた、ほぼ2年ぶりに会う夫の祖父母。相変わらず背筋がしゃんと、溌剌としていてとても安心する。今夜は夫の実家に泊まらせてもらい、明日は温泉旅館に夫婦で泊まる予定。そして明日の朝食を、夫が祖父母に作ってあげる話になっていたため、その材料を駅で購入。
この、駅のスーパーがものすごく良かった。金沢野菜だの魚だの「ビーバー」(石川ご当地お菓子。揚げあられ)だの、ご当地のものがまるっと揃っていて、見ているだけでわくわくした。よくわからないご当地サイダーを試してみたくなったけれど、やめておいた。
14:00過ぎくらいに夫の実家に到着。庭の緑色と蝉の声に、一人で気分が盛り上がる。夫の両親は別の地域に現在住んでいるため今回は会えず。
よく冷えた加賀棒茶と、柑橘の皮の中にそのまま果汁がゼリーにしてあるものを出していただく。棒茶、ノンカフェイン、ああ、妊婦のためにわざわざ作っておいてくれたんだな、と嬉しくなった。
私から手土産の「クルミッ子」を渡す。その場でみんなでもすもすと食べる。おいしい、と言ってもらえて安心した。クルミッ子は本当に好きなので。
17:30から夫の家族がしばしば利用しているというお店を予約をしてくれているとのことで、しばしリビングで五輪のサッカーの試合を見たり、近況をお喋りしたり。
少し疲れもあったので途中からは離れにある夫と私が泊まる部屋へ下がらせてもらい、ごろごろしながら群ようこ『贅沢貧乏のマリア』を読む。夫の祖父母が普段使わない場所なのに、掃除して、布団を出して、冷房をキンキンにかけて準備してくれていて、本当にありがたいなあ、としみじみする。
私の父方の実家ではこういうことは期待出来ないだろう。なんていうか、「身内」に対してよくも悪くも「気遣いをしない」というか……夫の実家とは考え方がまるで違う。そして私の母は気遣う(そして気遣われないことにものすごくストレスを感じる)タイプなので、考えれば考えるほど私の両親、そりゃあうまくいかないよ、と自身が結婚6年目を迎えても事ある毎に感じてしまう。
日が傾き始めたころ、お店へ。トンテキやトンカツが美味しい店、と聞いていたけれど、冷菜、お刺身、鴨の治部煮……出てくる料理全て味わい深い。特に金時草だの太きゅうりだの、金沢野菜!噛み締めていた。もちろん、トンテキもトンカツも美味しかった。大きさに迫力を感じた。野菜も魚も肉も美味しいなんて、胃がいくつあってくれてもいいのに。
私が箸を滑らせ、ぶりのお刺身を醤油に盛大に落下させてワンピースをものすごいことにしたり、普段は決して饒舌ではない義祖父が、酔いが回って楽しげに若いころの話をしてくれたり、ああ、家族……という時間を過ごしてほくほくした。どこまでも私の実家と違う。ちょっと切なくなる。
夜はまた、『贅沢貧乏のマリア』の続きを読んで、少し疲れたら虫の鳴く声や、庭の木の揺れる葉音を聴きつつ「夏だ……」とわざわざ思ってみたりして眠くなるのを待った。麦茶も飲んだ。こういう時の知らない天井は、とても気持ちのいいものに感じる。