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【グランプリ発表】それぞれの一年を振り返るnoteコンテスト「#2020年わたしの選択」審査会レポート

12月23日から12月31日まで開催された劇団ノーミーツのnoteコンテスト『#2020年わたしの選択』。それぞれの一年を振り返ったnoteコンテストの最終審査会をレポート。
カツセマサヒコさん、阿部広太郎さん、劇団ノーミーツの広屋佑規、小御門優一郎の4名が、ノミネート15作品から、グランプリ作品を選びました。

ノミネート15作品を発表!

今回ノミネートされた15作品はこちら!

【2020年 わたしの選択 noteお題コンテスト 最終選考note一覧リスト】
ノミネート作品①
小樽で出会った、大野くんが大好きな岡山のおばあちゃんへ|食べかけオムライス

ノミネート作品②
結婚しよう。|kokode

ノミネート作品③
多分本当のはなし。|えいひれ。

ノミネート作品④
#2020年わたしの選択 |nana_eh

ノミネート作品⑤
noteに転がり込んで転がって/2020|山羊メイル

ノミネート作品⑥
荒波|りお

ノミネート作品⑦
大嫌いのフリをしたいのだ。|Peka

ノミネート作品⑧
0.02mmより密に感じた、あの夜が忘れられなくて|坂井 彩花♬Music Worder

ノミネート作品⑨
コロナ禍でも変わらぬ愛を誓うために|みよよ

ノミネート作品⑩
萬気来来|クガヤマ

ノミネート作品⑪
手紙:2050年ロンドン行|ノディ_つかだ

ノミネート作品⑫
暮らす場所の選択はわたしを知ることに繋がる|響あづ妙

ノミネート作品⑬
自堕落なわたしの白湯革命。|みりせんちめ~た~

ノミネート作品⑭
真っ赤なニット|かのう

ノミネート作品⑮
舞台袖でー1年間恋人の俳優業をサポートした私が思うことー|crack

ノミネート作品はこちらのnoteで審査員のコメントと共に紹介しています!
ぜひご覧ください。


各審査員の「いいな」と思った作品

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広屋:まずはそれぞれみなさんが「いいな」と思ったnoteを教えていただきたいなと思います。いかがでしょうか?

小御門:僕からは3本あげようかなと思います。
今回の企画タグをつけて投稿されたnoteは全て読んだのですが、「2020年私の人生こんなに変わっちゃいました」というnoteが沢山ある中で、目に留まったのが『自堕落な私の白湯革命』です。

「白湯を毎朝飲んでみよう」と決めて実行したら、毎日色々充実してきていい感じですっていうnoteですね。「選択」って、「これは絶対達成する!」みたいなすごいものを立てがちだと思うんですが、小さいことを決めて実現することで朝が充実し始めるって素敵だなと思って選びました。

二本目は『萬気来来』

最初、「首都高を走るワンボックスカーの助手席で今年を振り返っていた」みたいな書き出しから始まるnoteです。これは背伸びせずに正直に自分の実情というか2020年にあったことを振り返っているところが好感を持てました。「実はワンボックスカーではなく机で今この記事書いている」という最後にぶっちゃけた構成も印象に残りましたね。

三つ目はですね、『真っ赤なニット』がちょっと印象残ったなと。

僕は「グランプリ作品は劇団ノーミーツで作品化するんだ」という気持ちで選んだのでのですが、これはどういう絵になるかっていうのがすごく浮かんだ作品でした。ちょっと垢抜けたいって思ってる女子が、普段だったら絶対買わないような真っ赤なニットを買う。その「これまでだったら選ばなそうな赤」って小道具的にも表現できそうだなと思いました。これは作品にしたらすごく素敵になりそうだなと思い、印象に残りました。

広屋:カツセさんはいかがでしょう?

カツセ:僕も三つくらいとりあえず選んできたのですが、まさかの既に二つかぶってますね。(笑)

僕も『萬気来来』を選んでまして。コロナがあって「どうしよう」ってなった時に「このままじゃダメだ」っていう歩き方をしたストーリーとして面白かったです。この「密になるからやめろ」って言われてる中で、27歳の野郎二人でルームシェアしてっていうくだりとか、もう完全に映画じゃないですか。しかも、その何者でもない二人がラジオを「好きだから」という理由だけで始めちゃうっていうところも「何者かになりたい」というストーリーとして挑戦の具合がいいなと思いました。報われても報われなくてもラジオを続けて欲しいなって無責任にも思ったnoteです。

もう一つ被ってまして、『自堕落な私の白湯革命』ですね。
僕は「選択した時点が正解ではなく、選択した後に正解にする努力が必要」ということを言ってるんですけど、ノミネートされた15作の中で唯一継続して今もやってますっていうストーリーがあったのがこのnoteです。白湯は地味なんですけど、その地味なものを選んだのも面白いし、ちゃんと白湯を続けた結果でなにか起きてますよやっぱり良かったですってストーリーになってるところがすごくいいなって思いました。

個人的に一番好きだったのは、中年男性がnoteコンテストに応募して、「スキ」の一つ一つで一喜一憂する『ノートに転がり込んで転がって/2020』ですね。

40過ぎたおっさんが、インターネット上で「スキ」ひとつで一喜一憂する姿にものすごく心打たれてしまいました。その選択もすごくいいし、反応があったからこそ次書こうという、その手ごたえを感じて進んでいく感じもいいな、と思いました。あと単純に文章が上手かったですね。

阿部:僕も三つに絞っていて、自分の興味や関心のあるテーマや、文章を読んでて染み込んでくるようなnoteを選びました。
一つ目は『小樽で出会った、大野くんが大好きな岡山のおばあちゃんへ』です。

偶然隣に座ったおばあちゃんが言ってくれた「なんとかなるよ」が、彼女にとって選択を支える言葉になったっていうのは、とてもいいメッセージだなと。そしてさらに、このnoteを読んだ人が、その言葉に少し背中を後押しされるようなところもいいなと思いました。

二つ目は、『暮らす場所の選択はわたしを知ることに繋がる』です。

金沢に住んでたけれども、仕事を辞めざるをえなくなって住むところの選択をどうするか、というときに、実家に戻る選択をするまでのnoteですね。新幹線のチケットを思い立って買いに行く描写が心の揺れを繊細に表現されていたし、最後まで心地よく読めました。
そして三つ目は『自堕落な私の白湯革命』。僕もいいなと思いました!
本当に続けている事でちょっとずつ自分の日々が変わっていく。非常にシンプルなんですけど、お湯を沸かして湯気が立っている感じも伝わってくるし、読みやすくて、かつ非常にリズムもよくて輝いて見えました。

広屋『萬気来来』はもがいてお互いまだ見ぬ未来へ向かっていく感じがすごくよかったです。僕はnoteにあったPodcastを聞いたんですけど、本当に何でもないことをリスナーに向けて話している様子も「まだ何者でもなくこれから…!」な感じがとてもいいなと思いました。

すごく憧れるな、と感じたのが『白湯革命』です。僕自身2020年にいろんな選択をしたんですけど、自分の内側でのいい選択ってあまりできなかったなとこのnoteを読んで思いました。小さな選択から日常が豊かに様変わりしてくような姿に、自分も「白湯革命したいな」と思ってしまうぐらい憧れます。あの先に白湯革命によってどこまでいくんだろうと楽しく想像できた部分もすごく素敵な作品だったなと思います。

『0.02mmより密に感じた、あの夜が忘れられなくて』はすごく文章も引き込まれましたし、面白い文章でした。

僕たちの頭の中に「純猥談」というワードが思い描かれているような気がしていて。なんか純猥談ってジャンルってここまで確立されたんだっけって思うぐらい、「純猥談」として僕は読みました。これはすごく発見があって面白かったです。

「白湯を飲む」という一つの行為を続けていく強さ

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広屋:全員が『自堕落な私の白湯革命』を選んでいるんですが、この作品について、もう少しみなさんの感じたこと聞きたいな、と思います。

カツセ:今回グランプリ作品を選ぶときに、僕は文章の上手さとは別で考えようと思ったんですよ。何を選択していてその選択が動的なのか静的であるか、という部分に注目しました。「コロナが来ちゃったから」とか「就職の時期になっちゃったから」とか、外的要因から選択せざるを得なくなったパターンの人もたくさんいるじゃないですか。一方で、自分でなんとなくこれやってみようっていう人もいたりして。その要素を見ていった中で『自堕落な私の白湯革命』はたかが白湯なのに、一番心動きました。能動的にやってる上に継続してるってところがちゃんとした選択って感じが一番しましたね。

小御門:他の作品ってやっぱり「振り」の部分がある。こういう状況になったから私はこっちを選びました、というストーリーの起伏がある。こんなにどっちを選ばなくちゃいけないか追い詰められましたっていうところを描いてるnoteも多かったんですが、そういった部分はこの白湯革命にはない。白湯を毎朝飲もうと思ったっていうところから始まるっていうところで、他の作品と結構もうすでに違うなと感じました。

阿部人それぞれ、うまく日々が回り始めていくような細やかな選択や行いがあると思うんです。書いてくれた方は、それが白湯を飲むということだったんだと確かに伝わってきて。読み終わった後にその人の生活、日常が好転していくイメージが湧きました。星野源さんが出演されていた、昨年のドラマ 『MIU404』の中で「一つ一つのスイッチがその人のそのあとどう生きていくかを変えているんだ」と言っていて、その言葉を思い出しましたね。その人にとっていい分岐点として白湯を飲むというのを見つけたんだなと。

小御門白湯、というのがすごくいいですよね。言ってしまえば温かい水、であり、アイテム自体は無属性で。これがサプリ飲むとか、スムージーであったりとか、アイテムからなにかを得ようとしているものだと、そこまで、お、とならなかったのかなと。選択したことで、なんか色々いいように回り始めたところが、白湯という無色透明さによって際立っているなと。狙ってかわからないですが、やられたな、という感じはありますね。

カツセ:なにかがあったとかじゃなくて、やってみようかな、で実際に継続できているんですよね。みんな、何度ジョギングを習慣化しようとしたことか。何度「腹筋毎日50回やろう」と思ったことか。この継続できている強さは、選択の強さもあるし、選択に対する覚悟が他とは違うと思うんですよね。白湯に関しては自分が水を温めないことには起きないことだから。それをずっとやれる、というのはすごいなと思います。

小御門:「2020年私の身にこんな大変なことが起こってますコンテスト」ではないので、白湯を飲むという選択のアグレッシブさはすごくいいなと思ってます。

広屋:これだけ白湯革命について皆さんで熱く語れるこのこと自体が、とても素敵な作品ということの証明のような気がします。では、満場一致で『自堕落な私の白湯革命』を今回のコンテストのグランプリ作品に決定します!

noteコンテスト「#2020年私の選択」グランプリ『自堕落な私の白湯革命』

ー最後に、今回のnoteコンテストにご応募いただいたみなさんに、一言コメントをお願いします!

阿部:これからも選択しつづけていきましょう。そしてその先で合流して、なにかご一緒できたらとてもうれしく思います。今読んでくださっているのも、きっとなにかの縁になります。

カツセ:社会が激変していくタイミングこそ、個人にも大きな選択が迫るものだと思っています。選んだときには「そうせざるをえない」と思ったものでも、いつかその決断が、前向きなものに変わることを願っています。

小御門:皆様からお寄せいただいたnoteを1つ1つ読みながら、2020年がいかに特別な一年であったかを改めて実感しました。そして、厳しい局面に直面した時、決して乗り越えることだけが正解ではないということを教えてもらった気がします。捉え方を変えてみたり、正直に思っていることを伝えるだけでも状況は変わるものなのですね。人間の逞しさ、生命力を感じることができてよかったです。皆様の大切な、それぞれの「2020年私の選択」を教えていただき、本当にありがとうございました!

広屋:劇団ノーミーツとしても様々な選択をした2020年の最後に、皆さんと選択を振り返りたいと立てたこの企画に、最終的には70もの投稿をいただくことができました。それぞれの選択が前向きで、一生懸命で、ユニークで。大変なことも多かったけど、それでもと工夫する皆さんのnoteを読んで、僕も勇気をもらうことができました。改めて、投稿頂いた皆様、本当にありがとうございました。グランプリ作品『自堕落な私の白湯革命』の劇団ノーミーツによる短編作品化、ぜひ楽しみにしていてください!

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劇団ノーミーツ主催のnoteコンテスト「#2020年わたしの選択」にご応募いただき、本当にありがとうございました!

応募作品はこちらのマガジンからお読みいただけます。

グランプリ作品『自堕落な私の白湯革命』は、劇団ノーミーツにて短編作品化されます。短編動画をお楽しみに!

文:さとうみずは 編集:オギユカ

【審査員紹介】

阿部広太郎(あべ・こうたろう)
コピーライター&作詞家。「企画でメシを食っていく」主宰。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、映画、テレビ、音楽、イベントなど、エンタメ領域からソーシャル領域まで越境しながら取り組んでいる。作詞家として「向井太一」や「さくらしめじ」に詞を提供。2020年に刊行した『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)は発売たちまち重版に。2021年3月、コピーライター養成講座「ART&COPY」コース 阿部広太郎クラス開講。https://twitter.com/KotaroA
カツセ マサヒコ 
ライター/小説家。1986年東京うまれ。大学を卒業後、2009年より一般企業にて勤務。ブログをきっかけに編集プロダクションに転職し、2017年4月にフリーライター、編集者として独立。2020年6月、初の著書となる小説『明け方の若者たち』(幻冬舎)を刊行。
広屋佑規
1991年生まれ。劇団ノーミーツ主宰 / 株式会社Meets代表。没入型ライブエンタメカンパニー『Out Of Theater』代表。コロナ禍で全ての仕事が中止となったなか“NO密で濃密なひとときを”をテーマに、オンライン演劇を主軸に活動するオンライン劇団「劇団ノーミーツ」旗揚げ。短編Zoom演劇作品のSNS総再生回数は3000万回再生超え、長編オンライン演劇公演は2020年に3回上演し、累計14000名を超えるお客様に自宅から観劇いただく。オンライン劇場『ZA』を建設。第60回ACC クリエイティブ・イノベーション部門ゴールド受賞。
小御門 優一郎 
脚本家、演出家。1993年埼玉県生まれ。大学在学中に劇団「21g座」を旗揚げ。ほぼすべての作品の作・演出を務め、松竹株式会社に入社後も劇団での製作活動を続ける。2020年4月、広屋佑規、林健太郎とともに劇団ノーミーツを旗揚げ。短編作品と、「門外不出モラトリアム」、「むこうのくに」、「それでも笑えれば」などの長編公演作品の作・演出も担当する。2020年11月より株式会社Meets所属。

▼劇団ノーミーツ主催noteコンテスト「#2020年わたしの選択」概要


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