
講義篇5:「恋愛」の公式ルール
この記事は、2022/06/23にRadiotalkで収録したものを文字起こしして、さらに修正を加えた内容です。元音声が聞きたい方は以下のリンクからどうぞ↓
#Radiotalk #Non Shikaneの考え過ぎRadio
今回は《「恋愛」の公式ルールを考えすぎてみた》っていうことでね、恋愛について話をしようっていうことで。5回目くらいになりますかね。そういう話をしようと思います。
前回までのところでね、異論とか反感とか色々あるかなっていうふうに思うんですけれどもね、そういうことは是非是非お便りをお寄せいただければと思いますし、「自分もそう思うな」というところもあればお便りお寄せいただければと思うんですけれども。
恋愛は「ゲーム」であるからして「ルール」がある
要するに、恋愛は「ゲーム」であるからして「ルール」があるよね、っていうことで。それぞれの人がそれぞれにね、独自のハウスルールみたいなものはね、お持ちだと思います。それぞれの人によって、「恋愛に関してはこういうルールを守ってる」っていうふうな、「恋愛のマイルール」みたいなね、そういうことは全然あっていいんですよ。で、そういう形で、ルールに関しては、自分で作り上げていいところ、クリエイティブにしていい部分と、クリエイティブに作り上げるっていうよりかはやっぱり共通の認識として「恋愛ってそもそもこういうルールのゲームだよね」っていうような一定の基準と、両方やっぱりあると思っていて。そういう、一定の基準って何なのかな、っていう。一定のルール、ですよね。皆さんがルールとして既に守っている、あるいはルールとしてちゃんと守っていて欲しいなぁ、その基準を満たしてないんだったらそもそも恋愛って呼べるかなぁそれ、っていう、そういうルール・基準は一応確認しておこうと思うんですけども。
私は立場上Queerなところにいるので、そういうところで、より拡張した形で「『恋愛』の公式ルール」っていうことを考えすぎてみたので、それについて発表しようと思います。
「恋愛」の公式ルール
「恋愛」の公式ルール、大きく5つ考えてみました。
同じ時間と場所を共有してること
お互いにパートナーを探していること
お互いに相手が性的ロマンあるいは性的指向の対象になっていること
お互いに相手に好意があり、そのことで同意を得ていること
①~④までの確認と同意のプロセスにおいて暴力や差別がないこと
この5つです。こういうところはあるかな、っていう基本的なところを挙げてみました。
①同じ時間と場所を共有してること
なんですけれども、「同じ時間と場所を共有してる」っていうことは、簡単に言い換えれば「出会っている」っていうことです。そもそも、出会ってもいない人と恋愛はできないですよね。そういう、シンプルなことです。
②お互いにパートナーを探していること
これは恋愛特有かなって思うんですよ。あ、でも、別に「仕事」でも「仕事上のパートナー」を探してる、みたいなこともあり得るか。何かしら、一人じゃできない何かをやろうとしていて、そういうことになったら、やっぱりもう一人、パートナーが欲しいなぁ、とか、あるいは場合によってはね、もう二人、もう三人、パートナーが欲しいなぁ、っていうふうなね、そういうゲームだったりするわけですけども、恋愛もそういうゲームの中の一つですよね。
大概、日本では重婚っていうのは認められていないので、パートナーの募集枠は「1人」にどうしてもなってしまいがちなんですけれども、世界を見渡すと「ポリアモリー」とかね、そういう関係性もあったりとかするので、パートナーとしての募集枠は「2人」とか「3人」とかね、そういうふうな形で増やしても構わないと私は思ってるんですけれども。
とりあえず、「恋愛」っていうゲームにおいてはどの道、お互いパートナーを探している、という条件が必要ですよね。だから、逆に言えば、世の中にはパートナーを探してない人がいるわけです。その人は、この先は分からないけど今だけは独身でいたいっていうこと、あるいは生涯独身でいたいっていうことを信条にしていらっしゃる。それはそれで別にいいことなんですよ。ただ、恋愛はその人にとっては始まんないんだろうなっていうことは思ったりとかするわけですよ。むしろ、「恋愛」っていうゲームに巻き込まれることをうっとうしいと思ってるかもしれない。で、「恋愛」っていうゲームに巻き込まれることをうっとおしいって思ってる人を相手に恋愛はできないですよね、っていうことは基本的にあると思います。
③お互いに相手が性的ロマンあるいは性的指向の対象になっていること
っていうことなんですが、これはね、やっぱりLGBTQっていうことも含めた射程を考えると、まぁ、そうなりますよね。
性的ロマン、「あるいは」って言ったんですけど、つまり世の中には、恋はしたいけれども性的関係、セックスですよね、そういうところまでは望んでない、みたいな、そういう人もいれば逆に、恋愛は別にそんなにしたくないんだけれども、セックスはしたい、そういう人もいたりとかするわけですね。その両方がない人もいます。LGBTQっていうことで言えば、女性でありながら女性だけに向いてたりとか、男性でありながら男性だけに向いてたりとか、男女両方に向いてたりとか、あるいはXジェンダー・ノンバイナリーも含めたいろんな人に向いてたりとかね、色んな形があるわけです。色んな形があっていいわけです。
でも「恋愛」っていうゲームのルールにおいては、何かしらその性的ロマンの対象・性的指向の対象に、お互いがお互いにとってなっているっていう、お相手さんがなっているっていうふうなことがないと、恋愛が始まらないし、そこを超えて何か手出しをしようとすると、これは完全に暴力になります。で、
④お互いに相手に好意があり、そのことで同意を得ていること
ですけれども、「お互いに好意があるっていうことを確認できる」と。そのことで「同意を得ている」と。お互い好き同士ですよ、両思いですよ、っていうことについて同意を得ている、そうすると恋愛が始まるっていうね。
そういうことがあるんですけど、その「好意」っていうのがなかなかくせ者なんですよね。性的ロマンがない人にとってはどうなのかとかね、そういうところはあるんですけれども……。ややこしい議論は置いといて「公式ルール」みたいなところになると、「好意がある」っていう事を確認できる、「恋愛関係にこれから入っていきましょうね!」っていうことで同意を得ているっていうことは、「恋愛」というゲームの一番の特徴で、中核的なところをなしているなぁ、ということは思うんですけれども。
五番目として、
⑤①~④までの確認と同意のプロセスにおいて暴力や差別がないこと
っていうのは、まず、①から④までのね、プロセスを逐一確認するわけです。
「出会っている」ということを確認する。
「パートナーを探している」っていうことを確認する。
「性的な対象になっている」ということを確認する。
それで、「好意がある」っていうことも確認できた。
そこまでの四段階のプロセスの中に暴力とか差別がなければ、恋愛、と言っていいかなと思うんですね。
暴力があるケースっていうのは要するに、極端な例で言えば、相手を監禁して、無理やり好きって言わせる、とかですね、無理やり「お前、パートナー探してるっていうことにしろ!」みたいな同調圧力をかけるとかね。問題外っていうことです。恋愛を装った相手への「支配」であって、それって恋愛ですか? っていう、そういうことです。
大体、この5つが公式ルールではないかなと私は考えすぎております。が、これ以外にもいろんな公式ルールがあると思っていて、私が取り上げてない中にも重要なルールがあったりするかもしれないので、「こういう見落としあるよ」ということでご指摘いただけるとすごく私はありがたいなっていうふうに思いますし、「これはどうなのかな」っていうそういうご意見もお寄せいただければと思います。
長くなってしまったのでこれまでにします。以上です。