![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/87933540/rectangle_large_type_2_cf3f210544811f3bb4aef7a1506c98f0.png?width=1200)
【2016】ぷにぷにスイッチ【#電子楽器 #インターフェース】
![](https://assets.st-note.com/img/1664446593797-y13ZSXxQOD.jpg?width=1200)
動作している様子↓
なぜ、ぷにぷにスイッチを作ったのか?
ぷにぷにスイッチを作ったのは、単にかわいくてぷにぷにしたものを作りたいという、私の思いつきによる。
ちょうど株式会社エクシールという会社から「人肌のゲル」という商品が出たのを、何かの経由で知って面白いと思った。それを使って何か作ってみたかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1664537641967-zQmO6YB26n.jpg)
オリジナルキャラクターも作った。
![](https://assets.st-note.com/img/1664454615441-hlUDkMQ3Xb.png)
感圧センサーの値に応じて、この子がジャンプするだけ、という簡単な作品を作りたかった。かわいいおもちゃがつくりたかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1664451251532-JmdtezSMSY.png)
感圧センサーを使ったアニメーション、あるいはモーショングラフィックスと呼んでいいのか、そういうものがあって、しかもボタンがぷにぷにしてたら斬新だし楽しかろうと、作ったのがぷにぷにスイッチだ。
当時私は真宗大谷派の僧侶になるべく絶賛修行をしている最中だったので、道場では当然ながらものづくりをさせてもらえないし、他のことで忙しく捗るはずがなかった。
だが、たまたま修行道場がある京都でNicoTech(ニコニコ技術部)の祭典NT京都が3月に開催されるというのを聞きつけた。道場の修行期間が明けて何日か滞在すれば、その祭典に参加できる! 私は基本的に何かのイベントに向けてでないと制作モチベーションが大して上がらない人間なので、NT京都出展を目標に、大して時間はなかったけれど頑張ることにした。
時にして、真宗大谷派僧侶として得度した翌年の、2016年1月のことであった。
目標・価値・実現方法
目標
ぷにぷにしたスイッチを作って、色んな人に触ってもらう
NT京都に出展する
当初は基本的にこれくらいしか目標がなかったのだが、いろいろなご縁が重なって
ニコニコ超会議のニコニコ学会βのブースで発表する
NT金沢に出展する
目標も増えた。
実現したい価値
ぷにぷにスイッチを触ってもらって面白がってくれる
「やわらかいものを噛ませると感圧センサーの反応が柔らかくなる」という発見をMakerの友人たちに伝えたい
思い返せば、基本的に特にこれ以外何もなかった作品だった。
実現方法
材料:人肌のゲルは通販で買えばよく、シリコン型も確か京都四条の東急ハンズで大体揃った。感圧センサーにピッタリ合わさる大きさの半球のものや、四角いシリコン型も買った。
感圧センサーやArduinoはGravitonを作った時のものをそのまま流用している。電子回路:基本的にGravitonを作った時と全くと言っていいほど変わらない回路なのであまり考えることが少なかった。
音とグラフィック:Processing + SuperColliderという構成でシステムを組んだ。Processingはプログラミングでグラフィックを描画するソフト。SuperColliderはプログラミングで波形から音を生成するソフトである。
制作場所:これが問題だった。道場は基本的な工作道具を含め何もないし、何も持ち込めない。パソコン・スマホすら持ち込み禁止なのである。なので、制作にあたっては、道場が休みの期間を利用してあちこち移動しながら制作することにした。
制作プロセス
道場が休みの期間にはいり、真っ先に作ったのがぷにぷにスイッチの「ぷにぷに」の部分である。
人肌のゲルは基本的に特殊な液体を0.1g単位で分量を細かく調整しながら混ぜて型に流し込むということをする。常温でも硬化するが、ホットプレートで熱すると反応が早くなり、固まりやすい。
そこで、友人宅のホットプレートをお借りしてぷにぷにを作ることにした。
![](https://assets.st-note.com/img/1664451408412-NIICGGY7uH.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1664454434078-BScp5tEtLx.jpg?width=1200)
出来上がったぷにぷにはまずまずの仕上がりで、あとはほこりや紫外線を避けて常温で保存すればいい。
システム構築は京都のコワーキングスペースをあちこち渡り歩きながらコーディングした。
この動画↓は、「感圧センサーでProcessingに描画した円が動くか検証したdemo」である。
こういう小さな検証の積み重ねをしながら、作品を作り上げていった。
経験したこと
旅をしながら出先でものづくりをする経験。割と楽しかった。
反省したこと
「やわらかいものを噛ませると感圧センサーの反応が柔らかくなる」というが、今思い返せば、「ただの感圧センサーの正しい使い方を再発明しただけ」の作品であって、インパクトには欠けるかな。
インパクトには欠けるものの、情熱だけで突っ走ってしまった結果、見にきてくれたお客さんに何が残ったのか、よくわからない作品になってしまった。
成果
![](https://assets.st-note.com/img/1664451514729-xs4CAkAH6x.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1664451592075-zrHR6ADH3m.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1664451675984-I5BauTTzG4.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1664451716764-PAbniGmn4X.jpg?width=1200)
当時の発表資料↓
目標達成率
ぷにぷにしたスイッチを作って、色んな人に触ってもらう(100%)
NT京都に出展する(100%)
ニコニコ超会議のニコニコ学会βのブースで発表する(100%)
NT金沢に出展する(100%)
総括、とその後の顛末
正直、ぷにぷにスイッチ作りは、制作当時のアツいテンションの割には、あまり思い出に残らなかった。
私にとって多分、課題が簡単すぎたのである。Gravitonという昔取った杵柄を応用すればすぐにでもできてしまうレベルの簡単さだった。
にもかかわらず、「ものづくりの僧伽」とか、若干偉そうにしてしまった。だから、今思い返すだに、正直あんまり後味がよろしくない思い出でもある。発想はよかったとは思うけれどね。
Gravitonほど粗大ではないが、ぷにぷにスイッチも制作後未だ活路が見出せないまま、劣化してゴミになってしまった。人肌のゲルのコーティング剤は意外と劣化が早くて、1年経つか経たないかですぐに色が黄色くくすんでしまう。おそらく紫外線に弱いのだろう。そもそも人肌のゲル自体、劣化しにくいシリコンを皮膚のように覆った上で、内部に充填する形で使うのが無難な使い方かもしれない。
今後の展望
「感圧センサーの正しい使い方」をマスターしたと考えれば、電子楽器の設計に応用が効くというものだ。
ツマミの代わりにする、フェーダーの代わりにする、サウンドエフェクトのアクセントに使ったり、それこそパッド・ボタンにするのもありだ。
私にとって扱いやすい電子楽器を作る、その一つのアクセントとして「ぷにぷにスイッチ」も使えないだろうか。
また、ぷにぷにスイッチ以外でも、人肌のゲルを使えば電子工作は色々楽しめそうなので、それにもチャレンジしてみたい。やわらかいロボット、やわらかいコントローラーなんかは、私も空想中である。