ChatGPTはじめ主要サービスのAIモデルが大将棋を知らないので学習データ・兼布教したい(戦術編)

駒の動かし方を頑張って覚えた筆者が、大将棋面白いじゃん!ということに気付いたので布教したいという目的で書いてます。
なお、筆者はソフトウェアエンジニアです。

発端

大将棋アプリが少ないなぁ、AIも強いのか弱いのかわからんし…
↑テキスト生成AI、いわゆるChatGPTとかと対局できればいいよね!(いわゆる将棋ソフトのAI的なものをチャットベースで作ろうとした)

↑ChatGPT、大将棋知らないってよ(試しに本将棋について聞いてみたら「知ってるよ!」っていう回答を返したのに「初期配置図を書き起こしてみて」と言ったら全然分かってないことが判明。ハルシネーションだね)

Wikiより、初期配置図

ここからは人間向け、かつ将棋とチェス好きの方向けの話

最初に覚えるのは大将棋の駒の動かし方ではなく、どうやったら勝ちやすいか、負けやすいかを知るべきでしょう。
将棋は取った駒の再利用がドラマを生み、チェスはほぼ研究されつくしているので(とはいえ、アマチュア目線だと面白いのですが)、誰もが知らない新しい舞台を考えてみよう、というので大将棋の話をしています。

何をしたらいいのか

序盤戦略は将棋同様、相手の弱い部分を攻め破って拠点を作るところから。
結論から言うと、2回動ける駒の働きが重要です。
獅子>飛鷲≧角鷹を活躍させます。

これを前提として、各駒に防御力(動かせる範囲)という評価軸を追加します。将棋でもアマチュア上位層は防御力という言葉は使いませんが、動かせる範囲の重要性は無意識に理解しているはずです。
奔王(チェスのクイーン)>角鷹>飛鷲>龍王≧龍馬>…
二回動ける範囲は飛鷲>角鷹で、移動範囲は角鷹>飛鷲。慣れないうちは要注意。
なお、成り飛車(金将)や成り角行(猛豹)は思った以上に強くないです。竪行の成り駒である飛牛(角行+反車=前後にいくつでも)や香車の成り駒である白駒の方が使いやすいと感じる事が多いです。王将の守り駒としては非常に優秀なので、攻撃駒として評価していないという意味になります。

序盤・位を取って獅子を動きやすくする

将棋から入ると、飛車角行の上位互換または同等の駒が多いので、まるで軍人将棋の戦闘機なみにバンバン駒を突っ込ませたくなりますが、案外固く守られるとどうしようもないよね、という事に早い段階で気付きます。
そこで、2回動ける駒だと自分は安全圏から相手の防御を無理やりはぎ取っていくことができることに気付きます。そこで獅子の価値を高く感じる事でしょう。
そうすると「自分の獅子の利きを広げて、相手の獅子の動きを制限すれば良い」事に気付きます。私はこれに気付くのに時間がかかりました。
(将棋にある程度慣れてから定跡の勉強をし始めると思いますが、暗記方式で勉強しているとこういうところに応用が利きにくいので、自らへの戒めにもなりました)

位を取る=獅子を安全に前に出す=ためには、横方面の利きを強くすることが重要です。いざという時に龍馬・角行のような斜め利きの駒から獅子を守る盾にするためです。
角行系の方が使いやすいのですが、よくよく振り返ってみると斜め方面は攻撃には便利ですが、たとえば筋違い角のように肝心な部分では守りに入れないケースが多いため、獅子の安全性を確保する役割を持っていません。
序盤の横利きを優先するなら成り龍馬(元・角行)を捨ててでも角鷹(元・龍馬)が作れるなら価値はありますが、中終盤からの攻めが遅くなるので一長一短です。
端歩を突いて飛車を展開したり、横行(前後は1つ、横はいくつでも)を前に出して飛車でケアする方法もありますが、これらの駒は大体角行に狙われますので、序盤の駒の価値は間違えないように。
なお、猛牛(前後左右に2マスまで)と飛龍(斜め方向に2マスまで)は成っても金将なので強くはありませんが、盾や紐としては非常に優秀です。攻め駒のバックアップとして活用しましょう。

中盤・自陣または相手陣に拠点を作る

角行や飛車・横行の応酬合戦で陣が荒れるか、獅子の介入を許してしまうとあっさり拠点を作れます・作られます。
最低でも周囲1マス動ける駒でないと獅子を防ぐことは不可能ですし、2マス以上動ける駒でないと獅子の動きを封じる事もできません。
飛車や角行では獅子に勝てないので、成り龍王や成り龍馬になってからが獅子対策ができた状態といえます。特に横行は獅子に捕まったら横利きがあっても逃げられない事が多いので、襲われないようにしっかりと守る必要があります。「獅子は駒を取ったあと、元の場所(安全な位置)に戻れる」事を常に念頭に置きましょう。

ここで、王将の守り駒を見てみましょう。
後ろに進めない酔象(成り太子)、前に進めない盲虎(成り飛鹿。前後にいくらでも進める王)、横に進めない猛豹(成り各行)、後ろに戻れない悪狼(後ろに行けない金。成り金将)が固めており、うまく駒組をすれば獅子を近寄せない形にすることができます。
銅将や銀将は対獅子では守りに微妙ですが金将は比較的優秀です。
残念ながら左翼・右翼の成り金将の駒たちは利きが悪いため活躍は難しく、獅子の釣り餌にしかなりません。
将棋と違って囲いを作る場合は、獅子を寄せ付けない形になっているか、常に気を払いましょう。
また、成れば最強格の麒麟(獅子)と鳳凰(奔王。チェスのクイーン)は中盤までは自陣が破られても防御の支柱にできます。
もし劣勢が覆せなさそうなら、酔象を相手陣に送って太子を作ることを検討せざるをえない状態があるかもしれません。目的は太子を作るのではなく、太子成りを目指す酔象を無理攻めさせることで相手の攻勢を弱めることです。

終盤・獅子をいつ捨てるか

ここまで獅子が生き残っていれば、2マス以上進める駒に気を付ければよいです。端の反車(前後にいくつでも。成りの鯨鯢は自陣防衛に強い)が残っているとやらかしがちなので、不安なら攻める前に自陣の端を固めるか、相手陣の反車は取り除きましょう。
また、相手が序盤に横行や飛車を展開していない場合は自陣防衛が強いので獅子を進めた場合は調子に乗って相手の駒を取りすぎないようにします。相手の駒が減るとそれだけ横利きが強くなるので、場合によっては獅子でも駒を取らないという選択が必要になることがあります。

獅子がない場合、どうやって王将の守りを崩すかが一気に難しくなります。
将棋はと金が強いゲームですが、大将棋においてはと金は使い物にならないので、自陣から持っていく駒は成り飛車の金将か、成り飛鹿の盲虎でしょう。麒麟や鳳凰が生きていればそちらを使う選択肢もありますが、相手が慎重派なら狙われる優先度が高いため生き残る事はあっても成り獅子・奔王は作らせてもらえない可能性が高いです。

最終盤・王将を取りに行くタイミング

  1. 相手の飛車・横行・成る可能性の高い反車(成ってしまった場合は鯨鯢)がいないこと

  2. 王将の周囲の酔象・盲虎・猛豹・金将をある程度はがせていること。悪狼は後ろにいけないので無視してもよい

  3. 獅子がいれば王将の逃げ道をふさいでいること

  4. 2マス以上進める駒が2つ以上あること。麒麟>鳳凰>自陣の王の守りが使えるなら金将>盲虎。猛牛や飛龍を使う場合は間違えて成らない(成りはと金)ようにすること

途中で相手の獅子を追い詰める事ができればかなり余裕ができます。
全ての局面において、獅子と奔王または飛鷲・角鷹の交換になったとしても、将来的に王将を取りにくくできる選択が価値が高いと考えるべきでしょう。

学習データ用の記事も作成中です

出来上がり次第、こちらにも追記します。
まずは遊んでみてもらって、棋譜が残ればベスト。なくても考察ができればベターぐらいに考えています。

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のむらごろう
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