MLBポストシーズンを参考にしながら、NPBポストシーズンの「妄想」をしよう

アメリカメジャーリーグは日本時間の今日10月2日からポストシーズン(プレーオフ)が始まり、日本のプロ野球は来週12日からクライマックスシリーズがスタートします。
2004年にパ・リーグがクライマックスシリーズの原型となるプレーオフを導入してから、かれこれ20年が経過したプロ野球のポストシーズン。「敗者復活戦」の色を感じて否定的な意見を持つプロ野球ファンも多くいましたが、さすがに最近は自分の周りではあまり聞きません。今でもいるのはいると思いますが。
かく言うぼくもクライマックスシリーズ「否定派」ではありませんが、とは言え妄想するのは自由です。なので、今回はそれを垂れ流そうというお話です。


まずは、MLBポストシーズンの仕組みをおさらいしよう。

実はプロ野球ファンでもあまり知らない、かも知れないMLBポストシーズン。ぼくも言うて付け焼き刃くらいの知識しかないですが、さらっとおさらいしましょう。
MLB公式X(旧Twitter)に分かりやすい画像があるので、それを引用します。

現行のルールは、まず2リーグ3地区制(実質6リーグ)の中から各地区の優勝チームを選出。さらに地区優勝した3チームを除いたリーグ12チームのうち、勝率の最も高い3チームを選んでワイルドカードを与え、2リーグ合計12チームでプレーオフを争います。
画像の球団ロゴの左上にある数字はシードで、地区優勝チームのうち勝率の高い2チームが第1・第2シードとしてディビジョンシリーズ(2回戦相当)から出場。地区優勝チームのうち勝率が最も低いチームとワイルドカードに選出されたチームが第3~第6シードに割り振られ、ワイルドカードシリーズ(1回戦相当)を戦います。

今季の例ですと、ワイルドカードゲームはアメリカン・リーグがシード順にヒューストン・アストロズ、ボルチモア・オリオールズ、カンザスシティ・ロイヤルズ、デトロイト・タイガース。ナショナルリーグがシード順にミルウォーキー・ブルワーズ、サンディエゴ・パドレス、アトランタ・ブレーブス、ニューヨーク・メッツがワイルドカードシリーズを戦う。
アメリカン・リーグで勝率の最も高い2チームであるニューヨーク・ヤンキースとクリーブランド・ガーディアンズ、ナショナル・リーグで勝率の最も高い2チームであるロサンゼルス・ドジャースとフィラデルフィア・フィリーズはディビジョンシリーズから出場し、リーグチャンピオンシップシリーズ→ワールドシリーズと続きます。

ぼくがメジャーリーグを意識し始めた頃のワイルドカードは各リーグ1チームだけだった記憶があるんですが、度重なるシステム改変を経て現在のような形になりました。MLB30球団中ポストシーズンに進めるのが12球団、割合で表せば4割のチームが出場することになるのは違和感があるように見えますが、それはNPBプレーオフが半分のチームに参加資格を与えていることを鑑みれば、おかしくはないと言うか「他人のことは言えない」でしょう。
そのワイルドカードについて詳述すると、1995年に導入された当初は勝率の最も高い1チームが対象。2012年にワイルドカードノミネートチームが2チームに増え、ワイルドカードゲームを導入。2022年からはワイルドカードノミネートチームが3チームに増え、上述のようなシステムとなりました。
ワイルドカードも1チームにはその時の弊害が、2チームにはその時の弊害がありました(本筋から逸れるので詳述はしません)。その弊害を認めるMLBの、「現行のシステムが最良のものではない」という思想で改革を躊躇なく行えるダイナミズムは、NPBにはないので率直にうらやましい。「やりすぎでは?」と思う施策もそこそこありますが、個人的に少しNPBに愛想を尽かしつつある中で、視聴環境を整える事さえ出来ればぼくはこの先MLBフリークになっていくかも知れません。未来のことは分からないですけどね。

「12球団制」を維持した上で「敗者復活」感が出ないシステムを、NPBで構築するならどうする?

前提として、ぼくはクライマックスシリーズ廃止論者では断じてないですし、現行制度への不満は特にありません。それを踏まえた上での妄想、ということをもう一度断っておきます。

NPBクライマックスシリーズはご存知の方も多い通り、セ・パ両リーグで2位・3位になったチームがファーストステージへ進出。ファーストステージを勝ち抜いたチームが、リーグ優勝したチームとファイナルステージを争い、勝利したチームが日本シリーズへ駒を進めることとなります。
NPBのクライマックスシリーズが「敗者復活戦」要素を見いだせてしまう要因としては、本来なら「遠い存在」であるはずの3位までポストシーズン出場権が与えられていることではないでしょうか。リーグ3位のチームが日本一になった例は昨季までだと2010年の千葉ロッテマリーンズだけですが、結果はともかくチャンスがあることに「リーグ優勝の価値が低くなる」危惧の声が挙がるのは致し方ないことでしょう。
とは言え、クライマックスシリーズを導入することの何が大きいかというと、「消化試合が減ること」。これは勝負結果よりも経営・収入面に直結する問題なので、仮に廃止する方向で議論をしたいのなら「その分の補填をどうするか」から論を立てないといけません。なので、現行の2リーグ6球団制が続く限り廃止論は現実的ではないはずです。

とは言え、ポストシーズンのシステム改良を目的にエクスパンション(球団拡張)をするかと言われると、これも現実的な話ではありません。
ひとまず12球団制を維持した上で、「敗者復活戦」感をなくすポストシーズンのシステムを構築するとしたらどうなるか。まあネットを探せばなんぼでも転がっている話なんでしょうが、やりたくなったのでやります。

一番丸いのは、3リーグ4球団制にすることでしょう。3リーグのリーグ優勝チーム+ワイルドカードチームでトーナメントを行うシステムですね。
当然問題は探せばいくらでも出てくるでしょうが、日程に関しては交流戦(インターリーグ)を取り入れればそこそこ課題は潰せるはず。日程を組むのは煩雑になるでしょうが、リーグ戦を6~70%くらい、他リーグチームとの交流戦を3~40%くらいで組めば、「リーグに所属する他3球団と延々対戦する」事態は避けられるでしょう。

対戦について、少し突っ込んで言うならば。現行と同じ143試合前後をレギュラーシーズンで組むとして、
・同じリーグに所属する3チームとは1カード32試合(32×3=96)
・他リーグに所属する8チームとは1カード6試合(8×6=48)
で、96+48=144試合を組むことが出来ます。
ただふっと思ったけど、「個人タイトルを3リーグでそれぞれ選出する」となると4球団では少ないなぁ…………。

ワイルドカードに関してはMLBと同じ設計思想で、ワイルドカードが1枠のみになることである地区の優勝争いが盛り上がらなくなるのであれば、ワイルドカードを2枠に増やすことを考えます。
ワイルドカード1枠の場合はリーグ優勝チームのうち勝率が1番高いチームとワイルドカードチーム、勝率が2番目に高いチームと3番目に高いチームで1回戦(セミファイナル)。勝ち進んだチーム同士の対戦が日本シリーズ(決勝戦)となります。ワイルドカードが2枠になった場合は先にワイルドカードノミネートチーム同士でワイルドカードゲームを行うことになるし、3枠に増やすとなればそれこそ現行のMLBポストシーズンと同じ流れになります。
少なくとも「敗者復活戦」感を出さないようなシステムを構築するのであれば、思考実験としてはこんなものでしょう。

ここからは完全に机上の空論。エクスパンションそのものも考えてみよう。

たまに政界からも言及されるNPBのエクスパンションですが、現実的には基本無理な話だと思っています。プロ野球球団を運営するには恐らく何十億単位の資金が必要で、それを最初期だけでも負担できる企業が今の日本にどれだけあるか。あったとして、プロ野球に今から参入したい企業があるのかどうかは甚だ疑問です。
ですが、妄想においてはそんな現実的な話は一切排除できます。現実的な考察を一切しないで、妄想を楽しみましょう。

まず球団数についてですが、個人的に考え得るのは14・15・16・18の4パターンだと思っています。
最少数となる14球団制については、2リーグ制の維持が一番しやすい上で2球団7リーグ制が安定するパターン。しかしリーグ所属球団が奇数となるので日程は組みにくくなり、現に1950年代のパ・リーグは7球団の日程編成に苦しんで1954年に高橋ユニオンズを誕生させ、のちに高橋を吸収した大映ユニオンズが毎日オリオンズへ合流することで6球団まで絞られました。数としては現実的であっても、メリットは少ないでしょう。
15球団制は3リーグ5球団の構成となり、規模としてはMLBの半分。しかしMLBが全体で30球団であるのに対し、15球団制は対となる他カンファレンスのリーグがないので、日程編成にはやはり苦労することとなります。
16球団制は2リーグ8球団制と4リーグ4球団制の2パターンが考えられますが、前者ではポストシーズンというこの記事の主題を鑑みるに意味がない編成となるので、後者が基本線となるはずです。「4リーグ」とは言いましたが、偶数なのであり方としてはセ・パ両リーグの東西地区制が一番しっくりくるはずで、その場合はセ・パ各リーグの勝率1位チーム同士によるリーグ優勝決定シリーズ→勝ち抜いたチームによる日本シリーズ、という一番シンプルなポストシーズンシステムを構築できます。
18球団制は3リーグ6球団制。かつての「パワフルプロ野球」シリーズのサクセスにおけるレボリューション・リーグのようなものでしょうか。この場合、ポストシーズンはほぼほぼMLBのそれを踏襲できます。

地区制が絡むとなると「どこに本拠地を置くか」を考える…………のもよくある話ですので、候補だけを挙げておきます。詳しい考察は恐らくnoteを始め他の媒体にいくらか転がっていると思うので、突っ込んで調べたい人はそちらを当たってください(他力本願)。
空白地帯の解消」を目指すのであれば、ぼくが推したいのは北信越から新潟市と四国から松山市。現に新潟市は今季からNPB二軍イースタン・リーグに参入したオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブが本拠地を置いていますね。それ以外では宇都宮市、浜松市、岡山市、熊本市、那覇市も候補に入れていい。ただ那覇市は交通手段の確保という点で苦労しそう。オンシーズン中は台風の影響をもろに受けますからね…………。
自治体人口に重点を置くなら川崎市、京都市、堺市、北九州市あたり。包括的に捉えれば東京都多摩地区も有力な候補となるでしょう。ちなみにこの「包括的」というのは1自治体にこだわらないという意味で、別の言葉を使うなら「都市圏」が当てはまるかと思います。例えば岡山市なら、瀬戸内海を挟んで対岸の香川県からもある程度取り込めるはずです。

最後はポストシーズンから話が逸れましたが、特にMLBの影響を受けながらNPBのポストシーズンについてシステム変更をするならこうかな、という記事でした。
繰り返し述べておきますが、ぼくは特に現行のクライマックスシリーズに不満点はないですからね。仮に上位チームが敗退したとて、それはスポーツなので「勝てば官軍」です。順当に勝てば解決する話をシステムにいちゃもんつけたところで、まあ、ダサいんで…………。

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