中洲川端のペルソナ
2021/5/23 下書き
福岡には、中洲川端という場所がある。
ちょうど、博多 ⇔ 中洲川端 ⇔ 天神 という位置関係になる。中洲のなかは昼間くらいにしかいったことがない。それもせいぜい商店街やキャナルシティにいくときくらいに。何故って、夜の中州は無茶苦茶怖いからだ。「龍が如く」のモデルの一例になるのも頷けるほど、全てを飲み込む街なのだ。
だから私は怖いのでなるべく近づかない。だけれども、博多⇔天神まで歩いて移動する際に(とくにこの情勢でなんかは)、中洲を避けて通れない。昼間なら、中洲のきわきわを歩けばいい。問題は夜だ。気を抜くとすぐに何がしかとエンカウントしてしまう。
そこで私は中洲川端のペルソナを被る。どんなペルソナかって?まず早歩きになって、少しガニ股気味になる。表情はキリっとした感じに心掛けて、ポケットに手を突っ込んだりなんかする。イヤホンをして音楽を聴いているふりをする。目を死なす。大体これでOK。
天神(あるいは博多)に差し掛かる頃には、表情も自然と柔らかくなって、歩き方も是正される。ポケットから抜いた手でイヤホンを外して目的地へ向かう。いつもこれで切り抜ける。胸はドキドキしている。
福岡は修羅の国と言われることがある。たしかに夜中に銃声の音が聞こえたりするし、いろいろな人がいる。でも、皆んな暖かくて人情味がある。食べ物は美味しいし、コンパクトに街がおさまっているから行き来がしやすい。
私なんかは交友範囲が狭いから、大体ひとりで歩いている。だから余り修羅を実感しないのかもしれないけれど、中洲川端はさすがにペルソナを必要とする。
小心者だから、人格を作らないと生きていけないんだ。
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