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問題3.ビールはどうやって作られるのか?

ビールには様々な香りがあって、ぐっとくる苦味もあれば、チョコレートやウイスキーのような甘味もある。炭酸の強さもスタイルによって異なるし、色だって透き通った黄金色から漆黒のような色さえある。

さて、どうやってビールは作られているのか皆さんはご存知か?

僕は若い頃ポートランドの醸造所見学に行っては、大きな銀色に輝く設備を見ながら口をぽっかり空けた。
「なんてかっこいい機械なんだ。」
そして、ブリューワー(醸造者)の話を聞くたびに、頭を悩ませた。

糖化?麦汁?煮沸?発酵?

これらのワードとプロセスがなかなか結びつかなかった。頭が弱かったからだろうか。。。

しかし、今になって思えばビールが作られる過程はシンプルだと思う。
ここでは、なるべく分かりやすくビールが完成するまでのプロセスを3ステップで紹介する。

1)糖化:Mashing
まず初めに、グレイン(大麦、小麦、オーツ麦など)をあっついお湯の中に投入する。すると、麦からじわじわ糖分が湯中に染み出す。この作業を”糖化”と呼び、この甘い汁を”麦汁(ばくじゅう)”と呼ぶ。ビールの甘味は、基本的に糖化によってもたらされるのだ。

2)煮沸:Boiling
続いて、麦汁を煮立たせホップを投入する。この工程を”煮沸”と呼ぶ。ホップは、煮立たせる時間によって、苦味とフルーティな香りをビールに加える。当初ホップは、細菌によるビールの劣化を防ぐために使用されていたが、現在では様々なフレーバーのホップが開発されている。

3)発酵:Fermentating
煮沸が終わったら、煮立たせた麦汁を一気に20度くらいまで冷まし、ビールの酵母(イースト)を投入する。酵母が、麦汁の中に含まれる糖分を食べてアルコールを発す。この工程を”発酵”と呼び、だいたい1週間くらいかかる。その後、必要ならば炭酸を加えてから樽詰めされ、ついにグラスに注がれ美味しいビールをいただけるのだ。

1糖化、2煮沸、3発酵。どうだろう、意外とシンプルではないだろうか?

醸造所見学に行くと、威圧的に佇む様々なタンクたちを目にし、きっと複雑な工程なのだろうと思いがちだが、プロセスはさほど(当時頭を悩ませていたが)難しいものではない。


世界中のビール愛好者の家庭では、料理に使う鍋と洗濯バッグを使ってビールを醸造しているくらいなのだから。きっとあなたにもできるだろう。

注)日本国内では、1%以上のアルコール醸造は禁止されています。

お隣韓国では、ホームブリューイングカップ(賞金有)が大々的に開催されるくらいなのに。。。

文 Ben Emrch / Head brewer
訳  金子 巧 / Brewer & PR


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