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文化庁の「公用文作成の考え方」をUIルールに取り入れた話
ソーシャルPLUS のデザイナー、のもち(@nomo_017)です🙋♀️
埼玉県から栃木県に引っ越しました!ラーメンいっぱい食べてます🍜
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さて、本題に入ります🙋♀️
最近、文化庁が公開している「公用文作成の考え方(建議)」という文章作成のルールについて、ソーシャルPLUSのデザインチームで読み合わせを行いました。
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今回は、実際のUIルールに取り入れたポイントや、気になったポイントをご紹介していこうと思います!
そもそも、「公用文作成の考え方」とは?
「公用文作成の考え方」とは、文化庁が公開している文章作成のルールの1つです。
各府省庁等が作成する多様な文書それぞれの目的や種類に対応するよう、公用文に関する既存のルール、慣用及び実態に基づき、表記、用語、文章の在り方等に関して留意点をまとめたものである。
この他にも、「公用文における漢字使用等について」や「送り仮名の付け方」などが公開されています。
「公用文作成の考え方(建議)」については主にこのような内容が記載されています。
「想定される読み手」に応じた分類
その文章が広く一般の人々に向けたものか、それとも民間の組織に向けたものかなど、想定される読み手に応じて、適切な媒体や手段、書き表し方が定義されていました。
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表記の原則
漢字、送り仮名、外来語の表記を始め、紛らわしい言葉を使わない、違和感や不快感を与えない言葉を使うなど、読み手に正確に情報を伝えるための原則が記載されていました。
4 数字を使う際は、次の点に留意する
- ア 横書きでは、算用数字を使う。
- 例)令和 2 年 11 月 26 日 午後 2 時 37 分 72% 電話:03‐5253‐****
- イ 大きな数は、三桁ごとにコンマで区切る。
- 例)5,000 62,250 円 1,254,372 人
- ウ 兆・億・万の単位は、漢字を使う。
- 例)5 兆 100 億 30 万円
今回は、「公用文作成の考え方(建議)」の3〜10ページについてデザインチームで読み合わせを行いました。
UIルールに取り入れたポイント
デザインチーム内でよく検討される書き表し方や、明文化した方が良さそうな方針を、UIルールとして取り入れることにしました。
①「読み手の定義」の追加
「読み手の定義」を共通認識として可視化することにしました。ペルソナほど詳細には作り込まず、ざっくりとした粒度で認識を合わせていきます。
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■対象: UIを操作している顧客
現状、デザインチームが主に取り扱う文章はUIがメインになるので、まずはUIを操作する顧客向けに意識する。
■理解度: 基本的なマーケティングやドメインの知識がある
ソーシャルPLUSのサービスを利用する顧客は、「LINE」「Shopify」「ソーシャルログイン」の基本的な知識があるので、ある程度の専門用語を用いても良い。(ただし、難しい用語の場合は説明を添える)
②「意識すること」の追加
「誤解を与えずに伝える」という点においてとても重要な内容だと感じたため、改めてUIルールとして取り入れることにしました。
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■言葉のかかり方によって複数の意味に取れることがないようにする
例)所得が基準内の同居親族のいる高齢者※
→「所得が基準内の同居親族」のいる高齢者
→所得が基準内の高齢者(同居親族がいる)
■読点の付け方によって意味が変わる場合があることに注意する
例)当課は時間を掛けて 課題解決に取り組む団体を支援する※
→当課は、「時間を掛けて課題解決に取り組む団体」を支援する
→当課は時間を掛けて、「課題解決に取り組む団体」を支援する
※ 公用文作成の考え方(建議)の例文を一部引用しています。
③「数字を使う横書き」の追加
算用数字の扱いについてはデザインレビューで頻繁に検討されるため、UIルールに取り入れることにしました。
算用数字を使う横書きでは、「○か所」「○か月」と書く(ただし、漢数字を用いる場 合には「○箇所」「○箇月」のように書く。)。
- 例)3か所 7か月 三箇所 七箇月
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④「3つ以上の情報を並べる」の追加
条件を並べる時など、3つ以上の情報が並んだ時の表現もデザインレビューで頻繁に検討されるため、UIルールに取り入れることにしました。
三つ以上の情報を並べるときには、箇条書を利用する。
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ただし、状況に応じて「・」を使用して項目を横並びで繋げる方法も適切な場合があります。例えば下記のUIでは、各情報の重要度が低いため、箇条書きでスペースを多く取るよりは横並びが適切だと判断しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1733717889-AeKJThFw0kMnUSd9Rj3rXl6g.png?width=1200)
他に気になったポイント
今回はUIルールには取り入れませんでしたが、取り入れるかどうか判断に迷った箇所がいくつかありました。
今後、課題が浮かび上がった時に、UIルールに取り入れるべきかどうかを再度検討していこうと思います。
①基本的な考え方
(1)読み手とのコミュニケーションとして捉える
- ア 読み手に理解され、信頼され、行動の指針とされる文書を作成する。
- イ 多様化する読み手に対応する。広く一般に向けた文書では、義務教育で学ぶ範囲の知識で理解できるように書くよう努める。
- ウ 地方公共団体や民間の組織によって活用されることを意識する。
- エ 解説・広報等では、より親しみやすい表記を用いてもよい。
- オ 有効な手段・媒体を選択し、読み手にとっての利便性に配慮する。
引用した部分を含め、文章作成時に意識すべきポイントが全体的に記載されていました。
Shopifyのデザインシステム「Polaris」のガイドラインに記載されている内容と重複する部分があるため、必ずレビュー時にデザイナーの確認が入ることを考慮し、今回は新たにUIルールに取り入れませんでした。
②曖昧さを避ける
- 程度や時期、期間を表す言葉に注意する。
- 例)幾つか指摘する → 3点指摘する 少人数でよい → 3人以上でよい 早めに → 1週間以内(5 月 14 日正午まで)に
状況により明確にできない場合もあることから、今回はUIルールに取り入れませんでした。
<曖昧にした方が良い場合の例>
システム的な仕様で確定できない場合
例)プラットフォームの制約や、他ツールとの併用によって、上限までの実行可能回数が確定できないなど
情報の段階的提供の視点で、抽象的な情報から提示した方が良い場合
③繰り返し符号
- 繰り返し符号は、「々」のみを用いる。2字以上の繰り返しはそのまま書く。
- 例)並々ならぬ 東南アジアの国々 正々堂々 ますます 一人一人
今まで細かくはチェックしていませんでしたが、基本的に社内の校正で見落とされることはないため、今回はUIルールに取り入れませんでした。
また、「々」はそもそも何と読むのか?🤔という話題もあがり、漢字ではなく「ノマ」という記号であることが分かりました。チームで読み合わせするとこういった小さい気づきも出てきて面白かったです。
さいごに
ここまで読んでいただきありがとうございます 🙌
「公用文作成の考え方(建議)」を読み合わせすることで、文章作成において意識すべきポイントが増えて、引き続き継続すべき良い運用も明確になりました。
ただ、「公用文作成の考え方」に沿って実際にUIの文章を作成してみたところ、一部で読みにくさが発生する場合があったため、全てをそのまま適用するのではなく、自分たちのサービスにとって適切で読みやすい文章を引き続き意識していきたいと思います。
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