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4/23領火の誕生日を祝う

「にゃぼちゃん。そろそろ領火帰ってくると思う?」
「そうだにゃぁ、夜18時に帰宅する確率は95%くらいかニャー」
「上々かな。」
 今日は領火の大事な記念日だ。準備は万端、後は帰ってくるのを待つだけ。
 ここは自分と領火(もちろんにゃボットも)のマイホーム。二人で暮らす分にはとても広いが、機材や材料、試作ロボット達が大量に置かれ徐々にだが部屋が狭くなっているのは最大の課題だ。
「お姉ちゃん!食事スペースに半田ごてやドライバーを置いとかないで!」「貴方もそう思うでしょ?」
 これは様子を見に来た領火の妹である綾水の第一声である。これをきっかけにダイニングキッチンだけは唯一衣食住に適した空間となっていた。私はここでテーブルの上でそわそわしているにゃボットの肩脚をつまみ、ゆっくり上下に揺らしながら戯れていた。

 普段外に出ない領火が珍しく「綾ちゃんとみんなの所に遊びに行ってくるね。」と言って出かけて行った。みんなとはトライナリーと真幌さん達のことだろうか。
 私も以前WAVEでこの日に集まらないかとトライナリー達に言ったが、みんなからやんわりと断られたり、軽く叱られたりしてしまった。
「(みんな何を企んでいるのだろうか。)」
 そんなことを考えていると、玄関の方から足音が聞こえてきた。領火だろうか。にゃボットも「エリカさんダ」って顔をしてるから間違いない。
(がさがさ…カチャ…)
 おっと、いつの間にかにゃボットが私の分のクラッカーも携えて飛びついてきた。ナイスだ、にゃボット。これで準備は整った。
「ただいま~。あ、あなた?いるー?」
(がちゃり…)
「ねぇねぇ、実は今日は…」
 パァン、パスンと炸裂音が二つ。そして領火に向けて紙テープと紙ふぶきが飛んでいく。
「お誕生日おめでとうニャー!」
「わぁぁっ!?えっ、わたしのお誕生日知ってたの?」
「あ…うん、トライナリーのみんなから教えてもらったんだよ」
「そ、そうだったんだ…。えへへ、嬉しいなぁ…」
「ところでその格好…」「エリカサン、綺麗!!」

 ドアをあけた時、領火の恰好についみとれてしまい、間抜けなクラッカーを繰り出したのは私だ。
 普段の白衣にタイトスカートとTシャツ姿ではなく、カジュアルな感じのコートにゆとりのある上下の服がふわふわしてる感じの…ファッションに無頓着すぎて何なのか全くわからない。とにかくかわいいのだ。
「ど、どうかな?似合うと思う…?」
「ずっと抱きしめたいくらいにかわいい。」「領火の義理の子ニナリマス。」
 つい本音が漏れてしまった。
「えええええ!?そ、そんな…」
 ダメなのか。
「す、少しだけなら…」
「(ぎゅうううう)」「ギュゥゥゥ」
「あわわわ」
 柔らかくて、あととても良い匂いだった。

「もうおしまい!!」
「えぇー…」「ぶーぶー」
「お洋服がダメになるかもだから禁止です!」
 それを言われたら引き下がるしかない。
「とにかく、はやくご飯を食べよう?」
 そうでした。一応頑張って作った料理があった。ご飯はあまり得意ではなかったがこの日のために練習しておいた。おもてなし料理というほどではないが、普段とは違う一汁三菜の食事だ。領火も待ちきれないようだ。
「「「いただきますー!」」」

・・・

「今がちょうどいいかな。誕生日プレゼントをあげるね」
食事の後のお茶中にぽーっとしている領火に少し大きめのラッピングした箱を渡す。
「えっ、ほんと!?あっ結構重いね。」
「こ、これは…!!」
「ああぁぁぁっかわいいロボットさんだぁ!!ありがとうあなた、大好きだよっ。」
そう言うと領火さんは私に向かって飛び込んで強く抱きしめてきた。

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