見出し画像

理論篇2:恋愛はどのようなゲームか

Q2:恋愛がゲームであるとして、どのようなゲームなのか?→主張5
Q3:恋愛というゲームにおいて、プレイヤーであるとはどういう意味か?→主張6
Q4:恋愛というゲームにおいて、課題(ミッション)は何で、何においてミッション達成(クリア)なのか?→主張7
Q5:恋愛というゲームはどのようなルールのゲームなのか?→主張8

主張5:恋愛とは、性愛にかかわるあらゆる同意を取るゲームである

《目的》

 恋愛の本質を端的に示す。

《原理》

 恋愛とは、
①意思決定の主体である各プレイヤーが、
②一定のルールに従って、
③交際相手であるパートナーと性愛にかかわるあらゆる同意を取るミッションを達成する
ゲームであると言える。ここで「同意を取る」とは、利得がプレイヤー同士互いに満足を得られるよう、協力的な態度に基づいて配慮の行き届いた合意が形成されることを指す。
 なお、同意に基づいて許可されたあらゆる行為、および行為がもたらす結果は、同意のプロセスがもたらす副産物である。いわば、恋愛の結果生産されたものであって、恋愛そのものではない。

《効果》

 恋愛の本質は同意を取るプロセスにあることを人々は確認すると同時に、同意のプロセス(=恋愛そのもの)と同意がもたらす結果(=恋愛の副産物)の区別ができるようになる。

主張6:プレイヤーは、意思決定の主体であり、かつ恋愛特有の心的態度をも要請される

恋愛に求められる心的態度

  1. 意思決定に基づく取り決めに対して責任を負う態度(意思決定の主体であろうとする態度)

  2. 好意に基づいた協力的態度

  3. パートナーを暴力から保護しようとする態度

《目的》

 恋愛に参加する人は誰でも、恋愛特有の3つの心的態度を求められ、それらの要請に応じる中で恋愛というゲームのプレイヤー=意思決定の主体になることを示す。

《原理》

 3つの心的態度の根拠を以下に示そう。
 1について:主張2より導かれる。
 2について:それぞれが相手に好意があることに関して自認があり、そのことでお互いに同意が取れていることにより恋愛関係が開かれるため、このような態度となる(主張7の「関係性の同意」も参照)。また「好意」の意味からも、非協力的態度ではなく協力的態度であることは明らか。
 3について:一般に友人関係以上の深い親密性に見られやすい態度ではあるが、この態度が守られなかった場合、関係性が破綻するリスクが友人関係よりも非常に高いため、「強い拘束力を伴った暴力からのプロテクションを要請される」とも言い換えられる。

《効果》

 プレイヤーは意思決定の主体である。意思決定の主体である以上、主体としての地位を奪う(泥酔させる、寝込みを襲う、無理やりいうことを聞かせる)行為は本来恋愛のプロセスには存在せず、結局はプレイヤーに対する純粋な暴力であることが理解できるようになるだろう。また、2と3の心的態度からは、暴力を加えないようにするだけでなく、むしろ積極的にパートナーを暴力から守り、常に協力的な配慮を持って接する必要があることを改めて確認し直すだろう。

主張7:恋愛におけるあらゆる場面において、3種の同意が、その時々の要請に応じて達成されなければならない

恋愛における3種の同意

  1. 関係性の同意

  2. 利得分配に関する同意

  3. あらゆる性行為に関する同意(性的同意)

《目的》

 恋愛における基本的な同意の種類をシンプルに要約して示すこと。

《原理》

 恋愛における「同意」は主に3種類に集約される。

 関係性の同意:これから恋愛関係に入るかどうか、この先婚約関係に入るかどうか、他にパートナーを設けるかどうか……
 利得分配に関する同意:ワリカンにするかおごりにするか、同棲するかしないか、自分が持っているマンガ本をその都度借りる形にするか共有財産にするか……
 あらゆる性行為に関する同意:手をつないでいいかどうか、キスしていいかどうか、セックスしたいかしたくないか……

 これ以上の種類の同意に関しては、恋愛というゲーム以外のゲームにおいて求められる同意であって、恋愛特有ではない。

《効果》

 人々は恋愛の最中に考えるべきことを3つまで減らすことができる。そのうえで、同意の細かい内容についてはその都度パートナーとの対話の中で課題設定し、同意を達成するしかないことを学ぶ。

主張8:恋愛には、基本ルールと、同意に基づいて定められる個別ルールがある

基本ルール(「恋愛」の公式ルール)

  1. 同じ時間と場所を共有してること

  2. お互いにパートナーを探していること

  3. お互いに相手が性的ロマンあるいは性的指向の対象になっていること

  4. お互いに相手に好意があり、そのことで同意を得ていること

  5. ①~④までの確認と同意のプロセスにおいて暴力や差別がないこと

個別ルール:基本ルールを守る上での細則。会うタイミング、ドレスコード、セクシュアリティをオープンにするかどうか、同意を取るシチュエーション、……

《目的》

 恋愛における基本的なルールをシンプルに要約して示すこと。

《原理》

 基本的なルールの策定にあたっては、次の原則を適用した。

  1. 「ルールをすべて守っている状態=恋愛関係に入っている」ことを十分に説明できること

  2. 最小限の同意のサブセットであること

  3. どんな形の恋愛にも共通しうること

《効果》

 人々は誰かと恋愛関係に至るプロセスに関して考えるべきことを5つまで減らすことが出来る。そのうえで、同意を取る上での細かいルールについてはその都度パートナーとの対話の中で策定し、同意のプロセスを進行させていくしかないことを学ぶ。

主張の総合

 恋愛とは、性愛にかかわるあらゆる同意を取るゲームであり、同意のプロセスそのものである。また恋愛は、プレイヤーの3つの心的態度、3種の同意、5つの基本ルールからなる、本来極めてシンプルな原理原則に基づいて行われる簡単なゲームである。
 今日見られるような極めて複雑で達成が困難なゲームになっているのは、本来恋愛にはなかったはずの全く別の要因が絡んでいる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?