自分の原点とつながることが言葉に力を与える
どうしてもこの気持ちを消化しないと落ち着いて仕事が出来ないので、書きます。いつも通り「嵐の活動から見た私の仕事」の話。
『夢だけ持ったっていいでしょ?HELLO NEW DREAM.PROJECT』
今日『夢だけ持ったっていいでしょ?HELLO NEW DREAM.PROJECT』がリリースされた。
9月8日、突然渋谷109や福岡などに嵐のデビュー曲である「A・RA・SHI」の歌詞の広告が掲載された。公式からはなんのは発表もなかったし、広告には嵐とも書かれていなかったはずだが、「これは嵐が何か始めるのでは?」というわくわく感がすでにあった。多くの人が「夢だけ持ったっていいでしょ?」の歌詞は「A・RA・SHI」の歌詞だと分かったからだ。
そして今日、満を持してリリースされたプロジェクトのコンセプトメッセージは以下である。
誰にも夢を取り上げることは出来ない。
未来がわからない時にこそ、
未来を夢見たいと思いました。
笑えない時こそ笑ってみれば、
明日がいい方へ動き出すように。
小さな夢だって、
大きすぎる夢だっていい。
何個あったって、何歳だっていい。
夢をもつことから、
始めてみませんか?
「HELLO NEW DREAM.PROJECT」HPより引用
社会に何のメッセージを発信するのか?
「夢」とか「愛」とか「希望」とか、こういう言葉は、誰にでも語れるものだ。今回のプロジェクトでも多くの人に夢を語ってほしいと呼びかけている。
だからこそ「誰が語っても同じ」か「なんでお前が語る必要があるんだ」というメッセージにも陥りがちな言葉でもある。
ただ社会に良さそうなことでもなく、ただ自分たちが発したいメッセージだけでもなく、今の社会状況の中で、自分たちが何のメッセージを発するのかについて考え抜いた結果が、彼らの原点である「A・RA・SHI」の歌詞にいきついたのかと思うと、心が震える。そしてちょっとずるいな、悔しいなって思ってしまった。
彼らはこんなにも自分たちの原点を大切に育てて揺るぎないものにしてきたんだなと痛切に感じた。
今回のプロジェクトは「夢だけもったっていいでしょ?」というデビュー曲のワンフレーズをここまで突き詰めて、彼らが20年以上その言葉を体現してきたからこそ実現したプロジェクトで、嵐だけが発信できる・嵐が発信することで意味があるメッセージになっている。
「夢だけ持ったっていいでしょ?」の言葉に、こんなにパワーを乗せて語れる人は彼らの他にいるのだろうか。
原点とつながることが言葉に力を与える
何よりこれが最新曲ではなくて、21年前のデビュー曲だというのがすごい。原点から今に繋がるアイデンティティーが一貫している。一貫するように「育ててきた」という印象だ。
組織でも個人でも、「自分たちの原点となる思いやこれまでの文脈が今のアクションと繋がっているのか」「ゆるぎないものがあるから強くいられる」というような話を幾度もしているし、「社会に何のメッセージを発信していくのか?」という問いはいつもある。
この問いへの答えと、自分の原点と、今のアクションを一致させることがどれだけ難しいことか。1つに答えるだけでも吐きそうになるぐらい考えても、自己分析しても、正解はない。
だからこれは、彼らに関わらず、意思決定の問題だ。と思っている。
正解は分からないけれど「これだ」と決める力だ。
こんなに重なったメッセージを発信できるような意思決定を、彼らはひとつひとつ、20年も積み重ねてきた。その膨大な積み重ねは到底私が想像できる範囲を超えている。本当に膨大だ。
それをいま、このタイミングで実現している嵐はやっぱり私の大好きな嵐だし、実現している彼らがだいぶ羨ましい。悔しい。好き。
でもこのメッセージじゃなくて別のメッセージなら、自分たちが社会に発信できていたかもしれないメッセージがあるんじゃないかと思うと、本当に悔しいな。
いま、あなたなら・私なら、何のメッセージを社会に発信するのか?