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Body Parts

私は、綾野君といろんな話をするんだけど、恋愛観とか死生観も話すんだよね。お互い本も読むし、哲学的なタイプではある。

綾野君も、私も知性に恋するサピオロマンティックです。

知性に恋します。

私はデミロマでもあります。

デミロマンティック(demiromantic)とは、「強い感情的な絆や、信頼関係が築かれている関係」の人に対してのみ、稀に恋愛感情を抱くセクシュアリティです。つまり稀にしか恋愛感情を抱きません。

だから男性に親切にされたら「親切だなー」と素直に思います。

私もそうだしねと思って生きているぅううううう。

映画のセリフだったと思うけど、男の人が女の人に告白するときに(うろ覚え)幼稚園とか、低学年のときにみた。洋画だね。

「100人の人とキスするより、君と100通りのキスがしたい」とプロポーズだったかな?告白して?

キスするシーンが、めっちゃ好きだった。綺麗!!!

「わー、素敵!!結婚したい」とそれを見て思った。

なので中2まで「誰でもいいから結婚したい」というとんでもない願望を持っていました。

みんなに「誰でもいいんだ・・」
「うん。結婚って1回しかできないから私を選んでくれたらうれしい」

「おっさんでも?」
「若くないと無理です。触れないです」

「あはは」

メルヘンかつ、リアリストで草。


それは今も健在だけど笑

学校を退学するとき「親に将来、好きな人と結婚できないかもよ」と言われた。

なんかめっちゃショックを受けた。
で、結婚を諦めた。

もういい。一生独身でいい!!!

親は差別的な人ではないから世間体の話をされたんだけど・・
そういうリスクもあるみたいな。

でも別にそれならそれでしょうもない奴の選別になっていいやと思った。

私もそんな奴は嫌いなので問題ない。

で、退学した。

なので結婚は諦めた。できないものだと思っている。

期待しない!!

男のいうことも真に受けてはいかん!!と思ってる。

もう1つ結婚したいなーと思ったエピソードがある。
それも低学年の時にテレビで見たドキュメントで。実話ね。
ある夫婦がいて、子供が10歳ぐらいなのね。

夫が不慮の交通事故にあって、植物人間状態に数か月なるの。

奇跡的に助かるんだけど。

体は完全回復するんだけど、ビタミン?なんか医療ミスで、脳に絶対に必要な栄養素を病院が点滴しなくて、脳に健忘症みたいな。
大きな記憶障害が残るのよ。(脳の一部がダメになった)

夫は、体は元気だから自宅で3人で暮らしてるんだけど・・

1日のうちに何回もすごく悲痛な声で、妻の名前を呼ぶのね。


で、呼ばれた妻を見て夫が絶句するの。

妻が8歳も年をとっているの。

そして自分を鏡で見て号泣する。

妻が「そうよね。ショックよね・・。あなたは交通事故にあったの。一命はとりとめたんだけど、医療ミスがあって記憶障害になったのよ」

「息子は?」

息子は旦那さんの記憶では、2歳なの。

「小学生になったの。登校してるわ。あなたに似て元気よ」

「会社は?お金はどうなってるの?」
「会社は退職したわ。お金は平気よ」

「どうしてこんなことに・・・」

夫は号泣。妻は全く泣かないの。

「大丈夫よ。何も心配しないで。愛してるわ。息子もあなたのことも私が守っていくから平気よ」
と手を握って夫を見送るの。

夫は「すまない。なんということだ・・・なぜなんだ。すまない。僕も君と子供を愛している」と言って、またぼんやりモードになるの。

ものすごく残酷なのが、8年間これが続いてるの。
そして今後も死ぬまで続く。

ひどいときは、30分に1回繰り返される。

時間があいても2時間に1回ぐらいまったく同じ状態になる。

散歩もできるし、ご飯も食べることができるし、子供となんとく遊ぶことはできるけど。

突然、記憶が戻ってきて、我に返るみたいな感じだった。

過去の記憶をつかさどる脳は壊れてないから、生活はできるのよ。
だからトイレとか、お風呂は一人でできる。

でもどこで覚醒するかわからないみたいな。

なんか普段はボーとしてた。

で、いきなり意識が戻って「ここはどこだ!!!」と叫んで妻の名前を大声で呼ぶ。


でも新たに何かを記憶することはできないのよ。

脳は不思議で、妻も諦めがつかなくて、たくさんリハビリさせたり、何かして働けないかを模索した時期があったんだって。

技の記憶はBODY に刻まれるんだって。

夫は、キーボード入力ができなかったんだけど。
事故後、キーボード入力ができるようになった。

夫に書面を渡して「キーボード入力して」と妻がいうと、夫は無言で受け取って「不思議だ。やったことがないのに打てる」と答えてた。

事故後の様子を動画に撮って、夫の日常を見せたりもしたけど。

夫の感想は「わからない。記憶がないので。年もとっているし、自分に似た俳優さんを見ているようです」とインタビューに答えてた。

動画を見ているときの表情が、めっちゃ無なんだよ。

妻は、ありとあらゆることをやりつくし。

夫が今まで出来なかったことが、出来るようになったことをすごく喜んだけど。(技の記憶を磨いた)

夫は「変な感じがする。なぜできるかわからない。自分ではないみたいだ。気持ちが悪い」と泣いていて。

妻は絶句していた。
子供の3~9歳の誕生日会を見せても無。

何を見せても「わからない。これが2歳だった息子なの?今何歳なの?」と聞いてて。

幸せになれなかったのよ。

そして覚醒時間は、すぐに終わる。

また30分後「ここはどこ?」が始まる。

絶望しかない。


インタビュアーが妻に「1番つらいことはなんですか?」

「経済的逼迫です。私が働きに出れないのです。内職をしています。夫を預けたりもしましたが、パニックを起こすのです。そもそも預かっていただける場所もそんなにありません。体は健康なんですから・・」

「夫に経済的相談が出来ないこと、教育の悩みや、病院のこと、裁判など色々なことを相談できないことです。すべて私一人で解決しないといけません。今はまだ若いからいいけど、夫も若いので長生きします」

「奥さん、大変ですね。強いですね」

「ははっ、強くならないと生きていけませんから」

インタビュアーが、くそやなと思ったけど。

でもそれが世間やなとも思って、幼心に響いた。


それに対する妻の言葉が「すごい」と思った。

すべてを飲み込んで、そう発言したのがわかった。

「もう夫は私を抱きしめてはくれないでしょう。せめて彼が絶望しないように、大丈夫だということだけを私は伝えることにしました」

奥さんはリハビリをやめた。

記憶障害だから回復しないらしい。
でも諦めきれなかったと言ってた。治療法はない。


最後のインタビューは、それで終わった。

号泣。。。

書いてても泣く。。

全然大丈夫じゃないのに

「大丈夫よ。お金はある。心配しないで。息子は元気よ。今は10歳よ。私は最後まで、あなたのそばにいるわ。ずっと愛してる。何も心配しないで」

と30分に1回話す人生・・・

壮絶


夜中もあるんだって。

電気をつけて「落ちついて聞いてね。そうね。びっくりしたわよね・・・」と永遠に話してた。

「私も泣き叫んだ時期がありました。でもどうせ夫は忘れてしまいます。それに主人は毎回1回目なんです。なので私も1回目として話しています」

「俺は、何年こういう状態なの?」と何回も聞いてた。
「8年よ」

「8年間ずっと?記憶がない。どうなってるんだ俺」
と号泣する。

1日に何回も、何回も。

「大丈夫よ。心配しないで。私も息子も幸せよ。ずっと愛しているわ」

旦那さんが「すまない。僕も君と息子を愛している」と言ってた。

でもすぐ記憶がなくなる。

まじで生き地獄。

綺麗ごとじゃない現実だからすごく悲しいと思った。

私は幼心に「愛せるかなー」と不安になった。
でも結婚したんだもんなー。

それも運命かぁ。

私も苦しいけど夫を捨てられないから、同じ人生になる気がすると思った。

なんとも言えない涙を流しまくった。

ただ夫の質問の仕方とか、喋り方が妻を気遣ってる感じだったのね。
脳機能が弱っても、どういう人だったかは、なんとなくわかるのよ。

記憶はBODYにも宿ると思った。

脳の記憶は、すぐなくなるけど。

妻が「心配しないで。私があなたと息子を守っていくからね。ずっと愛しているよ」と1日に何回もいうことによって、そのままの夫でいれる気がした。

脳機能が低下すると暴言を吐いたり、不安感から攻撃的になる人が多いんだって。

でも夫は泣くだけで終始、穏やかだった。

脳の問題だから、たまたまかもしれない。

私がメルヘン脳だから、そう思うのかもしれないけど。

脳は忘れても、体の記憶が、妻の愛情を忘れていないと思った。

だから日に何回も手を握ってあげて「愛してるよ」というのは無駄ではないと思う。

それが彼の優しい人格をこの世に留めている気がした。

テーマが「Body Parts」だったんだよね。身体部位。

記憶は脳に宿るのか、それとも体に宿るのかというドキュメント。

単純に愛だけではない。美談ではないけど。

私はこの夫婦がとても好きだし、子供も幸せになってほしいと思った。


綾野君は普段はわからないけど、子供の時に腕の骨を折られていて、左右の腕の長さが違う。

左右さがある。

骨が伸びる部分を損傷した。

拳1個分左右の腕の長さが違う。

出会ってすぐに「見て」と帰り道に見せられた。

「どう思う?」

「うーん?長さが違うってこと?」
「そう」

「別に何も」

「気持ち悪くないの?」
「なんで?人間みんな左右非対称だよ」

「でもこんなに違わない」
「あー、それはそうかも。困ってることあるの?」

「ないけど。俺はスポーツをやってるから体のバランスが悪いかな。だからしっかり筋トレして筋肉の鎧をつけないと腰とか肩に負担がくる」

「へー」

「なんか感想ないの?」

「私はJガイル好き」

「ぶっ笑。JOJO好きなの?意外!!俺はJOJO展行ったわ」

「えええーいいなー。私も行きかったかったけど、コロナ禍で行けなかった」

「写真あるよ?見る?」

「えええ、見たい」

綾野君とは、JOJOきっかけで仲良くなった。

それまでは無言で、駅まで歩く仲だった。

なんか暗いし、怖いし。
でかいし・・・
喋らないし。

「俺は両手とも右手の男じゃない」

「あっ、うん知ってる。聞いてた。私は怪我とか傷とか好きだよ。傷マニアじゃないけど。そういう性癖があるわけじゃないけど・・」

「笑。性癖は草」

「傷がある男かっこいいいいみたいな中2病?ヒーローみたいで嫌いじゃない」

「そうなんだ。事故だったんだ」
後日、母親からの虐待で折られたと再度聞かされた。

そのときは、さすがの私も号泣したけど💦

同時には聞いてないけど、付き合ってしばらくして、綾野君が服を脱がない理由もわかった。

上半身にケロイドの跡がある。
熱湯をかけられてる。
何回か再生手術したけど、綺麗にならなかったらしい。

肩から胸あたりで、成長するにあたり皮膚も伸びるからケロイドも広がったらしい。

「見るな」と言われる。

「私は気にならないけど、綾野くんが嫌なら別に一生見なくてもいいけどさ。見てもよかったらガン見して舐めるわ」

「舐めるは草」

「あはは」

だからいつも「部屋を暗くして」と言われる。


「女の子なのかよ!!」

「ぶっ笑。脱ぐの勇気いるわ。直視すんな」
「じゃー、お前も見るな」←謎の勝気。

「嫌われたくない」
「大丈夫、綾野君の彼女は変態だから」

「ぶっ笑。何の変態か聞かせろ」

「あはは」

「ちょ、目隠しさせろ。話はそれからだ」

綾野君が、私のスカーフを目に巻いた。

「うーん。これは、これでなんかエロいな」

「これは、あかんやつ笑」

「あほすぎて草」

「まじそれな」

色々、渋滞して難航している。