問題5.ホップとは一体何者なのか?
僕たちが「さあビールについて語ろうぜ!」という時はいつだってホップの話になる。
アメリカ人の間では特にそうだ。アメリカンスタイルのビールにおいて、ホップはバンドのメインボーカルのような存在で、口の中でひときわ目立ち、人々を「wow!!」と言わせる。
そういう僕も、グラスに注がれたキレッキレのIPAを飲み、グラスを机に置いて思わず「wow」と漏らしてしまうことは多々ある。
ホップについて、学術的に僕が知っていることといえば、ホップは蔓性の多年草であり、学名はフルムス・ルプルス。(ルとフとスとムだけ)
その雌株から摘み取られる花が、「ホップ」と言われてみなさんがイメージできるものであり、形は緑色の松ぼっくりのような、悪魔の実のような、そんな独特なシェイプだ。
その中にまさかビールに”香りと苦味”を与えるのに重要な油分を秘めているなんて、誰が始めに考えたのだろう。geniusだ。もしもホップが使われていなかったら。。。なんて考えたら、どれだけつまらない飲みものになっていたんだろうか。
収穫後は乾燥させ、鮮度を保つために容器で密封するのが基本的。しかし、年に一回だけ乾燥させずにビール醸造する時期があり、町の醸造所やビール好きの人々の間で「みんなーフレッシュホップ祭りだー飲めー!」というイベントを行う。でも収穫後24時間以内に使わないとすぐに品質が落ちてしまうから要注意。
ホップが使われるようになったのは、優れた抗菌性と保存性からだという意見が一般的だが、現在のビールづくりには必ずしもそうとはいえない。
何よりもまず、ホップを入れることによってビールのバランスが良くなる。
ホップのもたらす”苦味”のおかげでモルトから生まれる”甘み”が抑えられ、グーンと飲みやすさが向上する。
”甘い”だけのビールを想像をしてみたら、、、うーん、なんとも飲み難い。
そして、”香り”は、ビールに複雑さをもたらし、多面性のある飲み物にしてくれる。つまり、ホップはビールに”飲みごたえ”を与え、ビールをビールたらしめてくれるのだ。
次回はアメリカにおけるホップの歴史についてつづく。
文 Takumi Kaneko