5Gの通信規格が導入され、遅かれ早かれ普及していくことは確定した未来です。しかし、その上でどんなコンテンツがやり取りされ、キラーアプリ、サービスが登場するかについては予断を許しません。人気や普及についてはカオス理論でモデル化を試みる人がいるように、原理的に予測不能、と考えて良いでしょう。そこで今回から5Gについては「確定した未来」という枕詞を外します。
前回、高速大容量と同等以上に重要な低レイテンシ(遅れの少なさ)、そして、ライブコンサートへの遠隔参加など、よく指摘される新アプリについて記しました。ラストは、自分達でやりたい、基地局ごとのサーバ(エッジサーバ)への人工知能API搭載について書きました。
身近なアプリとして、5Gが移動の制約を取り払う結果、皆が様々なライブを共有するのか、賛同しかねる方もおられるでしょう。遠隔医療がどこまで実用化するか、逆にいえば、そこまでの信頼度を5Gが確保できるか(技術的にも社会的にも)、これまた予断を許さないといえるでしょう。にも拘わらず、なんらかの仮想現実VR (Virtual Reality)や、拡張現実AR (Augmented Reality) 他にも何種類かの "R" のITによる拡充を総称した "xR"の何れかがブレイクし、人々に、社会に恩恵を与えていくだろうことは間違いないように感じます。
低レイテンシという特徴は、遠隔センサの信号、データ、情報をリアルタイムで入手するだけでなく、その時点で視覚、聴覚、触覚等で判断した結果に基づいて、遠隔地の対象に指令を与えたり、直接コントロールして動かしてしまうことにもつながります。いわゆるMaaS(Mobility as a Service)のコネクテッド・カーや、半自動運転車を遠隔で集中監視し、運転者の体調に変調、異常がみられたら、遠隔制御して路肩に停車させる、などが考えられます。また、徘徊老人を安全に帰宅させる支援なども可能になるかもしれません。
遠隔操縦の対象は、地上のもののみならず、空中のドローンや、ビルの窓拭きロボット(現在人件費より安いのは滅多にないのかな。。)などにも及ぶでしょう。マイクロ・マシンで、人間の体内に入って手術するロボットと視覚を共有しながら、ミクロの決死圏さながらの感覚で、且つ遠隔地から操作できるようになるかもしれません。
IoT機器が何桁も多くなっても、5Gの高速認証で収容可能といわれます。あらゆるところにセンサーが設置され、見守り、認証、連携サービスがすぐに追いかけてくる。何かうざい感じ、プライバシーを侵害された気にならないように細心の注意は必要でしょうが、新世代スマフォやスマートウォッチ、VR眼鏡などのウェアラブル端末に、地域中の、いや、場合によっては世界中の関連情報、関連センサーからの情報が瞬時に取り込まれ、活用できるようになるかもしれない。こうなってくるとまさにSF的。リアルタイムに瞬時に必要な情報を方が自動的にやってくるようになったら、はたして人間の感覚、情報処理能力がついていけるか、という問題もありますが、そこはAIによって高度にフィルタリングされ、自動調整されてバランスをとることになるでしょう。ここで、バイアスや政治的意図が入り込んだり、不平等な扱いが生じないよう、公正さの追求には一層の配慮が必要となりそうです。それを支える立法も必要になってきそうに思います。
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