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つまらない仕事、内気な性格、もっと何とかならないの?
この記事のタイトルは、初期のRCサクセションがライブのみで演奏した未発表曲の名前を3つ並べただけである。しかし、こうやって並べると、自分の現状を余すところなく表していると思うので引用させていただく。現在抱えている仕事が死ぬほどつまらなく、かつひどく難しくて全然進まないのだが、もう納期も延ばしてもらったし、どうにもならなくてもどうにかして終わらせなければならない。こういうとき他力に頼れないフリーランサー、「自由業」の響きに騙されてはいけない。たしかに期日さえ守れれば南の島のリゾートで作業したっていいし、一日じゅう寝間着姿で布団にくるまりながら仕事をしても文句は言われないが(自分はそんなことしないが)、すべては期日を守れればこその「自由」である。作業が予想よりも難航すれば、1日が48時間になることを天に祈るしかなく、その願いが叶わなければ睡眠時間と精神を削って対処するしかない。これまで何度もこんな難局を乗り切ってきたが、果たしていつまで続けられるのか。
内気な性格は、物心ついたときから悩みの種。他人に頼るとか、悩み事を他人に打ち明けて相談するとか、自分から他人を何か楽しいことに誘うとか、一切できない。ややこしい人間関係は可能な限り避けたいし、他人に積極的な興味が持てないから噂話にも参加できない。それでも、以前はたまに高校や大学時代の友人たちと集まったり、あらゆる種類の人間がひしめく大都会ムンバイに暮らして習い事をしたり、帰国後も年に1~2回は出張仕事に参加して同世代の同業者とチームを組み、つらくも楽しくもある共同作業に取り組んだりしていた。歳を重ねて、それなりに他人と和やかに楽しくやれる自分も発見できた。しかし、現在は周りに知り合いがほとんどいない田舎暮らしをしていて、コロナ禍を境に出張仕事もなくなり、友人同士の集まりも久しくご無沙汰である。結局、今の生活は引きこもりに限りなく近い。
最近はThreadsに投稿するようになったことを何度か書いた。それも昨日やめてしまった。AIが自分の興味のありそうな投稿を選んで表示してくれるということで、しばらくは楽しめていたのだが、どんどんつまらなくなった。自分の性格が内気すぎてAIもついていけなくなったのか、それとも他SNSから流れてきたユーザーの急増をさばききれなくなっているのか、自分にはわからないけど、日本語を話す世間一般の人々が内省を経ず条件反射的に発する言葉の洪水に耐えられなくなった。その刃先が自分に向けられていなくても、炎上も差別も誹謗中傷も、心ない言葉を目にするのはもうたくさん。こうなるのはTwitterをやってた数年前からとっくに分かっていたことなのに、自分も世間の流行に乗ってAIの能力を過信していたのかもしれない。すべての言葉はさようなら。こうしてネット上でも狭い世界に戻って、引きこもり指向にはますます拍車がかかるばかりである。
この現状のままでいいのだろうか、もっと何とかならないの?と思いつつ、ひたすら冬の寒い日々をやり過ごしている。別に何ともならないのだろう。自分の生きている場所もなかなかの地獄だと思うが、誰もがそれぞれの地獄を生きている。こうやって客観的に書き出してみれば、まあいつもこんな風だなあ、とわかる。通常運転といえば、通常運転である。今はまとまった文章を書いてネットに発表できるようになっただけ、まだ全然いい。こうやって自分の文章が書ければそれで十分。やっぱり、SNSいらなかったな。昭和、平成、令和と生きてきたポンコツ人間の記録、次はどんな元号になっているか知らないが、50年後にもどこかの誰かに読まれて、ちょっとは笑ってもらえるといいな、と願いながら継続していこう。
上記の3曲が入った、初期RCサクセションの未発表ライブ収録のCDが付いていた音楽誌「ロック画報」は、旧居の自部屋が被災したときに水浸しになって捨ててしまった。本は元々あまり持っていなかったけど、かつては千枚以上所有し、大量処分後もそれなりの枚数が残っていたCDも、ごっそり減った。あれ以来、あまりモノを買いそろえる気にもならず、特に断捨離を望んだわけでもないのにミニマリスト的な暮らしが続いている。自分に残っているのは、あの日にかろうじて2階に避難させたアナログレコードだけ。レコードまでやられていたら、自分はどうなっていたことだろう。夜寝る前、少しでも時間があれば、イヤホンをしてレコードをかける。最近はたいてい、3曲目あたりで寝落ちしてしまう。今の自分が心底からくつろげる時間は、このときだけ。これからもやっすい古レコードぐらい、何枚だって買ったっていいよね、と自分を甘やかして今日の作文はおしまいにする。
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