例の漫画の世界。
今、にわかにTwitterで話題になっている「例の漫画」
ま、あくまでもフィクションなので。
これね、ものすごくわかるんですよ。
現実世界のディレクターでも、こういう人は一定数居ると思います。
正直言って鉄板の「あるあるネタ」ですよ。
漫画の話だから成り立っているんですが、実際にこういうディレクターは多いし、それに振り回されるスタッフというのも多く見てきました。
僕が野球番組を作ったときも「生の声が欲しんです」ってものすごく抽象的なディレクションをしましたし。
なんやねん、生の声って。
でも、話の前後に「生の感想、見たまんまの感想、演じないリアクションや言葉が必要なんです。だから心の底からの生の声をください」というのを必ず付け加えていましたね。
で、ディレクション相手はタレントさんで「そういうことを考えて表現する」お仕事なので、それを引き出すのは本人なんですよね。
ちょっと時間はかかりましたが、それを理解してもらえたので、自分で言うのもあれですが「そこそこは面白く」なったと思うんですよ。
その番組の、世に300枚枚ほどしか存在しないDVDに特典映像を付けているのですが。
野球テストを15問を15分で解いていくものでして、わざと「中盤の問題は激ムズ」に設定したんですよ。
筆記テストは慣れていないと、人間って一から順番に解いていくんですね。
当然タレントさん方もテストから遠ざかって慣れていない状態。
そこで中盤に激ムズ問題。
人間ってねそうなるとパニクるんですよ!
素の人間が出てくるんですよ!
テスト開始前は「やったるでぇ!」というテンションから、答え合わせのときには「関係者の皆様、本当に申し訳ございません」まで落ちるんです。
そのギャップが面白いんです。
それを全部台本にしてみなさいよ。
ひとっつも面白くなくなりますから。
ただし、それはあくまでも「バラエティ番組」としてのディレクション。
創作物、まあWebディレクターでも在りますからWebサイトの制作ディレクションは全く異なるわけです。
当たり前ですよ。
色んな人、チームの労力の集合体なんですから、関わる人が同じ方向を目指さないといけないんですよ。
director すなわち導く人。
スタートとゴールを明確にし、その過程を設定する役割。
そういうお仕事なんですよ。
まあ、例の漫画は漫画だから。デフォルメだから。
これをやっていいのは「自分自身に対してのみ」なんですよね。
いわゆる自分の範囲の試行錯誤。
トライ&エラー。
ただし、やりすぎたらスタートとゴールがブレるし、手段の目的化もおきるんです。
なので、程々に。
でもまあ、実際に居たしねえ、この手の「自称ディレクター」ってのは。
チームを振り回して、その中心に居て「チームを動かしている」と勘違いする人は。
僕は摺り合せを徹底しましたけどね。
自分を含む2名以上のチームで動くときは。
わからなければ何時間だって説明するし、より良くするためには限界まで脳みそを回転して方法を見つける。
特にWebやITに携わる人ならすごく覚えあるでしょ?
意味不明な指示とか無理なタイミングでの仕様変更とか。
ありえへん。
考えられへん。
ディレクターだのプロデューサーだのプロジェクトリーダーだの監督だの、そんな肩書って全く偉くもなんとも無いからね!
もっというとヒエラルキーの最下層だよ!
当たり前じゃん、チームの協力がないとできないし、目標も達成できない。
で、チームってのは人間の集合体で、決して戻ることのない時間と手間をお金という対価でトレードしているんですよ。
例えばチームの一人の親御さんが急に亡くなったってその時間は決して戻せないし、キーボードを打ち続けて疲れた体を癒やすなんてできないんですよ。
お金でしか解決できないんです。
だからこそ、責任を持って導くのですよ。
個人的な見解ですけども。
やっぱり仕事する上の重要なのは「健全な肉体」と「瑞々しい感情」なんです。
それでも辛いことだらけだけどね。
だからこそ、重要とも言える。
まあまあ、ちょっと遠い昔を思い出しながら、そんなこともあったなあと思う今日この頃。