Gutto NEET Note 06
まずは第6回目の講座を受講するにあたっての意気込みをご覧ください↓
講師・上野くん
グットニート養成講座第6回のテーマは「一人飲み」。
講師は上野くんだ。
彼のことを認知したのは、モテアマスのファッション住民LINEにマグロのクラウドファンディングが流れてきた時だった。
そう、彼は料理人なのである。
時折、「色慾屋台」と称して屋台を出す。毎回美味しそうなので是非とも参加したいのだがモテアマスの外は蚊が多いしなかなかタイミングが合わないのである。
正直なところ、上野くんとガッツリ絡んだのは、本講座が初めてかもしれない。
実際会ってみると、上野くんはなかなかの好青年な感じだ。
イケメン。23歳。飲み歩き・旅・料理が好き。
モテないはずないやろ。
モテないはずないやろ!!!
実際、累計5人の女性と飲み歩きで知り合って、恋をしたという。
うらやましい。私がずっと憧れていた「飲み屋での恋の出会い」を、23歳にして5人も……
となれば、私としては10歳超年下であっても師として是非とも教えを乞いたい。
「まずは座学から始めて、その後で三茶の飲み屋街で実践してもらいます」
そう、今回は実地研修があるのだ。
鹿音のんに緊張が走る。
最近モテアマスに足繁く通ってはいるが、三軒茶屋の飲み屋は完全にアウェーである。
しかも、実地研修はバディトレを除けば初である。
果たして、私は三茶の飲み屋でどこまで粘れるだろうか。
可愛い女子との出会いはあるのか。
そして、飲み屋での恋は、ワンチャン、あるのだろうか。
座学:一人飲みの極意
一人飲みのきっかけ
上野くんが飲み歩きを始めたきっかけは、知らない土地に来て「友達どうしよう」と悩んでからだったという。
私はその話を聞きながら、飲み屋さんに足繁く通い、「どうやったらこの店の常連になれるか?」「どうしたら店の人にもお店の客にも気に入ってもらえるようになるか」を一所懸命に研究し続けた上野くんの姿を思った。
多分、失敗も多かったべな〜。
酒の失敗、店選びの失敗、孤独なぼっち飯に終わった日、話題についていけなくて(話題がなくて)落ち込んだ日、逆に面倒な人に絡まれたりドヤされたりする修羅場、……一人飲みをマスターするのは、楽じゃない。
何しろ、講座を終えた今だから思うのだが、「店を選んで入る」というシンプルなことだけでも、意識しなければならないパラメーターは無数にある。その日の天候・気温に始まり、店の混み具合、客の年齢層、客のジェンダー、マスターの性格、マスターのその日の体調、その店の得意分野……あらゆることが視界に入ってくるし、それらをその時の自分の気分や求めるものに合わせて瞬時に判断しなければならない。田舎だと選択肢が少ないからある程度は考えなくてもいい部分はあるが、都会だと考えなければならない変数は指数関数的に増大する。
上野くんはそうした中で一人飲みの勘を養っていったのだと思う。尊いことだと思った。
そうした一人飲みの探究の中で、上野くんが思うグットニート像が見えてきたという。
「グットニート=愛される存在」ならば、まずは自分を満たし続けられる存在にならないといけない。
仕事を辞めると、どうしても一人で悶々と考える時間が増えていく。
一人で悶々と考えるだけならいいが、悩みを抱え込んでしまったり孤独を抱え込んだまま処理できなくなってしまうことだってある。
そんな時に、自分の欲求をキチンと把握して、承認欲求だったり孤独感だったりを適度に満たせる存在になれると一番いい。
そのために、一人飲みは有効なのだ、と。
確かに、「自分の欲求をキチンと満たす」は私自身の今の生活の課題でもあった。
東京に上京して3ヶ月経つが、いまだにこれといった仕事に就労し続ける事ができないまま、時折日銭を稼いでは凌ぎ、両親に頭を下げては凌ぎ……といったことを繰り返している。
承認欲求、あんまり満たせていない。
孤独感は、もっと満たせていないかもしれない。
そんなニート生活を送ってはいるものの、そんなに暇ではなくて、ちょいちょいボランティアで駆り出されたり、RingNeのプロジェクトで動いていたり、グットニート養成講座を受講してこういう長文のnoteを書きながら自分を見つめることをしていると、あっという間に時間が過ぎていく。
これでいいのか、と一人悩む夜もある。
そんな時に、飲み屋で一人飲みをしてみると、何か打開策が見出せることもあるのかもしれない。
ちょうど、私が住み始めた雑色の近くには、蒲田という一大歓楽地がある。
だが、なかなか尻込みして飲み屋の暖簾をくぐるのを躊躇っていたのも事実だ。
この講座をきっかけにして、いざ暖簾をくぐってみよう。
一人飲みのメリット
どんな地に行っても友達ができる。ここだからダメ、と場所にとらわれる事がない
ご当地のこだわりの店を回ることができる
自分で選んでコミュニティに属する事ができる。「第二の実家」が見つかる
人との出会い方がやらしくない
人間関係が広がる
上野くんが教えてくれた一人飲みのメリット5つである。
「どんな地に行っても友達ができる」というのはとても魅力的だ。何しろ私は、知らない人と友達関係を結ぶのが極度に苦手なタイプの人間だからだ。どうしても人見知りを発動してしまって、なかなか声をかけたりお近づきになる事が難しい。そういった訳で、実際私は友達と呼べる人がかなり少ない。私の人間関係の輪に、「飲み友達」と呼べる距離感の付き合いが一人でも増えただけで、QOLは色々上がる気がする。
「ご当地のこだわりの店を回ることができる」というのも、うなづける。最悪、飲み屋で友達ができなくたって、酒とメシが美味けりゃそれだけで満たされる。むしろ、美味い酒と美味いメシを求めて一人飲みを続けたっていい。そうして、美味しい店をある程度ストックしておくだけでも、人を誘う口実作りに十分なるから、結果的に人脈は広がるのである。
「自分で選んでコミュニティに属する事ができる」というのもいい。大概のコミュニティは、自分で選んでいるようでいて、自分で選べないところがある。田舎だと特にそうだ。だからこそ、せめて飲み屋くらいは選んでいいし、自分で選んだ良い店に末長くお世話になり続けたいものだ。そうして依存先を増やす、と言うのはグットニートにとって大事なことなので、一人飲みはマスターしておくに越したことはないのだ。
「人との出会い方がやらしくない」、これは最も大事なポイントかもしれない。人と人とがなんの打算もない状態で出会える場は、案外ない。婚活イベントとかそういう催しはどうしてもドロドロとした打算と妥協その他諸々が渦巻いているし、かといってマッチングアプリがいいかと言うと、マッチングアプリほど打算と妥協をバランスよくやらないと出会いたい人には出会えない。趣味のサークルやボランティアはそう言う意味で打算や妥協が少ない場ではあるが、やる事やったら蜘蛛の子をちらすように解散してしまう切なさもある。職場も然りで、職場恋愛ができる人というのは、意中の人と関係性を深める以上に、よっぽど打算的に動ける人間じゃないと難しいのではと思う。そこで、飲み屋・バー、なのである。飲み屋やバーは基本的に誰がいるのか分からない。加えて、やらしいことを目的にする一部のバーを除いて、基本的には出会いが目的じゃなくてもいい。この、じゃなくてもいい、くらいの丁度良さが、打算や妥協の鎧を脱いだ状態で人と出会えるかけがえのないシチュエーションを産んでくれるのだ。
「人間関係が広がる」は、言わずもがな。ただ、人脈を広げようと打算して飲み屋に通っても、そんなに人脈が増えることはない。人脈を広げるには、まず仲良くなるべき人とつながる必要がある。どんな飲み屋にも必ず「店主」と「常連」という2種類のキーマンがいる。その人たちとどう仲良くなれるか、ここがポイントだ。仲良くなるにはどうしたらいいかは、「飲み屋で好まれる人物像」で詳しく述べる。
次に、上野くんが教えてくれた「一人飲みを続けてよかったこと」を見ていこう。
上野くんが5年間一人飲みを続けてよかったこと
会員制のお店にも入れるようになった
めちゃくちゃ入りづらいんだけど、入ってみたら神な飲み屋に巡り合うことができた
旅行行った先での、地元民との触れ合い
告白される(累計5人)
1万円持って飲みに歩き出したら、なんだかんだで1万1千円増えて帰ってきた
どれも羨ましい限りのエピソードだが、私がもっとも羨ましいと思うのはやはり、「4.告白された」である。
何でも、飲み屋に足繁く通い続けていると、自然と出会いが多くなるので、店でまた会った人に告白されるということもあるらしいのだ。
それに、気が利いた店主さんや常連さんだと、「あの人とあの人をくっつけたらいいんじゃない?」という嬉しいおせっかいを焼いてくれて、その恩恵に預かることができるらしいのだ。私も、話には聞いていたが、そんな嬉しいお節介を焼いてくれる人がいたらマジで出会いたいものだ。
一人飲みでやってはいけないこと
いよいよ、ここから「飲み屋でどう振る舞うと好かれるのか」という核心に迫っていく。
まずは、「一人飲みでやってはいけないこと」だ。
一人飲みでやってはいけないこと
汚く飲まない
すぐお店を離れようとする
臭いに気をつける(ただし、お店のコミュニティによる)
基本的なことだが、泥酔してお店や客に迷惑をかけないというのはとても大事なことである。だから、まずは自分の酔い方をセーブ出来るようになる必要がある。己の限界を知ってこそ、気丈に振る舞えるというものだ。
そして、すぐお店を離れようとするのもNG。後に述べるが、「ここ、合わないな」と思ったらすぐ離れる選択を取るのは大事なことだ。ただし、何も頼まずに離れる、だとか、1杯頼んで飲んだらすぐさようなら、というのは何とも味気ないし、そもそもお店とのコミュニケーションを楽しんでいない。初めていくお店だったら尚更だが、どんなお店にも何かしらいいところはある、と思ってしばらくそこに居てみるのも、大切にしたいお店への気遣いであり、お店との出会いを楽しむ上では大事なことなのだろう。
臭いに気をつける、というのもそうだ。「初めて行ったお店では、まずお店の人に気に入ってもらうことを優先させましょう」これは上野くんの談である。とりわけ、臭いに関してはコミュニティによって大きく差が分かれる。体臭・香水臭もそうだが、もう一つ、お酒の席で気にすべき臭いは「タバコ」である。私はヘビースモーカーなので、そもそも吸える店でしか飲まないし、吸えるとわかっている場所では遠慮なくスパスパ吸ってしまうから気にしたことはなかったが、確かに居酒屋やバーには、喫煙者も非喫煙者も、時には嫌煙者だって混じり合っていることがある。「たとえ吸っていい店でも、タバコを周りが吸っていなかったら、タバコを控えるのも大事なことです」(by上野くん)。なるほど。これほどまでの、お店やお客さんに対する、気遣い、配慮。
上野くん、やっぱイケメンだわ、と思う。
飲み屋で好まれる人物像
いよいよ、上野くんの口から「飲み屋で好まれる人物像」が語られる時が来た。
Giveをしましょう!
聞き役に徹しましょう!話す側になってもすぐに話のボールを相手に戻しましょう
メインは「お店の人と話す」という姿勢でいましょう!
お酒を沢山飲んでも相手の印象は変わりません。気持ちのいい飲み方をしましょう!
何かしてもらった時のお礼は「一杯おごる」で十分!
お酒は適度に頼みましょう!
初めての飲み屋に行く時は特にそうだが、「お店のお客さんから話しかけられるような雰囲気になることは、まずないと思ってください」(by上野くん)。
その上で、である。
「お店の店主さんは、商売柄、お店を気に入ってもらえるように、向こうから話しかけてくれることがあります」その時に、どこまで気に入ってもらえるかが勝負になってくる。
「飲み屋の世界には直ホメ(直接自分を褒めてくれる)と陰ボメ(自分がいない時に他のお客さんとの会話で自分を褒めてくれる)があって、陰ボメの方が飲み屋ではよくあるんです」
「だから、姿勢としてGiveに徹して店主さんや他のお客さんに与えまくると、それが巡り巡って自分に返ってくる、ということがあるんです」
「一杯おごる、というのもそうですよね。自分が受け取らないものにお金を払うのは、経済的合理性を考えると奇妙なことのように思えますが、飲み屋の世界ではそういうGiveが巡り巡って自分に返ってくることがあるんです」
非常に奥が深い話だ。要するに、自分がその飲み屋のコミュニティのエコシステム(生態系)に入り込むためにどのように振る舞うか、ということの粋が、ここにあると言っていいと思う。
また、「これは上級編なので出来たらでいいのですが」と付け加えて、「相手の酔い具合もコントロール出来るとよりいいです。コップが空いてたら、「次、何か飲みます?」とさりげなく聞いてみるようにするんです。やっぱり飲んでもらわないと相手も楽しくならないので。とは言っても、これをやり過ぎると『あの人は飲ませる人だ』になってしまう。だから、程良く飲ませて、酔い潰れないギリギリのところで留めておくように出来るといいです」。
上野くんの話を聞きながら、この人は別にドリクラをやりこんだわけでもなく実地でこれを学んだんだろうなと思い、その努力に感動で胸が震えた。
店の探し方の極意
ここまでの話だけでも十分に学びが深いが、上野くんは更に「店選び」についても教えてくれた。私もこれから店を探して飲まなければいけないので、俄然手元のノートに書き込む筆に力が入る。
基本前提として、上野くん流「飲み歩きのルール」を紹介しよう。
一人飲みに出かけるのは、次の日が休みの日と分かっている時だけ
一晩あたり2〜3件回る
終電には帰る
1件は新しい店に入る
出来るだけ安く飲む(重要)
次に、お店を回るタイムフローを見ていこう。
私の汚いメモを整理するとこういうことになる。
18:00〜19:00頃:1店舗目(チェーン店・ご飯屋さん)
目的:お酒よりかは、お腹を7分目くらいまで満たす
↓
19:00〜21:00頃:2店舗目(料理とお酒)
目的:お酒を楽しみ、店主やお客さんとの会話を楽しむ
ここで他の人と飲みに行けるかの勝負が決まる!
↓
21:00〜終電:3店舗目(バーとか)
目的:2店舗目で仲良くなった人と更に交流or反省会
長居しすぎない。長引きそうなら終電を言い訳に帰る。
そしていよいよ、店選びのポイントである。
なるべく「狭い」「カウンター」のお店を選びましょう!
スナックNG(ただし、条件付き)
入る前に「お店に来た理由」と「退店する言い訳」を考えておきましょう!
入って「ここ、違うな」と思ったらさっさと出ましょう!
1は割と重要である。狭いカウンターの店だと、お客さんとの密着度が上がる。密着度が上がれば、人と人との間に交流が生まれやすい。逆に、カウンターがなくテーブル席ばかりだと、一人で入ってもただのボッチ飯・ボッチ酒になる。もちろん、それがしたい時はそれでもいい。ただ、飲み屋での出会いや友達づくり、ワンチャンの恋を求めるなら、狭いカウンターの店がいいのだ。
加えて、ガラス越しに外から中が見える店の方がいい。今日は空いているか満席かと言った基本的なことが分かるし、今日の客層は違うなとか、今日はお目当ての子がいないなとかいうことも分かる。
逆に、スナックとかキャバクラとかは外から中が分かりにくい仕組みになっている店がほとんどなのでNGなのだ。それに、スナックは特にそうだが、身内のノリが完全に支配していることが多く、ふらっと一人飲みで入れるような店はほとんどと言っていいほどない。ただし、スナックに入っていい時もあって、それは人に連れて行ってもらった時だ。また、地方都市によっては2件目3件目の選択肢がそもそも少ないこともあって、スナックがその役割を担っている場合もある。こういう場合も、入ってOK。
3は店主とのコミュニケーションをスムーズにするために考えておくに越したことはないし、4はそのままなので特に解説はしない。
上野くんからの座学は以上である。さて、鹿音のんはこれらをインプットした成果を三茶の飲み屋で発揮できるのだろうか?
(後編↓へつづく)
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