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アルドノア・ゼロ(re+) ネタバレ感想

2014年7月にテレビ放送を開始したアルドノア・ゼロであるが、当時リアルタイムで視聴していた自分は、その残酷なストーリー展開に一気に引き込まれてしまい、毎週楽しみにしていたものである。ただし、第一クールのラストがあまりに衝撃的で、そこから第二クールまで半年ほど時間が空いたため、絶望感を半年も引きずることになったのを覚えている。

それから10年以上の時を経て、映像作品としてリリースされるBlu-rayBOXに、本編の後日談となる『雨の断章』という特典映像が収録され、しかも本編を再構築し、その雨の断章と合わせて劇場公開された『アルドノア・ゼロ(re+)』を公開翌日となる本日3/1に鑑賞してきたので、ここに簡単に感想を記載しておこうと思う。以下はネタバレとなるので、未視聴の方はご注意願います。
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チネチッタにて

3/1はファーストディということで、チケット料金も安いことと土曜日が重なったからか、客席の埋まり具合もそれなりに盛況で、この10年前になるコンテンツの作品がここまで人気となり劇場化されることへの驚きと感謝をこめて座席についた。

本編については、約2時間の上映時間において全2クールの作品を要約する必要があるため、必要不可欠なシーン以外はかなりはしょって総集編的な映像となっていて、作品をすでに観ている観客以外はすこし話の展開についていけないかもな…なんて考えたりはしたものの、よく出来た編集だったなとは思う。

ただサブメンバーのシーンはやはりあまり多くなく、話の中心はバース帝国王女のアセイラム・ヴァース・アリューシアと主人公、界塚伊奈帆、そしてスレイン・トロイヤードの主要メンバーにフォーカスが絞られていた。個人的には、カタフラクト戦における重厚感のある戦闘シーンのサウンド(とくに金属音)を、映画館の大画面と音響で楽しめて非常に良かった。本編の内容についてはここでは深くは述べないが、何度見ても魅力的なシナリオだと思う。

入場特典はポストカード、キャラは誰かな?

が、当時はアセイラム姫と、伊奈帆、スレインどちらかが結ばれるわけでもなくラストの結末がかなりバタバタしていて、批判的な評論もあったようである。アセイラム姫は博愛の人なので、結果的にスレイン、伊奈帆と結ばれないのは僕的には納得ではあったものの、スレインが何をしたかったのか、最終的にスレインサイドのメンバーはどうなったのかなどはわからず、かなり急な風呂敷の畳み方だったな…という印象と、1クールのラストまでのストーリーが素晴らしかっただけに、2クールの展開は個人的にあまり受け入れられずいたな…ということなどを思い出した。

そんな総集編が終わり、後日談となる『雨の断章』のパートとなる。このパートにおいては、本編中はアセイラム姫に想いを寄せるもお互いがライバルとして対決はしたものの心の交流は一切なかった2人の対話のシーンがメインとなっているものだった。

本編ラストで伊奈帆との闘いに敗れ、かつ命を救われたスレインは地球にて捕えられたまま、生きる目的もなく生かされている状態だったが、そんなスレインに定期的に面会に向かう界塚伊奈帆、そして2人の対話、心の交流を丁寧に描いた作品であった。本編では直接の対話がほとんどなかっただけに、直接の対話という形でお互いの交流のシーンは観ているこちらとしても興味をそそられるものだった。

生きる目的も失い、自暴自棄になっているスレインに対し、何度も会話を試みる伊奈帆。その行動の根底にあるのはやはりアセイラム姫からの言葉『スレインを救ってあげてほしい』があったからではないかなと思った。冒頭は対話にもならず、伊奈帆を拒否し続けるスレインだが、それに懲りずになんどもなんども対話を試みる伊奈帆に対して、少しづつ心を開いていくスレインの姿をみて、なんとなく救われたような気持ちになった。

『雨に濡れた鳥』という象徴的な例えが出てくるのだが、鳥をスレインに置き換えて、『鳥はなぜ飛ぶのか』という問いをして去っていく伊奈帆。誰よりも高いところを目指した鳥は最終的には落ちるしかないと卑下するスレイン。ただ、アセイラム姫の『今はただ濡れた翼を休めているだけ、また飛び立ってくれる』という想いはスレインに届くのか?梅雨の時期に常にずぶ濡れになりながら面会に向かっていた伊奈帆だったが、スレインが前向きになるのとシンクロするように、ラストシーンにて雨があがり太陽の光が伊奈帆を照らしてこの作品は幕を閉じた。

入場特典はアセイラム姫!

後日談といっても、世界観の説明はほとんどなく(アセイラム女王が、地球内で火星の残党に和平交渉をするため世界を飛び回っている。網文 韻子が定食屋の女将さんみたいになってる。エデルリッゾは花嫁修行を実母に仕込まれている、など微笑ましいシーンもあるものの)話の中心は伊奈帆とスレインが少しずつだが心を許していく感じに感動をした。最終的には伊奈帆の機械的で感情の感じられない接し方に対し、アセイラム姫にもそんな態度だったのかと質問し、そうだけど?みたいな回答をした伊奈帆に呆れて『貴方とは一生わかり合える気がしません』と軽口をたたくスレインが見れて、どこか彼が伊奈帆とのやりとりを経て救われていく様が感動的だったなと感じた。

とにかく、10年以上前のコンテンツであるこのアルドノア・ゼロが今になって劇場化され、そしてそのなかでスレインが前を向くことが出来て、それを10年越しに見届けることができてよかったと、心から思う。

追伸
友人とYouTubeにて、公開前になるがアルドノア・ゼロについて熱く語ったのでそちらも添付しておく。

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