は虫類カフェ(コント)

2人バージョン

(カフェの扉の開く音)
B:  いらっしゃいませ
(A、机に座り、メニューを開く)
A:  えっとー、ブレンド
B:  はい
A:  …以上で
B:  …い、以上で?
A:  …はい、ブレンド、以上で
(怪訝な顔で)
B:  …はい、かしこまりました…
A:  …はい
(A、カバンからpcを出す)
B:  こちら、ブレンドコーヒーですね
(コーヒーを一口飲み、pcを打つ)
B:  …えっと…
A:  ん?なんですか?
B:  他に、大丈夫ですか?
A:  はい
(pcを打ち続ける)
B:  あのー、やめてもらえます?
A:  何ですか?
B:  いや、やめてもらえませんかね
A:  え?ここカフェですよね?いまどきこれくらい、いいじゃないですか、誰にも迷惑かけてないでしょ
B:  いや、そういうことではなくてですね
A:  何も音立ててないでしょ、コーヒーも頼んでるんですから、ここカフェなんでしょ、文句言われる筋合いないでしょ
B:  は虫類カフェなんで!は虫類カフェ!普通のカフェならいいですよ、は虫類カフェなんで
A:  でも、カフェなんでしょ
B:  へびとかとかげとかと触れ合うことを目的にしてるんですよ
A:  いや、カフェでしょ、そういうことをするお客さんの迷惑にはなってないでしょ
B:  うちとしては、困るんですよ
A:  だから誰にも迷惑かけないようにおとなしくしてるじゃないですか
B:  爬虫類カフェで「おとなしく」は図書館で騒ぐのと一緒
A:  いや、カフェとしてこの店の雰囲気が好きなんですよ。落ち着くじゃないですか
B:  どこが落ち着くんだよ!めちゃくちゃ臭いし、めちゃくちゃうるさいだろ、は虫類に囲まれてる空間は落ち着くには最悪の空間なんだよ!
(B、押しのけて、怒りのテンションのまま)
B:  いらっしゃいませ!あ、臭くないです、臭くないですし、うるさくないです、どうぞ!
(A、振り向いて)
A:  …帰りましたよ
B:  お前のせいだよ!ほんとに、ほんとになんでは虫類カフェ来てるんですか
A:  このカフェが好きなんですよ。この店のコーヒーが美味いから来てるんですよ
B:  …は虫類カフェのコーヒーが美味いわけないだろ
A:  これ、どこの豆ですか?
B:  「どこの豆」とかでやってねえわ、コーヒーにこだわるタイプのカフェじゃねえんだよ
A:  どこの豆ですか?ねえ、これどこの豆ですか?
B:  …ネスカフェだよ!ネスカフェ!恥かかすな!
A:  でも、カフェとして好きだから来てるんで
B:  いや、困るんですよ、もう、なにかしら触れ合っていただかないと
A:  ああ、わかりましたよ。じゃあ、持ってきてくださいよ、は虫類
B:  くくりで呼ぶな。別に「は虫類」って言うのがいるわけじゃないんで
A:  なんでもいいですよ、じゃあ、持ち運びしやすいやつ
B:  帰れ、帰れお前もう
(A、立ち上がりなだめる)
A:  短いへびでいいですから
B:  長いへびを持ちづらいと思うな。まあ、わかりました、今から連れてきますから、戯れたらもう二度とこないでください
(B、蛇を持ってくる)
B:  この子ね、一番人気なんですよ。小型でおとなしくてね、模様とか見てみてくださいよ
(A、顔の近くへもっていく)
B:  ほら、ほら、ねえ!
(A、顔を見る)
A:  普通っす
B:  爬虫類だぞ!なあ、好きか嫌いかのどっちかだろ!
(A、首をかしげる)
B:  気持ち悪がれ!
A:  …いや、なんも思わないっすけどね
B:  気持ち悪がれ!おい!気持ち悪いだろ!おら!…いらっしゃいませ! あ、気持ち悪くないです、全然、全然気持ち悪くないです、気持ち悪くないです
(B、振り向くとA、机の上にへびを置きpcを叩く)
B:  もう飽きてる
A:  置いちゃだめですか
B:  生き物に「置く」とかないんだよ
(pcのケーブルをカバンから出しヘビの上に置く)
B:  ヘビとケーブルおんなじとこ置くな。初めて見たわ、生き物をpcの周辺機器と同じ扱いするやつ、おい、もういい加減にしろよ
A:  わかりましたよ、そんなに言うならもういいですよ
(A、荷物をしまう)
A:  向かいの新しいカフェ行きますよ
B:  行け、もう
(カフェの扉の開く音)
B:  あいつねこカフェ入っていった!

(2018年作成)

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野宮
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