要領が良く容量がないあなたへ

ごきげんよう　お元気で

たっぷりの、ありったけの軽蔑を込めて、私が新卒で入った会社の先輩だったあなたに向けたこの挨拶をタイトルにしようと思ってたけど、今の方がふさわしいと思って変えました。

言葉の選び方、表情、気が使えない、ほころびだらけの引継資料、事なかれ主義…挙げたらキリがない。

心穏やかに仕事できるはずですよね。言われたことしかやらず配慮が必要なものは周りにいた優しい人がやって、時には厳しいことを言わなければならないときはその役目を必死で人に投げ、あなた自身はその様子を離れたところから見ていたのだから。ニタニタ笑いながら。下品な笑い方だといつも思ってました。

あなたに関われば関わるほど腹が立ち幻滅し、時には呆れていました。

私のように、あなたのこんな様子に気づいていた人は数人いましたが、そんなあなたは何よりあの会社が欲しがるピッタリな人材。そしてあなたのことに気づいていた人も、いずれは去っていく。私も途中で去った。
今でも快適な温度と湿度の中で、気持ちよくお過ごしでしょう。幸せだろうに、ちっとも羨ましくない。哀れだと思っています。
当時、あなたのことに気づいていた人が私以外にいたことで、救われたものです。それを思い出してます。

それでも、何度も上手くやろうとしたけど、無理だと気づいた。もう疲れた、ぷつんと何かが切れた。

ぷつんと切れた糸を結びなおすのをやめて、そのまま私の思う方へ進んでいても、あなたのあの下品な笑い方と事なかれ主義、配慮のなさ、それを軽蔑し忌み嫌う私の感情は私にへばりついていました。時間と私自身の経験、人との出会いが少しずつ考えを変えてくれて、あなたに対して不満だったこと、あなたはやらないんじゃなくて、できない。認識できない、容量がないってようやく気づきました。

そういう人なんだから、しょうがない。この意味がやっとわかった気がします。

一生同じ場所で吠えてろ、と思ったこともありますけど、あなたは吠えることすらできない。吠えるという発想もないし吠えるということ自体知らない。今ならわかります。

あなたにそのことをわかってほしい、気づいてほしいと思って書いてるわけではないですよ。
あなたはこれを読んでも、自分のことが書いてあると気づくことはできない。絶対にあなたは気づけない。だってあなたは物事の3割しか見えてない人だから。

3割しか見えないあなたなんかのために書くわけないでしょう。笑わせないでください。

私のため。

私は私自身に、私が最も好きで得意とする文章で、私が愛する言葉たちをもって伝えるのです。
わかりっこない見えてないあなたのような人間を、思い出したり考えて時間も体力も、そして心を消耗するの、もうやめな、って。

アンナチュラルというドラマで、いじめという殺人を取りあげた話がありました。
いじめに遭っていた子にミコトが語りかけます。
いじめた子はいじめたことなんか、人の人生を奪ったことなんか忘れて、名前を変えて新しい人生を生きていく。あなたが命を差し出してもいじめた子には何も届かない。
あなたの人生は、あなたのものだよ。

気づかない、要領良くできて容量がなく器のないあなたは、一生このまま気づくことのないわからない狭い狭い世界の中で、要領良く立ち回っていくのでしょう。変わらず、変わることなく、変わるということがわからないまま幸せに。

要領良くて容量がないあなたのようには絶対なりたくない。私は要領悪くて容量がたくさんある私がいい。たくさんあるから見えてしまって、あなたのことが目障りで仕方なかったけど、気づける私でよかった。だから私は去った。

たくさん見えてたくさんの感情にまみれた中、あなたのことに気づいていた人が私に「本当の意味で優しいのは理央ちゃんの方なんだよ」と言ってくれたこと、感情の渦の中に巻き込まれていったこの言葉が、今は鮮やかに私に浸透してるのです。今になって気づいたから、あまりにも鮮やかなんだ。

たくさん気になって感情だらけだ。たくさん見えてたくさん気づくから、繊細で傷つきやすいね。だからこそ優しいのかもしれない。
あなたなんかのことをいつまでも思い出して、心をすり減らす必要はない。優しさも繊細さも、私のためのもの。あなたのことで決して私の心は使わない。私の人生は、心は、私のものなんだよと、私が私に文章で伝えるのです。私の言葉で私に語りかける。

そうそう、思い出した。
「お昼の時間もいつも私のこと無視する」って私に言ってきましたけど、あなたの話がとってもつまらないから相づちとか打てなかっただけです。
私すぐ顔に出るタイプだから「つまんねぇな」って顔に出てたんですよ。
無視してないから。よかったね。認識されてて。

それではごきげんよう。お元気で。