FX相場の見通しについて(2020年7月20日)
ドル円相場の見通し~円買いドル売りポジションを継続~
投資判断をする上で必ず見ておくべき指標、
①一目均衡表
②MACD
③RSI
④投機筋ポジション
の4つから、まずドル円相場を見てみましょう。
【ドル円チャート】
まず一目均衡表を見てみましょう。
上図のように直近の日足は、6月24日に先行スパンの雲の下限をいったん割り込んだ後、6月29日に再度雲の内部に入り込むことに成功しましたが、7月7日には力尽きて再び雲の下限を割り込むという動きになっています。
7月20日時点での基準線が107円11銭、転換線が107円17銭と、両者が極めて接近している状況にあり、これと雲の下限である107円91銭の3本がレジスタンス(抵抗線)となっています。
7月20日東京時間では、一時1ドル=107円53銭までドルは上昇しましたが、雲の下限には至らず、ロンドン時間では107円10銭をはさむ水準となっています。
このように、現状の一目均衡表上は円高ドル安基調を示唆しています。目先のサポートラインは6月23日につけた106円51銭、そこを割れてしまうとほぼ真空地帯になちますので、一気に円高が進行する形になります。3月9日につけた102円34銭は強いサポートになります。
また、しばらく現状の水準で推移したとしても、来週の6月25日以降は先行スパンの帯(雲)の下限が107円20銭に引き上がりますので、円高ドル安の形になります。
日足の並びも、やや底辺が長めになりましたが「弱気の三角形」を形成しており、(円高方向への)下放れの前兆ともみられる形となっています。
次にMACD を見てみましょう
これは短期の移動平均線と中長期の移動平均線を使用することで、買いと売りを判断する手法で、基本線「MACD」とその移動平均値である「シグナル」との位置関係で相場の強弱を判断します。
上図のチャートの通り、7月9日にMACDがシグナルに対して上から下に交差(デッドクロス)しており、ドル売りのシグナルとなっています。
次に RSI を見てみましょう。
RSIは、過去一定期間の上げ幅(前日比)の合計を、同じ期間の上げ幅の合計と下げ幅の合計を足した数字で割って、100を掛けたものです。
数値は0~100で表され、一般的に75%以上で買われすぎ、25%以下で売られ過ぎと判断されます。
上図のチャートの通り、直近では RSI は36近辺と中立ゾーンにあります。
次に投機筋のポジションについて見てみましょう。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の「インターナショナル・マネタリー・マーケット(IMM)」と呼ばれる通貨先物市場では毎週投機筋のポジションが毎週発表されています。IMMには、円、ユーロ、ポンド、豪ドルの4通貨が上場しています。
その投機筋ポジション(下図)を見ると、ドル円の投機筋のポジションは直近(7月14日)で約18,000枚の円ロング(買い越し)となっています。(1枚の取引単位は1,250万円。)
これは何を意味してるかと言うと、投機筋においては、今後円のロング(買い越し)ポジションの清算に伴うドル買いが発生する可能性があります。
が、18,000枚という建玉の水準はそれほど積み上がっている(パンパンである)というほどのレベルではなく、今後のドルの買戻し買い圧力も限定的であると考えられます。
以上、ドル円相場についてまとめてみると次のようになります。
✅一目均衡表上は円高ドル安基調を示唆しています。
✅MACD ではドル売りのシグナルが点灯しました。
✅RSI はニュートラルです。
✅投機筋ポジションは今後はややドル買いが優位になる可能性を示しています。
以上より、ドル売り円買いポジションを維持したいと思います。
下値目途は、まずは106円51銭、その水準が割れると結構円高が加速して値幅が出ることが考えられます。
一方、一目均衡表上の雲の下限107円91銭を上回ってくれば、基準線、転換線、雲の下限の3本の抵抗線を打ち破ってきますので、その場合は損切のドル買戻しとなります。
ファンダメンタルズ的には、
①イールドカーブ・コントロール導入議論が残される米国と、7月15日の日銀金融政策決定会合での黒田総裁の「3月以降コロナ対応の効果が発揮されている」との発言等を受けた追加緩和観測が後退した日本、に示されるように、日米金利差は依然縮小方向にある。
②日本でも東京を中心に新型コロナウイルス感染拡大が問題となりつつある中、感染規模が以前はるかに大きく、地域レベルで再度経済活動に規制が加えられつつある米国
③米中対立激化懸念
④米大統領選が11月に控える中、トランプ米大統領の支持率低下
⑤朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク
など、ドルの上値を重くしている要因は山積している状況にあります。