モノクロームのモノローグ ② 『メトロポリス』
メトロポリスとは…
国または大きな地方における経済・文化の中心であり、かつ、国際的な連携のハブとなるような大規模な都市のこと…
ギリシャ語でmeter(母)polis(都市)をつなげたmetropolis(母都市)に由来する。
(wikipedia『メトロポリス』より)
メトロポリスのオアシスで佇むような
のんちゃん。
映画 『メトロポリス』
(1927年公開 ドイツ)
フリッツ・ラング監督
今から約100年前、1926年にドイツで製作されたモノクロのサイレント映画だが、SF映画の原点とも云われる。
時代設定は100年後の2026年となっているが、まさに今の時代を描く予言的な映画だったのだろうか?
科学者のようなオッサンが、何やら怪しげな実験のようなことをやっているが…
どうやら人間の複製、アンドロイド(人造人間)を造り出しているらしい。
そして、洪水のなかで、人々が助けを求めているような場面や、当時はなかっであろう摩天楼のような高層ビルが現れる。
2026年、メトロポリス(巨大都市)は摩天楼に住む支配者層と、地下で生活する労働者階級に二分された階級社会となっていた。支配者の息子フレーダーは、労働者の娘マリアと出会い、階級社会の矛盾に気付かされる。
脳(支配者)と手(労働者)をつなぐ、心(媒介者)が必要だ…
媒介者とは、支配者の息子フレーダのことだが、このマリアの言葉によって、社会の不条理に目覚めた労働者らはストライキを起こす。
フレーダの父親フレーダセンは、労働者の結束を撹乱するため、発明家ロトワングに、マリアのクローンのようなアンドロイドを作らせるのだが…
ところで、この映像をご覧になられて、あれっ?と思われるだろうか?
既にご存知の方も、多いかもしれないが…
それは、こちらでは…?
Queen - Radio Ga Ga
説明不要、伝説のクイーン、レディオガガのMV
私は、クイーンのなかで、この曲が最も好きだ。
このMVに出てくる背景の映像は、映画『メトロポリス』だったのだ。
MVの最後に〝THANKS METROPOLIS〟というメッセージが流れるが、これはフレディ・マーキュリーのソロ曲『ラヴ・キルズ』を、映画『メトロポリス』のリメイク版(1984年)に提供したため、Radio Ga GaのMVとして、映像が無償提供されたことへのメッセージだという。
メトロポリスのリメイク版の製作年が、1984年というところに、どこかジョージ・オーウェルの『1984年』を意識してしまうのは、私だけだろうか?
ブレードランナーやマトリックスなど、未来を描く映画や小説が、ユートピアではなく、ディストピアになりがちなのはなぜか?
テクノロジー進化を、あまねく人々が享受できるユートピアの構築が、人類の理想であるはずが、必ずしもそうはならないという予言的なメッセージは、単なる娯楽SFではなく、現実の警鐘として受け止めるべきなのかもしれない。
AI、システムのアーキテクチャ(設計思想)や管理権限が、一部の者に独占されることによって、デジタル管理された非民主的な階級社会が構築されてしまうかもしれないからだ。
クイーンの『Radio Ga Ga』は、需要が低下してゆく〝ラジオ〟というアナログ機械を、なぜか賛美するような歌詞だ。
それは、存在感が希薄になりつつあるラジオに、エールを贈ることをメタファーとして、来るべきデジタル管理社会のリスクにアンチテーゼ(警鐘)を発しているようにも見えるのだ。
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先日Youtubeで、気になるラジオ放送の動画を発見した。
それは、あの映画『東大全共闘VS三島由紀夫』の主役的な東大生、芥正彦氏が、最近ゲスト出演していた番組だ。
ラジオJAG vol.60「芥正彦/元・首相 殺害に想う」 浅野典子×芥正彦
ラジオJAG vol.41「芥正彦/東大全共闘~50年目の総括」
あの映画が作られた理由が「50年という節目だけではない…」と、何となく感じていたことが、顕在化してきたような気がする。
どちらも1時間以上あるけれど、ご興味ある方は、WIFI環境などで聴いてみて下さい。新たな発見があるかもしれません。
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