サカナクション『アイデンティティ』と、21歳の私
私とサカナクションとの出会いは10年前に遡ります。車で聴いていたラジオから『ルーキー』が流れてきた日曜日のことは、今でも鮮明に覚えています。『DocumentaLy』は、今でも聴き返したくなるアルバムのひとつです。
『アイデンティティ』は、アルバム『DocumentaLy』の2曲目に収録されています。
カラオケで『アイデンティティ』を歌っていた時のことです。私は父親から「30代になってから歌いなさい」と、冗談混じりに言われました。もっと違う表現だった気もしますが、“お前が歌うにはまだ早いよ”的なことだったと記憶しています。
当時11歳だった私には、父親の発言の意図が理解できませんでした。“アイデンティティ”の意味すら知らなかったのだから当然です。
15歳になり、私は地元で有名な進学校に入りました。私の通っていた高校では、1年生のうちから大学受験を見据えた指導がありました。“周りと比べざるを得ない環境”が、私を待ち受けていたのです。
18歳になり、私は看護師を志して大学へ進学しました。看護学生として患者さんと関わり、 “その人らしい生き方”について考えるうちに、私にとっての“自分らしさ”とは何か、思いを巡らせるようになりました。
私の好きなものは?特技は?長所は?短所は?今の私は、自分らしく生きているのだろうか?
『アイデンティティ』と出会ってから10年、私は21歳になりました。右も左も分からないガキンチョだった私にも、“十代の思い出”ができたのです。
「私にとっての“自分らしさ”とは何か」という問いに対して、まだ答えは出ていません。10年経っても、20年経っても、答えは出ないかもしれません。
それでも今は、過去の思い出を振り返り、私は、私にとっての“自分らしさ”を探します。
最後に、受験期に私を励ましてくれた曲の一節を引用して終わろうと思います。
長い長い、この夜を乗りこなすのです。
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