noteコンテスト「#2020年わたしの選択」最終審査会ノミネート作品を紹介!
12月23日から12月31日まで開催された劇団ノーミーツのnoteコンテスト「#2020年わたしの選択」。
最終審査会にノミネートした15作品をご紹介!
ノミネート作品①
小樽で出会った、大野くんが大好きな岡山のおばあちゃんへ|食べかけオムライス
「仕事を辞める」という決断をしたタイミングで出会ったのは、嵐のライブのために岡山から札幌まで向かうおばあちゃんとその孫娘。2人の出会い、そしておばあちゃんの一言がその後の選択を支える姿が印象的な温かいnoteです。
阿部:偶然隣に座ったおばあちゃんが言ってくれた「なんとかなるよ」が、彼女にとって選択を支える言葉になったっていうのは、とてもいいメッセージだなと思いました。そして、このnoteを読んだ人が、その言葉に少し背中を後押しされるようなところもいいですね。
広屋:なかなかおばあちゃんと嵐のライブに行かないよなと思い、おばあちゃんを連れていくその孫娘の選択も結構すごいなと思いました。 このnoteには実は二つ素敵な選択をしている人がいて、登場人物がみんな素敵でした。
カツセ:彼女はきっと今後も選択する時にそのたった1時間会ったおばあちゃんの話を常に思い出すわけですが、そういう人に偶然出会うっていうところにミラクルを感じて良かったです。
ノミネート作品②
結婚しよう。|kokode
左手足に障害のある主人公が、結婚するまで、そして結婚してから今までを振り返る作品。結婚までの葛藤、そしてそれを乗り越えていく2人の姿に胸が熱くなります。
カツセ:夫となる人がお母さんに「彼女を生んでくれてありがとうございます」っていうシーン、 画をイメージしたらちょっと涙腺に来てしまいましたね。物語としてすごく好きでした。
ノミネート作品③
多分本当のはなし。|えいひれ。
2020年1月から2020年3月までの約一か月の男女の物語。文章の途中に挟まれている写真も印象的な、2020年に起きた「選択」をまっすぐに描いたnoteです。
広屋:このコロナ禍での男女の模様が、生々しく、そして爽やかに書かれていて小気味よく最後まで読めました。最後の「幸せになりたい!全世界に、全宇宙に、幸あれ!!!」にある種前向きな想いがこもってて、とても好きな読後感でした。
ノミネート作品④
#2020年わたしの選択 |nana_eh
「緊急事態宣言の最中、東京から実家のある埼玉へ引っ越しをしする。」という選択を描いたnote。コロナ禍を経て、住むところを変えるという「選択」をしたことからさまざま自分の選択について振り返っています。
広屋:自分の年齢だとまだ感じることが難しい感情が書かれていて、面白く読みました。コロナによって、改めて人間は寂しさや孤独からは逃れることができないのだと痛感するし、そのことを前向きに肯定できるような気もしました。
ノミネート作品⑤
noteに転がり込んで転がって/2020|山羊メイル
中年男性があるnoteコンテストをきっかけにnoteをはじめるという「選択」をします。はじめてのnoteに四苦八苦しながら進んでいく姿が描かれています。
カツセ:40過ぎた中年男性が、インターネット上で「スキ」ひとつで一喜一憂する姿にものすごく心打たれてしまいました。その選択もすごくいいし、反応があったからこそ次書こうという、その手ごたえを感じて進んでいく感じもいいな、と思いました。
小御門:物語の中では厄介なポジションに俺はいるんだなっていうその自己認識から始まる。あのスタートだけでもう読まされてしまったというか。僕もあと数年したらそのカテゴリに入っていくので、こういうたくましい精神も必要かなと思いました。
ノミネート作品⑥
荒波|りお
住む場所も、仕事もなくなってしまい、さらに指定難病に罹る、という波乱万丈な2020年。その中でもたくましく一生懸命に生きる姿を描いたnoteです。
小御門:家がなくなり仕事もなくなりと、読んでいて大丈夫なのだろうかと心配になってしまうほど、波乱に満ちた2020年を過ごされているけど、気持ちいいくらい前向きなのが印象に残りましたね。「逆境を生命力に変えて」と書かれている通り、人間のいきものとしてのたくましさを感じられて励まされました。
ノミネート作品⑦
大嫌いのフリをしたいのだ。|Peka
「演劇」と向き合い、自分と向き合うまでの葛藤を描いたnote。最初の一文が衝撃的ですが、そこから向き合っていく姿に勇気をもらえる作品です。
広屋:自分の感情を理解することは本当に難しいですよね。なぜ自分が嫌な気持ちになっているのか、実は分かっているのに自分の感情に蓋をして、わざと覗かないようにすることも沢山あります。そこから一歩踏み出して正面から向き合う勇気を持つと、少し整理ができたり、前へ進んだりすることもあり、その一歩の繰り返しを僕自身も重ねているような気がします。改めてその感情と苦悩に気付かされた、素敵なnoteでした。
ノミネート作品⑧
0.02mmより密に感じた、あの夜が忘れられなくて|坂井 彩花♬Music Worder
「喫煙をする」という変化と、その選択をするに至るまでが丁寧に描かれたnote。コロナ禍をきっかけに起きた一夜の出会いから、たばこが登場するシーンが印象的です。
小御門:外でのデートが難しくなったため、マッチングアプリでの出会いからいきなりおうちデートにショートカットされるという2020年ならではの恋愛事情がギュッと凝縮されていて興味を惹かれました。体を重ねていた時より、一緒にタバコを吸っている時の方が精神的には密、という構成も文学的でいいなぁと思いました。
ノミネート作品⑨
コロナ禍でも変わらぬ愛を誓うために|みよよ
延期になってしまった結婚式。どうするか、という選択を迫られながら、自分がなぜ結婚式を挙げたかったのか問い直し、見つめていく姿を描いたnoteです。
広屋:人生の中で最も大きな選択である“結婚”も、コロナによって影響を大きく受けたものの一つだと思う。理想を思い描いてしまうのは当然で、その中で葛藤から抜け出し結婚の本質にたどり着いたその過程が素敵だったし、力強い選択だなと感じました。2/14 素敵な結婚式になりますように。
ノミネート作品⑩
萬気来来|クガヤマ
2020年、「何者かになりたい」という気持ちと共にシェアハウスとラジオを始める選択を綴ったnote。正直な文章が潔い、構成も面白く読み応えのある作品です。
小御門:すごく正直に自分の実情というか今年の2020年にあったことを振り返っているところが好感を持てました。「実はワンボックスカーではなく机で今この記事書いている」という最後にぶっちゃけたところのある構成も印象に残りました。
カツセ:「何者かになりたい」というストーリーとして、「好きだから」ラジオを始めるという挑戦がいいなと思いました。元気をもらえる感じがあって、報われても報われなくても続けて欲しいなって無責任にも思った作品です。
ノミネート作品⑪
手紙:2050年ロンドン行|ノディ_つかだ
「2050年の手紙」という物語仕立てのnote。感染拡大を考慮し、祖母の死に立ち会わないという選択をした母と、最後に一目会ってきてほしいという息子の願いが温かい作品です。
小御門:30年後、再び世界的に感染症が拡大した世界で2020年を回想するというフィクション仕立てなのが特徴的でした。おそらく、回想されている内容、なかなか辛いエピソードなのですがそれは実話なのでしょう。それを創作で包んで伝えようとしてくれたところに優しさを感じます。
ノミネート作品⑫
暮らす場所の選択はわたしを知ることに繋がる|響あづ妙
2019年の末から2020年5月まで金沢で暮らし、緊急事態宣言と共に実家のある大阪に戻る選択をします。母の一言に背中を押され、「金沢で暮らす」という選択をすることで前を向いていく姿を描いたnote。
阿部:思い立って新幹線のチケットを買いに行く描写が、心の揺れを繊細に表現していて引き込まれましたし、最後まで心地よく読めました。
小御門:クビになっちゃったけどそこを引き払うのではなく、もう少しこの街でいい気持ちで住めるか試してみる。心のありようを変えることで解決しているところがすごく素敵だなと感じましたね。
ノミネート作品⑬
自堕落なわたしの白湯革命。|みりせんちめ〜た〜
リモートワークになり、朝の時間に余裕ができたことをきっかけに「毎朝白湯を飲む」という選択をします。「白湯を飲む」というシンプルな行為から、日々が良い方向に回り始めていく姿が印象的な作品です。
小御門:「選択」の時って、「これは絶対達成する!」みたいなすごいものを立てがちだと思うんですが、小さいことを決めてそれを実現することで結果的に朝が充実し始めるって素敵だなと思って 選びました。
カツセ:白湯という地味なものを選んだのも面白いし、ちゃんと白湯を続けた結果でなにか起きてますよやっぱり良かったですってストーリーになってるところがすごくいいなと思いました。
阿部:本当に続けている事でちょっとずつ自分の日々が変わっていく。非常にシンプルなんですけど、湯気が立っている情景も伝わってくるし、非常にリズムもよくて輝いて見えました。
広屋:小さな選択から日常が豊かに様変わりしてくような姿に、自分も「白湯革命したいな」と思ってしまうぐらい憧れます。あの先に白湯革命によってどこまでいくんだろうと楽しく想像できた部分もすごく素敵な作品だったなと思います。
ノミネート作品⑭
真っ赤なニット|かのう
垢ぬけていない自分を変えようと、普段なら絶対買わないような真っ赤なニットを買います。勇気を出して買うことを決めた姿と、背中を押すLUMINEのコピーが鮮やかです。
小御門:(劇団ノーミーツとして作品化したときに)「どういう絵になるか」というのが浮かんだ作品でした。「これまでだったら選ばなそうな赤」って小道具的にも表現できそうだなと思い、これは作品にしたらすごく素敵になりそうだなと印象に残りました。
ノミネート作品⑮
舞台袖でー1年間恋人の俳優業をサポートした私が思うことー|crack
俳優である主人公が「一年間自分の活動をせずに恋人のサポートをひたすらする」という選択をします。恋人のためにできること最大限やっていくという選択の裏で悩む姿が、「選択をしてよかった」というnoteが並ぶ中で印象的なnoteでした。
阿部:プロデューサーをしてるい人や、マネジメントをしている人でも、私も光を浴びたい、というのはどこかで一瞬ある気がするんですよね。恋人のサポートをして、恋人がフォロワーからちやほやされることの嬉しさと、それを上回るもどかしさを感じて切なくなりました。
カツセ:選択したのにあとに迷いが出ているところがすごくよかったです。みんなけっこう「選択したんだから」って強気になるけれどしっかり実はもやもやしていますという部分が出ているところにノンフィクションを感じてすごくよかったです。
ノミネートした15作品からグランプリを決める選考会の様子をレポート
今回紹介した15作品から、本企画の審査員であるカツセマサヒコさん、阿部広太郎さん、そして劇団ノーミーツ主宰の広屋佑規、小御門優一郎の4名がグランプリ作品を決定しました!
グランプリ作品は、みりせんちめ~た~さんの『自堕落な私の白湯革命』に決定!
グランプリ作品の発表、選考会の様子はこちらのnoteにてご紹介。
ぜひご一読ください!
グランプリ作品は、劇団ノーミーツにて短編動画作品になる予定です。
▼「#2020年わたしの選択」グランプリ作品選考会レポート
文:さとうみずは 編集:オギユカ
【審査員紹介】
阿部広太郎(あべ・こうたろう)
コピーライター&作詞家。「企画でメシを食っていく」主宰。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、映画、テレビ、音楽、イベントなど、エンタメ領域からソーシャル領域まで越境しながら取り組んでいる。作詞家として「向井太一」や「さくらしめじ」に詞を提供。2020年に刊行した『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)は発売たちまち重版に。2021年3月、コピーライター養成講座「ART&COPY」コース 阿部広太郎クラス開講。https://twitter.com/KotaroA
カツセ マサヒコ
ライター/小説家。1986年東京うまれ。大学を卒業後、2009年より一般企業にて勤務。ブログをきっかけに編集プロダクションに転職し、2017年4月にフリーライター、編集者として独立。2020年6月、初の著書となる小説『明け方の若者たち』(幻冬舎)を刊行。
広屋佑規
1991年生まれ。劇団ノーミーツ主宰 / 株式会社Meets代表。没入型ライブエンタメカンパニー『Out Of Theater』代表。コロナ禍で全ての仕事が中止となったなか“NO密で濃密なひとときを”をテーマに、オンライン演劇を主軸に活動するオンライン劇団「劇団ノーミーツ」旗揚げ。短編Zoom演劇作品のSNS総再生回数は3000万回再生超え、長編オンライン演劇公演は2020年に3回上演し、累計14,000名を超えるお客様に自宅から観劇いただく。オンライン劇場「ZA」を建設。第60回ACC クリエイティブ・イノベーション部門ゴールド受賞。
小御門 優一郎
脚本家、演出家。1993年埼玉県生まれ。大学在学中に劇団「21g座」を旗揚げ。ほぼすべての作品の作・演出を務め、松竹株式会社に入社後も劇団での製作活動を続ける。2020年4月、広屋佑規、林健太郎とともに劇団ノーミーツを旗揚げ。短編作品と、『門外不出モラトリアム』、『むこうのくに』、『それでも笑えれば』などの長編公演作品の作・演出も担当する。2020年11月より株式会社Meets所属。
▼劇団ノーミーツ主催noteコンテスト「#2020年わたしの選択」概要