AIに奪われない仕事
発明は確かに仕事を奪う。飛脚や電話交換手は、もういない。でもそれは、より便利になったということだ。郵便制度の確立により飛脚という職業は消滅したが、今では誰もが、世界中と手紙や荷物等のやり取りをすることができるようになった。機械化が進んだことにより電話交換手という職業は消滅したが、より素早く電話ができるようになり、第三者を介さないことで、プライバシーも守られている。
AI、人工知能は発明である。だからそれは、今ある仕事を奪うかもしれない。でもそれは、生活が今より便利になる可能性を秘めているということだ。どんなに飛脚の仕事が、電話交換手の仕事がなくなると言っても、人々の便利さには代えられず、そしてその便利になる『人々』の中には、かつての飛脚も、かつての電話交換手も含まれているのだ。
だからAIに仕事を奪われることを必要以上に恐れる必要はないと思うが、AIに奪われない仕事はなにか?と問われれば、究極的には『あなたがやりたい仕事』は無くならないだろうと考える。
もっとずっと遠くの未来、AIがほとんどの仕事を、人間に代わってできるようになり、そのためにほとんどの人間が、仕事に就くことができなくなった……というような事態になったときには、おそらく社会の仕組み自体が変わるのではないかと考える。つまり、社会は利益を分配するようになり、我々は働かなくても生きるに困らなくなるのではないだろうか?
だから結局は、収入の心配をほとんどすることなく、それぞれがやりたい仕事や、実現したい社会を目指すようになるのではないかと思う。AIの方が歌うことがうまくても、歌いたい人は歌い、AIのほうが美しい物語を紡げたとしても、物語を綴りたい人は綴るだろう。医者が必要なくなっても、医療を学びたい人はいるだろうし、看護師になりたいなら、AIに混ざって看護師をしたっていい。AIが本当はすべてできるとしても、やりたい人がいて、その資格があるならやってもいい、そういう社会になるのではないだろうか。
参考
飛脚 - Wikipedia
交換手 - Wikipedia
#日経COMEMO #AIに奪われない仕事