Record.2
スタジオの営業再開。走りぬいた1ヶ月。怒涛の1ヶ月。1ヶ月ぶりの休み。
1ヶ月前に様々なものが動いた。そして動いたものがどこに着地したのか探してる最近。でもそれはまだはっきりとした形が見えない。まだ着地せず宙を舞ってるのか。
とある会見で聞こえた声。《人が人である為に必要なのが文化で音楽だ》そんな類の声が聞こえた。
すごく解る。俺もそれに魅せられて生きている人間だ。
ただ一つの引っ掛かりも同時に生まれた。
人に必要だった音楽はいつの間にかお金にも変わるようになった。細胞に必要な音楽はいつの間にかお金になり食べ物になり飲み物になり、人が人であるが為にお金になるようになった。
それは決して悪いことでも何でもない。僕も音楽で家賃を払い飲み物を買い、ラーメンを食い、スパイスカレーを食らってる。音楽にはそれだけの価値があるのだ。
ただ同時に音楽は金銭的な価値なんて無くても良い。記憶の片隅の子守唄も。人から人に伝わる童歌も。そこに1曲いくらの価値なんてつけれない。つける必要が無い。
音楽で飯を食らうに人間には音楽の必要性を訴える権利があるのか。そこに説得力があるのか。今ままで何のためらいもなく自分にあると思っていたその権利に正直迷いが生まれた。
音楽には価値がある。それは何の躊躇いもなく言える。ただそれはライブハウスでの胸の奥から全ての血液が全身に行き渡り何にも変えれないあの瞬間もそうだし、ライブハウスに一度も来た事が無い人が料理を作りながらふと歌う鼻歌にも同じく価値がある。
もう一度言うが僕は音楽で飯を食っている。音楽に身も心もそして金銭も救われてる。僕には音楽が必要だ。でもそれは一般の人の必要性とは絶対違う。では僕は何を叫ぶ。このライブハウスが閉鎖されたこの時代に。
相変わらず答えは無いがこれは記録"Record"だ。それで良い。次のRecordingにはまた新しい叫びを。