Christmas time is here again
今年もあと一週間と二日、確実に終わりに近づいている。本日は旧天皇誕生日、クリスマスイブのイブである。街はクリスマス気分でキラキラと浮かれているのだろう。自分がいま暮らしている信州ではどうなのかというと、こないだホームセンターに行ったときは、入り口近くの一番目立つ場所にも、きらびやかなクリスマスグッズなど皆無。門松をはじめとするお正月用品がずらりと並び、ジングルベルよりはお琴の音色がずっと似合う雰囲気であった。どうやら、当地のネイティブ住民の暮らしにおいては、クリスマスというお祭りはなかったことになっており(いや、縄文時代の昔から「あったことなどない」のだろう)、お正月に向けて着々と歩み出しているようだ。それでいい。宗教的バックグラウンドのない、商売繁盛のためだけのお祭りなど空虚である。
といいつつ、非クリスチャンの自分はこの時期に賛美歌を聴くのが大好き。特に好きなものを3つ挙げたい。すべてジャズミュージシャンによるもの。
ハンク・ジョーンズとチャーリー・ヘイデンのピアノとベースのデュオは、自分にとって本当に特別な音楽で、1995年の「Steal Away」は大切な大切なアルバム。旧ブログに心を込めた紹介記事を書いたこともある。
「It Came Upon The Midnight Clear」(天なる神には)が入っている「Come Sunday」はその続編で、2010年2月録音。ハンク・ジョーンズが91歳で亡くなる数か月前である。こちらも心の奥底まで響く名演揃い。天なる神に召される直前にこの作品を残してくれて本当によかった。音楽家とは何と有り難い存在なんだろう。
チャーリー・バードの「O Holy Night」(さやかに星はきらめき)は、1966年の「Christmas Carols For Solo Guitar」というアルバムの一曲目。その名の通り、ギター独奏でクリスマスキャロルを美しく演奏している作品。最高。大好き。ストリーミングで出会ったのだけど、ぜひ円盤の形で手に入れたいとAmazonを見てみれば、新品では出ておらず、高い中古盤があるのみだった……と思っていま改めて見てみたら、1000円台前半で中古があるではないか。どうしようかな。でも、できればレコードで欲しいところだ。自分はこの「O Holy Night」のような、長調と短調が交錯する曲がとても好き。
そしてポール・デズモンドとMJQの共演による「Greensleeves」。これも音楽の魔法が込められた奇跡の名演。1971年12月25日の演奏、まさにクリスマスの日に神様も音楽家たちのもとに降りてきてくださったんだろう。ポール・デズモンドもMJQも都会的でクールな表現が持ち味だけど、この演奏にはとにかく包み込まれるような暖かさがあるのだ。ホールの残響音も含めて本当に夢見心地にさせられる。これまた旧ブログに、この曲のさまざまなカバーバージョンを並べた記事を書いたことがある。定番中の定番ながら、自分の中では色あせることのないメロディ。
本当は、今年を振り返る記事を書こうと思ってキーボードに向かったのだが、全然違うことになった。年内にもう一本書けるだろうか。よいお年を、いや、よいクリスマスを。