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問題1. クラフトビールとビールは異なる飲み物なのか?

クラフトビールとビールは果たして異なる飲み物だろうか?

答えは「Yes」。でも「No」だ。どっちだよ、と言われるかもしれないが
「クラフトビールの定義をしろ。」と言われるとなかなかはっきりとした答えが出てこないものだ。
というのも、この定義は常に変化しており、国や立場によっても異なるから。

ある人は言う、「クラフトビールは、ビールよりも香り高くバラエティに富んだものだ。」
ある人は言う、「いわゆる大手よりも小規模な醸造所で作られるビールは、クラフトビールだ。」
ある人は言う、「クラフトビール醸造は手作業が多く、より”人の手”を感じられるものだ。」と。

うん、すべて合っていると思う。

ちなみに僕にとっては、クラフトビールと呼ばれようと、ビールと呼ぼうとあまり気にならないことだ。

英語にこのようなコトバがある。

“ Would a rose by any other name still smell as sweet”
「バラと呼ばれるものなら何だって甘い香りがするものだ。」

名前なんて関係ない。クラフトビールだって、ビールだって、どっちだってビールだと。でも、僕がビールに求めることがあるとすればそれは、誰によって、どのように、どんな気持ちで作られたのか。

「作った人は心からビールが好きなのか、それともただ仕事のためなのか。」
「一つ一つの工程を丁寧に手がけているか。」
「自分が作ったビールを、世の中のみんなに飲んでもらいたいと思えるか。」

そういった ”人の温かみや思い=クラフトマンシップ” が伝わるものが、もしかしたらこの世の中で「クラフトビール」と呼ばれるものなのかもしれませんね。

僕がビール造りにおいて信じることは、

「良質なモルトやホップ、イーストを使ってこそ良いビールができること。
僕たちのような小さなブリュワリーは、地元の農産物を使ってこそ地域のためになるということ。
地域のヨコの繋がりを大事にすることは、巨大な契約を結ぶことよりも大切だと。
ワクワクするようなビールを作り続けることこそが、僕たちを、そして世の中のみんなを豊かにすることを。」

僕は、クラフトビールでも地ビールでも、単にビールと呼ばれようと、大して気にはしない。
飲んでもられる人に「美味しい」と喜んでもらえればなんだって。

文 Ben Emrich / Head Brewer
訳 金子 巧 / Brewer & PR

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