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明けない夜はない。加納エミリ「朝になれ」

2020年。東京オリンピックも幻となってしまい(来年に延期ではあるが)世の中はすっかり変わってしまった。いままで当たり前だったことが当たり前ではなくなり、人々は新しい生活様式を望まざるも営まなくてはならなくなってしまった。コロナ禍が及ぼしたエンターテイメントへの影響も果てしなく大きく、僕らが応援していたアイドルやアーティストの思い出のライブハウスもその姿を消しつつある。とても悲しい状況である。

なかでも加納エミリさん(以下敬称略)の活動休止の知らせは個人的にはとてもショックだった。なんとなくずっと素晴らしい音楽を届け続けてくれるのかなと期待をしていただけに、コロナ禍における様々な価値観の崩壊と共に聞いたそのニュースにとても胸を痛めたのを覚えている。だが気をもちなおしデビューから駆け抜け続けた体への負荷を休めてゆっくり充電期間としてほしいという思いに変わってからはすこし気持ちが軽くなった。たまにSNSは更新してくれていたし、彼女ならまた素敵な音楽をいつか届けてくれると信じていたというのもある。

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そして8月初旬、加納エミリは帰ってきた!最高な新曲と共に。ティザーを聴いた瞬間に「これはすばらしい!」とその全容を楽しみにしていた楽曲「朝になれ」の配信が先日9/25に解禁となった。bjons渡瀬賢吾氏の歯切れの良いギターサウンドとスコット・ラファロばりにうねるベースラインとの絡みが素晴らしいグルーヴを奏でる復帰を飾るにふさわしい新曲になっている。今回の作品では、彼女の得意とするエレクトロなサウンドは影をひそめてはいるが、そのかわり音数が今まで以上に絞られており、より洗練された印象のミディアムナンバーだ。

個人的に、コロナ禍においていままでのようにアイドルさんのイベントにはもう参加できない(参加する気になれない)し、どこかそういう行為に嫌気ではないけれど、コロナ前のような楽しみ方はもうできないのかな、、と意気消沈していたところではあったのだけれど、加納エミリのこの「朝になれ」がそんな気持ちを吹き飛ばしてくれた。いや、正確にいうと「吹き飛ばす」というよりは、優しく寄り添って、「明けない夜はないよ、明るい未来を信じて進もうよ」と囁いてくれているような、そんな気持ちにさせてくれた。久々にワクワクしている自分に驚いている。

彼女の今回の作品には、コロナ禍が彼女に及ぼした気持ちがとても反映されている気がする。歌詞がとても印象的で、自己を深く掘り下げながらも語られる言葉は難解ではなく、とても詩的で叙情的だ。そしてそんな歌詞を彼女の魅力の一つであるヴォーカルで紡がれるのである。どこかぶっきらぼうなのに、とってもエモーショナルな彼女のボーカルは、エミリサウンドの核をなす素敵な武器だとおもっている。

書きたいことが書けているか不安になってきたが、とにかく加納エミリの新曲「朝になれ」は、センセーショナルなデビューにおける「ごめんね」に匹敵する彼女の新たな名刺がわりになる名曲になると信じている。彼女の再始動にお祝いと愛をこめて。


追伸:加納エミリのどこが好き?と聞かれたら、なんてったってルックス!と答える楽曲派のtomoちんでした♪

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